Xiloro「Dig A Pear」

dig a pear


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ほんとね…このサークルはめちゃくちゃ面白いことやってるんですよ。未だご存知ない方が多いとは思うんですけどね、この機会に是非とも聞いて頂きたい。試聴だけでは全貌を把握できない系の音楽なので是非とも購入して聞いて頂きたい。iTunesでも配信されてるんで同人音楽にありがちな入手困難も無くて誰でも気軽に聞くことが出来ますよ。

一聴すると普通のガールズロックっぽい雰囲気だし(実際は全然普通じゃないけど)割と万人向けだと思うんで多くの方におすすめしたいんですが、でもこのサークルの真の面白みを理解できるのは新旧洋邦の音楽を分け隔てなく聞き漁ってる音楽詳しい系リスナーだと思うんで我こそは音楽詳しいマンだと自負する方にこそ聞いて頂きたいかも。

このサークルの凄さっていうのは、もちろん音楽そのものの凄さもあるんですがそれに加えて、このサークルって実は本来は同人ゲーム制作サークルであって、このXiloroっていうのはその同人ゲームサークルから派生した別名義?みたいな感じで…つまり音楽が活動のメインではないってことですね。
にも関わらず、音楽を専門にやってるサークルを凌駕するペースで作品を立て続けに発表し(活動開始から1年でフルアルバム2枚とマキシシングル1枚)、しかもただハイペースなだけではなく内容も大充実していてオリジナリティについても他サークルの追随を許さないレベルっていうね…。まさに驚異的。

でも本当に凄いのは、これだけハイペースに作品出してるのに収録曲の1つ1つが「キャラ立ち」してるっていう事なんですよ。これを実現できてるサークル(バンド)ってかなり希少だと思うんですよね。
というのは、ハイペースにリリース続けてるサークル自体は決して珍しくはなくて、例えばセミプロ系の有名サークルなんかは毎イベントでミニアルバムをリリースしてる訳なんですけどね、そういうサークルって大抵「あれ?この曲ってこの前のアルバムに入ってた曲とほとんど同じじゃね…?」みたいに楽曲のパターン化が著しかったりする訳で、まあパターン化することは活動が長くなれば仕方ないし、パターン化イコール安心感とも言い換えることが出来るから必ずしも悪とも言い切れないんですが、でもまあ新鮮味や刺激が無くなるのは否定し難いところですよね。
ところがこのXiloroは、2年連続でフルアルバム出して合計楽曲数は25曲にも及ぶというのに、全ての曲が「キャラ立ち」してる。同じパターンの曲がほとんど無いんですよ。これってやばくないですか? どんだけ音楽性の引き出しが豊富なんだよっていう。しかも、バラエティ富ませるために安直にジャズっぽい曲調とか民謡調などのありがちな手段に及ぶこともなく、邦楽と洋楽の垣根を破る、もしくは時代の壁を破ることでバラエティに富ませてるというか? そこがすげえんですよ。
そしてそして更に、それだけバラエティ富んでてもXiloro「らしさ」と言える核の部分は全くブレてないんです。うちのブログは「オリジナリティ」と「バラエティ」の両立というのをめちゃくちゃ重要視してる感じなんですけど、そこをこれ以上に有り得ないほどに完璧に達成してる…。ケチの付け所がねえ…。

ただ、同じく筑波の天才の赤ヘルさん率いるREJECTIONと比べると、このXiloroは時代の壁を越えることが面白さに直結してるけど、時代の流れに対応した「先進性」は無いから…まあそこだけですね負けてる部分があるとしたら。いや、でもXiloroがダブステップとかDjentとか取り入れても違和感しかないしそんなの求めてないから現状のままで1ミリも問題ないのですが。

まあそんな訳で完璧な内容の最新作なんですけど、ずっと完璧だった訳ではなく、昨年の夏コミで出たマキシシングル「レンダリング」のときには方向性に少し疑問符が付いてたんですよね。というのは、このXiloroの面白さって、基本的にオルタナっぽいガールズロックとして聞けるんだけど、リフがやたらHR/HM的だったり曲展開が妙にひねくれてたり、でも総合的に聞くとやっぱりオルタナ系のインディーロックの範疇にあるというか、そういう絶妙なバランスにこそ魅力があると思うんですよね。
しかし「レンダリング」収録曲はタイトル曲こそXiloroの良さを維持してはいたものの、他の2曲がちょっとメタル側に寄り過ぎててXiloroならではの面白みが減退してた感もあり…。いや、曲としては良い曲だったけどやっぱり何か違う感じがね…。
でも今回の2ndアルバムでは1stの時の絶妙なバランスを再び取り戻していたので、シングルの方向性は一時的な実験だったのかな?と思っております。

前置き長くなりましたがそろそろ今作の具体的な内容に移ります…。

まず1曲目の表題曲「Dig A Pear」、重厚なギターサウンドによるオールドスクールなハードロック系リフが非常に印象的なオープニングチューン。このリフ、1stの1曲目の「Neverlasting」と同系統ではあるんですが、二番煎じ的な感じではなくやはり変化を感じる。Neverlastingのほうもリフの存在感が際立ってたけどあくまで主役は歌だったと思うんですが、今回のDig A Pearについてはリフが完全に主役で歌がおまけみたいな位置付け。この曲に限らず、今回の2ndアルバムはギターリフを中心に構成した曲が目に見えて増えてますね。
更にいうと、ギターの音作り自体もけっこう変わってて、元々からこのサークルはギターの音が分厚かったけど今回は輪をかけてギターの音がデカくなってる。一般リスナーには耳障りなんじゃないかな?って心配するレベルで音がデカい。ギターの音圧はでかけりゃでかいほど良い!みたいな発想に基いてそうな轟音サウンド。だがそれが良いんですよ。この轟音サウンドが型破りな雰囲気を助長していて、HR/HM的なお行儀の良さと一線を画してる。それによって更にジャンル越境の面白みが増しているというか? とにかく個人的にはこの音のデカさが爽快感に繋がってる。
あと、ボーカルがおまけみたいなポジションと書きましたが、ボーカルの役回り自体はめちゃくちゃ重要。はっきり言って、この女性ボーカルのMeltyさんの歌声無しではXiloroの音楽性は成り立たないと思う。というのは、Meltyさんの歌声の持つサブカルオシャレバンドでも通用しそうでありアニソンでも通用しそうでもありのジャンルの中間に位置してる雰囲気があって初めてXiloroのジャンル&時代の越境は成功するのであって、もしこの歌声がなければ単なるオールドスクールなハードロックになってた可能性もあるかなと。

次の2曲目「Tengu」もこれまたギターリフの主張がデカい曲。ていうかこのリフめちゃくちゃ良いですよね…このグルーヴ感たまんない。傑作ギターリフっすね。ここまでHR/HM的なギターリフ主導だとインディーロックという枠には当てはまらないと思うけど、かと言ってメタルかというとそこまで機械的ではなくちょっとオルタナ的な有機性があったり、ハードロック的な懐古感はMeltyさんのオシャレな歌声が相殺してるし、この何とも言えないハイブリッド感こそがXiloroの魅力だなと思うんですよ。

3曲目「レンダリング」、これは夏コミのシングルの表題曲の再収録ですね。ヘヴィな1曲目2曲目とは打って変わってまったりとした曲調で、メランコリックな歌メロと揺れまくるギターエフェクトが印象的。

4曲目「Volksgarten」は公式の曲解説だと「異国風情がある」って書かれてたけど特に民謡っぽい雰囲気があったりする訳でもないかな。終盤に中東っぽいメロディ入ってくるけど。とんがりまくった個性的な曲が多い本作においては割と「普通」な曲かな。

5曲目「Particle」、バラード枠かと思いきやごく自然に変拍子が入ってくる。後半のギターソロのところではベースがめっちゃテクニカルなアンサンブルを聞かせますしかなりプログレ寄りと言える曲調。1stにも転調などのひねくれた展開はけっこうあったんですがここまで明確にテクニカル志向を打ち出した楽曲は無かったのでこれは大きな変化と言えますかね。このXiloroは敷根さん(もきねさん?)と市瀬さんの2人のメンバーがそれぞれ作曲しているようですが、今作の「トドメ」の1曲と言える超絶テクニカル曲「Surfing On」といい、市瀬さんのほうはだいぶテクニカル志向に傾いてるようですねえ。
アレンジのプログレ性にばかり気が向いてしまいますがメロディも秀逸だし実に整合性の高い楽曲に仕上がってますね。

6曲目「クラゲの気持ち」、今作最高の変態ソング。試聴で部分的に聞いたときは童謡っぽい可愛らしい曲かなと思ってたんですが、確かに可愛らしくはあるけどド変態な曲展開します。ぱっちりひつじに通ずる変態性があるかも。
出だしは試聴でも聞ける童謡風のポップなパートで、でもよく聞くとこの時点でタッピングのピロピロが入ってたりするし既に変態くさいですね。サビメロは浮遊感あるアレンジで、そこからポストロック風味の軽快なリフが展開されますが徐々に不穏な雰囲気に移行し、テンポダウンしたAメロが展開されたと思いきや急激にテンポアップしてメロスピばりのピロピロが繰り広げられたと思ったらギター弾きまくりのままダークな曲調になって最後にAメロのメロディが再現されて終了…。
まあいちいち説明しても伝わらないと思うし実際に聞くのが手っ取り早いと思いますがとにかく曲展開が迷子。予想不能にも程がある。支離滅裂の寸前で踏みとどまっているような危うさに面白みがあふれる変態ソングですね。

7曲目「夢を歌ってくれ」は一転して落ち着いた渋いフォークソングっぽい曲調。奇をてらった展開などはなくMeltyさんの情感ある歌唱が中心になってる1曲ですね。Meltyさんも1stに比べると表現力がかなり増してる気がしますねえ。

8曲目「Post Office」、中3のとき作った曲って書かれてますけどマジで?? 天才か。めちゃくちゃ良い曲じゃないっすか。英詞ということもあって洋楽ポップス感が特に強い曲かも。これを中3で作ったっていうんだからやっぱり洋楽からの影響が濃いんだろうなぁ。

9曲目「Her Engine Looks Like A Wheel」、酔っ払ったような?素っ頓狂なハイトーンボーカルとドライブ感あふれるギターリフの組み合わせが実に爽快な1曲。オールドスクールな洋楽ハードロックっぽい感じとオシャレなサブカルポップス感が見事に混じり合ったハイブリッド感ありますね。やはりこれもMeltyさんの歌声なしでは成立しない絶妙さでしょうね。

ラスト10曲目「Surfing On」、今作のハイライトチューンにして今作最大の問題作。「難しすぎて演奏者の精神を蝕んだ」っていう説明文ありますが…そりゃそうでしょ…どう聞いてもやり過ぎな曲。変拍子やらポリリズム駆使したテクニカルに次ぐテクニカルな展開。Octaviagrace辺りがやってそうな難易度ですよね。
しかしですね、それでもめちゃくちゃ良いメロディ持った曲だと思うんですよ。Xiloroの最高傑作と言えそうなくらいに良い曲。過剰にテクニカルなアレンジについても、無駄にテクニカルにしたっていう感じではなくてちゃんと必然性があるというか、曲の良さを際立たせるためのプログレッシブなアレンジだと思えるし、だから演奏者の苦労はしっかり報われてると思うんですよね。
でもまあ演奏者に強烈な負担を強いるような曲を何度もやる訳にはいかないだろうしこの路線の曲は今後はなさそうですかね…。めっちゃ良い曲であることは確かですが。

1stに引き続きノビルさんの手がけた個性的な絵柄のジャケもほんと素晴らしいですよね…。このジャケの雰囲気も含めてXiloroの総合的なカラーが決しているというか、それくらい重要。

そんな訳で、マニアックなリスナーにも一般リスナーにも幅広く対応してる素晴らしい作品ですので是非とも聞いて頂きたいですね。1stは1500円だからこっちを先に聞いてみるというのもアリだとは思う。でも1stも傑作だから聞いて欲しい。
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Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

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↓当ブログ的に超絶おすすめなサークル2選!!!
必聴です!!!!!

http://lostmyproust.jimdo.com/

https://tomorro4.bandcamp.com/

↓その他のおすすめサークルはこちらにまとめてあります
http://adtoe.blog.fc2.com/blog-category-75.html

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