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Liesvect「Liesvect 3 -verdict-」

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http://liesvect.wixsite.com/liesvect/liesvect3

劇的な音楽を奏でることを信条とした新進気鋭のメタルサークル、Liesvectの4作目。フルアルバムとしては2作目ですね。今回も気合が感じられまくりの必聴作品に仕上がってますよ。

昨年秋、このサークルが持てる力を全て投入して作り上げたであろう大ボリュームのフルアルバム「-Observer-」では、M3デビューから1年しか経っていないサークルがあれほどの濃密な内容のフルアルバムを生み出したことに衝撃を受けましたが、それからたった半年のインターバルで再びフルアルバムが届けられることになろうとは…全くもって驚異的なスピード。オリジナル系でフルアルバムを半年で連発したサークルなんてセミプロ級を除けばかなり珍しい事例なのでは? 東方アレンジでも半年でフルアルバムに漕ぎ着けるのは簡単ではなさそうに思えますし。改めてこのLiesvectのモチベーションの高さに驚かされますね。

もちろん内容についても、制作期間の短さに比例して完成度が下がったなんて事は無く、前作の充実度をそのまま引き継いだ安定の内容になっています。楽曲そのものの出来栄えも相変わらず良いんですが、このLiesvectの大きな「売り」の1つであるテクニカルなギターワークはさらに洗練されてその魅力を増しているように感じます。

基本的に前作の延長線上の内容と言って良さそうなんですが、大きな相違点としてはアルバム全体の構成ですね。前作では3人のコンポーザーが楽曲を制作していて、各々がジャンルを気に留めない自由な作風で制作していたためか、全体としては統一感が希薄で「コンピレーション的」とさえ感じられてしまう散漫さが出てしまう弊害があったんですよね。
前にも書いた気がしますが「バラエティ感」と「散漫」というのは紙一重で、おそらく制作側としてはバラエティ感のつもりだったんでしょうけど個人的には後者としか感じられなかったんですよ。作品を貫く「軸」が存在しない、そんな不安定な感覚が漂う構成でした。

しかし今回の新作においては、作曲者がメインコンポーザーのBlueさん1人に絞られたことで明確な統一感が生まれましたね。徹頭徹尾ドラマチックでテクニカルなメロデス的な作風を貫くことにより、このLiesvectというサークルがどこに向かっているのか、何をどういう風にリスナーにアピールしたいのかがはっきりと示されたことは重要だと思います。
メタルに縛られる必要はないとしてもやはり方向性の中心となる「ブレない」要素があって欲しいし、これだけモチベーション高いサークルなんですから漫然としたコンセプトで活動し続けるなんて勿体ないですよね。

ただ、こんな風に書くと、じゃあ前作のBlueさん以外の楽曲は無駄な要素だったのか? って受け取られそうですがそんな事は無くて、ちゃろんさん作の2曲とかむちゃくちゃハイクオリティだったしあの2曲がアルバムの大きな聞き所になってたのは疑いようのない事実なんですよね。Blueさん以外の曲も個々の楽曲としては非常に素晴らしかったんですよ。ただ統一感が無かったっていうだけで。
っていうかむしろ、ちゃろんさんの曲が素晴らしすぎたので、デスメタルと一緒くたにアルバムにぶち込む雑多な構成にこそ違和感を抱いていたというのが正直なところです。デスメタルとポップスの食い合わせって相性悪いのは当然で、デスメタルを食べ物に例えるならば激辛調味料ですよね、刺激の強さが魅力だけどあらゆる味を呑み込んでしまって辛さばかりが印象に残る。まあメタラーは感覚が麻痺してるからデスメタルとポップス混在してても普通に聞けちゃうんですけどね…。

そして、今作はメニューを減らして辛さを全面に出した本格カレー専門店としてリニューアルした(?)Liesvectですけど、ちゃろんさんの生み出す繊細な味に未練がないとも言い切れないけどでもやっぱりここは潔くカレー屋として頑張って欲しい訳ですよ。ミチザネさんのスクリームをメインに据えて活動していく以上は純然なポップスを並行して収録するのは得策ではないと思いますが、でも単にアグレッシブなだけではなくキャッチーな女性ボーカルの歌メロやテクニカルなアレンジもLiesvectの大きな売りですからね、そこにはまだまだ大きな可能性が拓けていますよね。多彩なジャンルを取り入れつつも散漫さを出さないってのが調理人の腕の見せ所ってことになるでしょう。

では各楽曲についてですが、まず1曲目「Gates」、前作の1曲目とほぼ同タイプの「分かりやすいサビ」があるメロデスチューン。ジャンルが多岐に渡っていた前作においては1発目がデスメタルであることに一般リスナーを遠ざける弊害を感じたりもしましたが、今作においてはメロデスな作風が一貫していることもあってこのアグレッシブな曲を冒頭に配置することに必然性が感じられます。
申し分のないメロデス曲だと思うのですが、ただ、音が依然として軽めに聞こえてしまう事と、あとスネアの金属音の残響がノイズっぽく聞こえてしまうのが惜しい…。楽曲の出来とギターのテクニカル度は界隈でも確実に上位に入るレベルだと思うんで、あとは残る課題は音作りだけですよね。これを次回作で解決してくれれば完璧なんじゃないかと。

2曲目「Phantasmagoria」は前作にも参加していた女性歌い手の月乃雛さんをフィーチャーした曲。この曲も前作の2曲目に近い作風ですが、相変わらず印象的なキャッチーなメロディが満載でまさにBlueさんの本領発揮といった出来栄え。1番のサビと2番のサビのメロディが違うというサンホラのような曲構成にも驚き。
ボーカルの月乃雛さんは歌唱自体の安定感も然ることながら、声質がBlueさんの作る楽曲のイメージにぴったり合ってますし、今後もLiesvectで歌って欲しいと願わずにいられませんよね。専属ボーカルになってくれれば一番ですけどね、それはさすがに難しいか…。
ギターソロの流麗さも前作より更にレベルアップしていて聞き応え抜群。

3曲目は「Redemption」…でいいんですよね? どうやら手違いでCDのパッケージに記載されてる曲順が1個ずつズレてるみたいなんでちょっとややこしい。詳しくは公式ツイッター参照。
ボーカルは続いて月乃雛さん。この曲においてもアグレッシブなメロデスリフとキャッチーな女性ボーカルメロが見事に両立されてる。2曲目とこの曲の作風をLiesvectの基本的な方向性、すなわちLiesvect「らしさ」だと認識して良さそうですかね。テクニカル、ドラマチック、アグレッシブ、この三拍子が完璧に揃ってる。

4曲目「Vlce」はクリーンボーカル無しでミチザネさんの独壇場。BPMは抑え目ながらも突進力の高いメロデスリフによって勢いを感じさせる楽曲。

5曲目「Verdant Machine」はDjent的なプログレッシブな雰囲気を充満させたミドルテンポ曲。やはりテクニカルな演奏には前作からの確かな進歩を感じさせる。シンセサウンドの入れ方も絶妙ですね。クリーンボーカル無しかと思いきや終盤近くになって月乃雛さんのボーカルが入るという異色な構成。

6曲目「Nexus」、再びミチザネさんのスクリームオンリー。この曲もアグレッシブでありながらもシンセの入れ方にプログレッシブなセンスを感じるかも。ミチザネさんは前作で披露したクリーンボイスけっこう良い感じでしたし、この曲あたりでクリーンで歌って欲しかった気もするかな?

7曲目「Sheen」は界隈でも屈指のハイトーン&パワー系の女性ボーカルであるおこげちゃんさん歌唱曲。言うまでもないけどやはりこの歌唱力は圧倒的。っていうかおこげちゃんさん担当曲に作中で一番テクニカル&変態的なアレンジを詰め込むっていうのがなかなか攻めのスタンスを感じ取れますねえ。特に2分半あたりからの間奏でのキモい(褒め言葉)リフの連続攻撃がやばすぎ。しかしこれによってAdust Rainを始めとする他のおこげちゃんさんフィーチャーしたサークルの楽曲との差別化に成功してる気もする。
もちろんメロディ自体もおこげちゃんさんのハイトーンに相応しいドラマチックさを備えていて文句なしにキラーチューン。

8曲目「Remains from」、前作でも終盤の「Ashes」において複雑めな曲構成のドラマチックな楽曲を配置していましたが、今作ではなんと10分近くの長尺曲。終盤にクライマックス的な盛り上がりポイントを置くという美学が見て取れますね。終盤に転調して登場するサビメロが特に好き。

9曲目「Fatel Vision」、これは前作の時点で既にサウンドクラウドで公開されていたインスト曲なんですが個人的にめちゃくちゃ気に入ってた曲なんですよね。てっきりお蔵入りになったのかと思いきやこうしてアルバムに収録されたのは嬉しい限り。
それにしても改めて聞いても名曲ですよねえ…透明感あふれる爽やかで軽やかな疾走感とフュージョン寄りなスタイリッシュでテクニカルなギターワーク…Liesvectで一番好きな曲かもしれん…っていったら言い過ぎかもしれませんがとにかく良い曲ですよ。今作のアグレッシブな作風とは合わないかな?と思いきや不思議なくらいエンディングに相応しい感じになってる。

ジャケットは今回はめちゃくちゃ硬派。オタクイベントで売られてるCDとは思えないほどに硬派。ディスクユニオンに置いてあっても違和感ないでしょうねこれは。

次回作はいつになるのか…秋にまたアルバム出ちゃうのか? さすがにそれはハイペースすぎて息切れが心配になりますし、やはりここはクオリティアップのためにも1年はかけて欲しいところでしょうか。といってもすでに楽曲とギターは完璧だからあとクオリティアップするべきなのはサウンドプロダクションだけですけどね。
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Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

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