Lost my Proust「Requiescant in Peace and Grace[rE:]」

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https://lostmyproust.jimdo.com/

「サイバー+変拍子+ポストハードコア」なサークルLost my Proustの1年ぶりとなる待望の新作!!なんですが、今回は完全新作ではなくて1stアルバムのリメイク(再録)作品となっております。
現在のクオリティでもって装い新たに生まれ変わった傑作1stアルバム、新規に聞くリスナーはもちろん初期から聞き続けているリスナーにとっても価値高いものになること請け合い

…とテンプレ気味に無難に済ませたいところですが話はそんなに簡単じゃないんですよね…。
まあ、皆さんご存知のようにリメイク作品っていうのは往々にして評価が難しい代物になりがちなのですよね。特に、初期からリアルタイムで追っている「めんどくさい」タイプのファンにとっては、思い入れのある初期作品が作り直されることに対して複雑な思いを抱くこともあるでしょう。かく言う自分もまさにその典型でして、このLost my Proustの1stアルバムのリメイクにどうやって向き合えばいいのか、未だに決めかねている感もあります。なんせ、自分が同人音楽CDで最も愛聴したアルバムですからねえ…思い入れについては誰にも負けない自信あります。

って訳で、扱いの難しい本題に入る前に、アンケート解答の報酬である完全新曲「VALEN」のほうの感想を先に書いておこうかと思います。会場で配布されたステッカーの裏のQRからアクセスしてアンケートに答えるとダウンロード出来るやつです。めっちゃ素晴らしい曲ですのでまだ聞いてない方は早く聞くことおすすめしますよ。

先日の記事にも書いた通り、この新曲は2ndアルバムの頃の「ストイック」なLost my Proustと3rdアルバムのキャッチーさの際立った「万人向け」なLost my Proust、そして新機軸の要素を取り入れた現在進行系で進化を続けるLost my Proust、この3つのLmPが1つの曲の中に凝縮された物と言えるかもしれません。
まずギターフレーズやシンセのフレーズは「B.I.S.」や「tinnitus aurium in glassmoon」を思わせる趣きで、非常にLost my Proustらしいというか、ある意味で集大成的である「extraterrestrial」に近いかもしれない。プログレッシブでDjentyなグルーヴとサイバーなシンセサウンド、Lost my Proustの基本的構成要素ですね。
しかし、これだけだと安定感はあるけど新鮮味は足りない楽曲になり得るところでしたが、Hidaka Mikuさんによる歌メロが3rdアルバムを踏襲した超キャッチーな路線。具体的には「Flying Fishs」に近い、ちょっと語弊あるけどアイドルソング路線とさえ言えそうな愛らしさを持った歌唱。やっぱりHidaka Mikuさんってこういう自然体な歌唱のほうが合ってる気がするんですよね。HATEのときみたいにビブラート効かせた歌唱だとちょっと肩に力が入りすぎてる感もあって良さが活きてないっていうか…。歌メロについては3rd路線で正しい気がします。あと、イントロからクリーンボーカル入るのって初だったりする? これもボーカリストとして蓄えた自信の表れかな。
そして楽曲後半では新機軸要素も顔を見せます。メタルコアお約束のブレイクダウンの代わりにアトモスフェリックなエレクトロニカパートを入れてるんですがこれが素晴らしい。ハンドクラップっぽいパーカッションの音も実に新鮮味ある。これって流行りのフューチャーベースとか意識したのかな? 自分もEDMのジャンルには疎すぎて確かなことは言えないんですけども…。とにかく、この浮遊感あるエレクトロニカサウンドとキャッチーなメロの相性がめちゃくちゃ良い。
という訳でこの路線で次回作を作ってくれるなら次も名作になるのは確実ですね。ってかLost my Proustは同じ作風を繰り返すことはせず常に前進し続けてることが一番の魅力ですから次回作までにはさらに進化していることでしょう。

…で、そろそろ本編であるリメイクアルバムの話に取り掛かりたいところですが…新曲のようには綺麗に評価できないのが正直なところ。
せっかくリメイクしたってことはオリジナルバージョンとは桁違いのクオリティに生まれ変わってるのを期待したいところなんですけど…ぶっちゃけそれが微妙なラインなんですよねえ…。確かにクオリティは上がってるけど見違えるほど良くなったと断言できるほどのレベルではないっていうか。
自分はLost my Proustの楽曲センスやアレンジセンスについては非常に高く評価していますがサウンドクオリティについてはまだまだ発展途上だと思うんですよね。2ndアルバムのときクオリティがグンと上がったけどそれ以降は割と横ばいなところあると思うし…。
せっかく名作である1stをリメイクするんならクオリティがポテンシャルの限界に到達して、これ以上はアマチュアレベルじゃ無理ってくらいまで成熟してからリメイクに踏み切っても遅くはなかったんじゃないかとも思えるんですよ。今回委託してたmarutyuさんのサークルを比較対象にするのはちょっと酷かもしれないですけど、あのクオリティはキツいとしてもあれの一歩手前くらいなら可能だったんじゃないかなぁみたいな妄想をしてしまう。まあこれも結局リスナーの勝手な我ままな意見でしかないんですけどね。
ってかまじでmarutyuさんのサークルはクオリティ高すぎて…このハイレベルサウンドで無名サークルとか嘘だろ??みたいな。改めて同人メタルシーンの平均レベルが上昇してるのを実感するところですね。Lost my Proustのデビューした4年前とはもうクオリティの基準が変わってる。

ではリメイクアルバムの具体的な楽曲の感想をば。
1曲目「Chronus vs Caerus」はラウドロック系でよくあるEDMなインスト序曲…だと思いきや、このSF映画を思わせるようなスケール感とプログレメタルに通ずるようなサイバー感、やはりこの時点で只者じゃないことを匂わせてますね。
リメイクバージョンではギターのミックスが大きくなってかなり印象変わってる。出だしからいきなりデーンとギターが主張してきて、オリジナル盤を愛聴してた人間にはサプライズですな。

2曲目はボーカル曲1発目「Rise into the Ray」、これもオリジナルに比べてギターがめっちゃ前に出てきててだいぶ印象が異なります。まあギターのミックス以外にも違いは勿論あるけどパッと聞いただけじゃ気付かないレベルかな。やっぱり、リメイクというより再録、リミックスバージョンという印象のほうが正しいか。
まあ再録バージョンの出来はともかく、元々のオリジナルバージョンが優れた楽曲であることは疑いようがない。っていうか、1stアルバムのボーカル曲1発目ですでにこんなジャンル不定の楽曲やってたことが改めて凄い。この曲っていちおうメタルコア(ポストハードコア)という位置付けではあるんだろうけど、ギターリフの緻密さはハードコア系とはだいぶ感触が異なるし、何よりシンセですよ、シンセ入りのラウドロックだと思わせといてまさかドリームシアター的なプログレメタルなシンセソロをやるなんて、信じられない離れ業なアイディア。ジャンルの枠にはまらない、Lost my Proustのオリジナリティを象徴する楽曲の1つなんですけど、驚くべきはこれメインコンポーザーのHidaka Mikuさん作じゃなくてギターのsyunsukeさん作なんですよね。zakiさんも含めコンポーザー3人いるのに3人とも極めてLost my Proust「らしい」楽曲を作ってるって驚異的ですよね。これだけ個性的な音楽なのにそれぞれが個性を完璧に体現してるっていう。これってメジャーのアーティストでも実現するの難しいんじゃないの?
しかしこの曲、唯一欠点があって、それはブレイクダウン。このあからさまなテンポダウンの存在によって「音の薄さ」「スカスカさ」を強く印象づけてしまうし、それによってメタルコアというジャンルの尺度で必然的に評価されることになりジャンル不定の自由さの足枷になっちゃってるんですよね…。メタルコアって「音圧こそ正義」みたいなジャンルだからこのサークルの音楽性には明らかに不利っすよね…。このブレイクダウンが無ければ音の薄さを馬鹿にされることもなかったんじゃ…。

3曲目「For My」、はい来ましたLost my Proust最重要楽曲。この曲が無ければ自分がLost my Proustにハマることはなかったであろう運命的な曲。他の楽曲がメタルコア、ポストハードコアを下地にしながらさり気なくドリームシアター要素やサイバー要素を入れてオリジナリティ確立しているのに対し、この曲だけはものっすごいストレートにドリームシアターやってる。どんなに集中力が散漫なリスナーであってもこれ1発聞いただけでプログレメタルだって絶対に気付きますからね。
しかし改めて今聞くと、他の収録曲に比べるとこの曲はプログレメタル要素がストレートすぎてオリジナリティという意味では劣るかもしれませんが、この「分かりやすさ」はやはり不可欠でしょうな。この曲が無ければLost my Proustが普通のメタルコアとは一味も二味も違う音楽性ってことに気付かない可能性ありますからね。
元々から非常に完成度の高い楽曲だったので再録バージョンでも印象はさほど変わらない。やはりギターのミックスでかくなっただけ。この曲の主役は言うまでもなくzaki.mymyさんのベースプレイ。イントロからいきなりソロぶちかましてきますからね。7割くらいベースのための曲って感じすらある。ハイライトは2分10秒あたりからの怒涛の変拍子フレーズ→疾走の流れ。ここは何度聞いても鳥肌ものですよねえ。メタルコア系だと思って聞いたらまさかこんな超絶テクニカルな曲を聞くことになるとは…とにかく当時も衝撃受けましたよ。そしてベースプレイだけでなくギターソロも叙情的でカッコいいプレイなんですよねえ。今のLost my Proustに失われてしまったもの…それはギターソロ。ハードコア寄りになってギターソロ廃したのか、もしくはライブの再現性を考慮してなのか。でもまたギターソロやって欲しいなぁ…。

4曲目「Gallow」、これはオリジナル盤リリース当時にリード曲として公開されてた曲ですが、未だにLost my Proustの全ての楽曲の中でも上位に食い込む素晴らしい曲だと思う。ほんと名曲。
キャッチーなシンセサウンドとラウドロックの組み合わせ、一聴するとよくあるチャラ系ラウドロックに聞こえてしまうでしょうけどよくよく聞くとLost my Proustならではのオリジナリティが随所に織り込まれてることに気付きます。やはりここでも鍵となるのはzakiさんのベースプレイ。Aメロの背後で動き回るテクニカルなグルーヴをまとったベースプレイ、これがダンサブルでありながらプログレッシブなイメージを作り上げオリジナリティに大きく貢献しています。そしてBメロのHidaka Mikuさんの歌メロ、今はすっかり使われなくなったケロケロ加工ボーカル。自分けっこうケロケロ声は肯定派なんで今でもケロケロ使って欲しいと思ってたりするんですが…まあその辺りはこだわりなんだろうなぁ。ケロケロ嫌がるメタラーも多いみたいだし。
再録バージョンはギターのミックス大きくなったのと、シンセの一部フレーズ変わってる?

5曲目「antidote」、Lost my Proust最大の異色曲。なんせメンバー以外がメインボーカルやってる唯一の曲ですからね。そして曲調もダークな雰囲気の他の曲とは一線を画するエモ爽やか系。ぶっちゃけアルバムの流れから完全に浮いてるし、1stアルバムだからまだ方向性が定まってなかったのかなぁなんて邪推したりしますが、でも単体としてはめちゃくちゃ良い曲なんですよね。自分も初めて聞いたときはこの曲が一番好きでしたから。
とにかくメロディが秀逸。Hidaka Mikuさんの卓越したメロディセンスを象徴する楽曲の1つだと思う。間奏のシンセ類も実に美しい。あとAメロBメロがクリーンでサビでスクリームという逆転の展開もLost my Proustのひねくれっぷりが顕著に表れてる。

6曲目「tinnitus aurium in glassmoon」、zakiさん作の楽曲ですが、同じくzakiさん作にしてLost my Proust最高傑作候補の楽曲である「Creation of Inane」のプロトタイプと言えそうな曲調。とはいえむこうの下位互換に甘んじてる訳ではなくこの曲もオリジナリティあふれてますけどね。Lost my Proustの凄さって、同じタイプの曲を何度も作ったりせず常に新しいアイディアを供給し続けてることなんですよね。それでいながら「らしさ」の核は完璧にキープしてる。これが唯一無二の理由。
メタルコア、Djentよりもプログレメタル寄りな刻みを見せる精巧なギターリフ、そしてSFチックなサイバー感が満載のシンセ。ゲーム音楽感もあり、これもジャンルの枠に収まりきれない魅力に満ちてますね。あとこの曲もギターソロ良いんですよねえ。今は無くなってしまったギターソロ…。

8曲目「Beyond the Divine Laws」、これも非常に面白い曲なんですよねえ。相変わらずジャンル不定で、しかもLost my Proustで他にこういうタイプの曲が無いし極めて個性的。キラキラシンセを核にしたアップテンポな曲調だけどメタルコアどころかメタルに分類することすら怪しいくらいジャンル不定だったのが、再録バージョンではギターの主張でかくなったことで辛うじてメタルと呼べるようになったかな? まあジャンルの枠にはまらないのがこの曲の面白さだから別に大したことじゃないんですけどね。あと再録バージョンはシンセソロが強化されてるのも良い。
ケロケロかかってるとはいえtac-t!sさんのクリーンが聞ける希少な曲でもありますね。あとこの曲もギターソロ素晴らしい。

8曲目「THE LAST GARDEN」、アルバムの締めはしっとりとしたピアノ&フルートによるインスト。メロディは「Rise into the Ray」なんですけど実はそれに気付くのにけっこう時間かかった。

そんな訳で改めて、Lost my Proustの原点にして最強、優れたメロディと個性的なアレンジを持ち合わせた楽曲ばかりの名作アルバムですよねえ。今回の記事、再録盤ではなくオリジナル盤への言及ばかりになってしまった感もありますが…まあ1stはまともな感想書けてなかったからこれがちょうどいい機会でしたね。

それと再録の出来栄えはともかく、初のプレスCDってだけでも実に感慨深いものがありますよ。Lost my ProustのCDにブックレットと帯が付いてるってだけでもね…。CDの盤面のデザインもカッコいい。さすがtac-t!sさん。
当然、これメロブとかで委託されるんですよね? 委託開始したら店頭にチェックしに行かなきゃ…。

このペースだと次回作は来年の夏になるのかなぁ…。遠いなぁ…。今回が完全新作じゃなくて肩透かしだったからなるべく早く新作来て欲しいけども…。VALENが次回アルバムに入るとして残り4曲くらいなら春M3までにいける…?
あとは、音楽性についてはもはや心配は無用でしょうけど、サウンドクオリティはどれくらい進化できるのか。果たしてmarutyuさんに勝てるクオリティまでいけるのか…っていちいち比較対象にするのもアレですが。
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プロフィール

同人音楽初心者

Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

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↓当ブログ的に超絶おすすめなサークル2選!!!
必聴です!!!!!

http://lostmyproust.jimdo.com/

https://tomorro4.bandcamp.com/

↓その他のおすすめサークルはこちらにまとめてあります
http://adtoe.blog.fc2.com/blog-category-75.html

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