Laralastudio「Improvisation Life」

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http://laralastudio.web.fc2.com/

女性ボーカルポップス系サークル、Laralastudioの1st「フル」アルバムですね。「フル」ってところ重要です。そうじゃないと出て来たばっかりの新規サークルみたいな印象を与えちゃうと思いますんで。確かにフルアルバムはこれが初なんですが、今までミニアルバムを何枚もリリースしてるそこそこ歴史の長いサークルでございます。

とはいえ公式であえて「1st album」という風に紹介してるのは意図的にやってるみたいなんで、竹之内さんにとってはやっぱり今作こそが真の1stアルバム扱いなのかもしれないですね。心機一転、これがLaralastudioの新たなるスタートという意味が込められてる?

実際、今作は従来のLaralastudio作品とは異なる特徴がいくつも見受けられます。
一番分かりやすいのはジャケですよね。竹之内さん自らが描いたいつもの手描き風味の味わい深いイラストではなくちゃんと絵師さんに依頼した美麗なイラストになっています。
個人的には竹之内さんの手描きイラストは好きだしLaralastudioにとって必須な要素だと思ってたけど、しかしあの手描きイラストに良さを感じるのは自分みたいに同人音楽にアマチュア性を求めてる一部のリスナー(もしくはそういう芸風のサブカル系バンド好きなリスナー)だけだろうし、大半の同人音楽リスナーは同人CDに対しても「商品」としての完成度を求めてると思うんで、これは正しい選択肢だったのかなと思います。
もちろん、手描きイラストを捨て去った訳ではなく、竹之内イラストは男性ボーカルの別ユニットMimisのほうに継承されてますから問題ないですしね。

そして中身の音楽にも若干の変化が見られます。
各楽曲の曲調自体はいつものラララの延長線上っていうか、そもそもラララって作品毎に作風が変わるサークルであるし音楽性も幅広いんでそれについては特に今までとの相違点は無いとは思うんですが、しかしボーカルについては今回はフルアルバムということもあって最多の4人のゲストボーカルさんが歌っていて、そこに今までと異なる感触があるのかなと思います。
特に藍月なくるさん。今をときめくDTころ…じゃなくて美しい透明感あふれる歌声を聞かせる人気のボーカルさんなんですけど、ぶっちゃけ従来のラララのゲストボーカルさん達とはかなりタイプが異なると思う。
ラララの曲調って基本的にサブカル寄りなJポップ、もしくはサブカル寄りアニソンっていうイメージがあるんですが、藍月なくるさんの歌声ってエロゲソング系なんですよ。同じポップソングという括りであってもけっこう距離がある。エロゲソングってこれまた偏見に満ちたカテゴライズだけど…あくまでイメージですけどね。
だから藍月なくるさんの歌ってる曲はあんまりLaralastudioっぽくないというか、何か別サークルのように聞こえる。でも別に違和感があるってほどではないんですけどね。そもそもゲストに複数のボーカルを迎えてる時点でサークルとしての独自色を強く打ち出すのは難しいし、必然的にバラエティ感に重きを置くことになりますからね。これだけ幅のある音楽性ならばちょっとくらい別タイプのボーカルさん居ても大して気にならないっていうか。

竹之内さん「らしさ」が色濃く出た作風はMimisのほうでしっかり披露されてる訳ですから、女性ボーカルをフィーチャーしているLaralastudioのほうでは「売れ線」を意識…って言ったら語弊ありますが同人音楽ジャンルにおける需要に沿った作風にしていくことでそれぞれの役割分担を明確にしていくのかなって感じもあります。

収録曲は9曲。うちインストは1曲でボーカル曲は8曲。当然ながらLaralastudio史上最大のボリュームですね。Mimisのほうも並行して新作出してるっていうのにこれだけの楽曲揃えられたってことに普通に驚きます。なんというモチベーションの高さ。
まあ曲数が多くなったことで各楽曲の内容が心なしか薄まったというか、突出した名曲が無いって言えなくもないんですけど、でも十分に楽曲の平均点は高いと思います。
曲調はバラエティに富んでいて、今までの歴代ラララ作品の作風を総動員した集大成的な側面もあると言えそう。でも集大成であっても最高傑作とまでは言えないかな…。前述の通り突出した名曲が無いので。いや…名曲が無いって思えるのは柳かおりさん不在のせいもあるかもしれないけども…。柳かおりさんの歌声は他の人では替えの効かない唯一無二の素晴らしさでしたからね…。Laralastudioを語る上で外せない、外したくないボーカルさんであるのは間違いない。記念すべき1stフルアルバムにいらっしゃらないのはやはり寂しいと言わざるを得ない。

ピアノによる静かなイントロに続く2曲目「彼方まで」、さっそく藍月なくるさんの担当曲です。曲調は「Hello shooting star」あたりの流れを汲んでるかな。キラキラしたイメージのアニソン然とした曲です。藍月なくるさんの歌声の補正でエロゲソング寄りになってる気もしますけどね。素晴らしい曲であるのは確かですが、ラララらしさがあるかと言ったら微妙だし、逆にこの楽曲が藍月なくるさんの魅力を引き出せてるかっていうとそれも微妙。藍月なくるさんの歌声の魅力を100パーセント引き出せてるのってEndorfinの楽曲だけかもしれない。自身のソロ作ですら100パーセントではないと思う。
いや、でもこの曲が悪い訳じゃないので誤解なきよう。良い曲です。間違いなく。
っていうか実はこの曲を初めて聞いたときちょっと冒頭部分がめらみぽっぷさんの声に聞こえたりしたんですよ。意外にお2人の声って似てたんだなぁと。

3曲目「不眠症」、ダウナーなタイトルとは裏腹に曲調はテンション高め。このタイトルで「君の話を聞かせて~」のロマンチックな響きのサビに繋げるギャップ感は魅力なんですが、でもよく考えると自分が眠れないからって「君」を巻き添えにしてる傍迷惑な主人公って感じもしなくない…。まあそれは置いといて。曲はめっちゃ良いです。
このボーカルの西風さんってラララ初参加かと思いますがこの方はイメージに合ってますよね。こういう元気なタイプの竹之内ソングにぴったりな声なんじゃないかと。

3曲目、お馴染みの町乃さん担当の「恋する世界はあいまいだ」。結論から言うと今回のフルアルバムのハイライト曲はこの曲を含めた町乃さん担当の2曲だと思ってます。町乃さんの歌声と竹之内ソングの相性は抜群。竹之内さんって基本的にどんな曲調でも作れちゃうオールラウンダー的な器用さを誇ると思うんですがやっぱり町乃さんフィーチャリングの際のやくしまるえつこ系サブカルポップスについては特に得意分野って感じありますよね。今回も可愛らしいメロディ展開と宇宙絡みの突拍子も無い歌詞は健在。あとこの曲はCメロが良いっすねえ。Cメロをサビに出来そうなくらい。

4曲目「気づいてくれない」、このボーカルのぴーたまさんは前作「ひかりの速度と君の呼吸」でも歌ってましたね。この方のちょっと気怠さを含んだような歌声もラララのイメージに合ってると思う。アコースティックサウンドの静かなバラード風で童謡風味の優しいメロディがとても印象的。男女間のディスコミュニケーションを歌ったような歌詞かと思いきや「どうせ傷つくなら嘘にまみれていたい」のあたりとか、何気にけっこう毒のある歌詞ですよね。次の5曲目もそうなんですけど、今までのラララってこんなにダークな歌詞あったっけ?

5曲目「マリンスノー」、これも藍月なくるさんフィーチャリング。竹之内さんのセルフライナーノーツによれば、マリンスノーってプランクトンの死骸のことなんだそうで、この言葉の綺麗な語感と裏腹にダークなニュアンス含んでる感じが楽曲にも巧く反映されてて見事だなぁと。基本的に藍月なくるさんの歌声を活かした美しい曲調なんだけど死を直接的に表現した歌詞がさらっと出てきたりしますからね。美しさと悲壮感が同居したような雰囲気。ほんとこのダークさはLaralastudioとしては珍しいんじゃないかと思います。深海を表現した泡のSEも少し不気味さを伴ってますし。
2曲目と同様、ラララらしさがあるかと言えば微妙かもしれませんが今までに無い新境地的な魅力があると思います。

7曲目「ほしのむこう」、これがまた素晴らしい。町乃さんフィーチャリングなんですがシューゲイザーとプログレを組み合わせたような今までにない実験的な作風。シューゲイザーっぽさは意図的に作ってるんだろうけどプログレっぽさは偶然なのかなぁ。でも深みのあるシンセの音色と変則的なドラミングの組み合わせから生まれる美しくもカオスな音世界はやっぱりプログレと形容したくなってしまう。これもまた竹之内さんの新境地と言えそう。

8曲目「New song」、これはぴーたまさん担当ですが、竹之内さんらしい素朴な曲調と歌声がぴったり合ってる。派手さはないけど心地良い曲ですよね。あと、この曲だけJuniさんがギターソロ弾いてるみたいですね。やっぱりJuniさんのカッコいいソロが入ると楽曲が引き締まる。

9曲目「PUZZLE」、最後は西風さん担当の元気な曲で締めます。ブラスセクションが彩る賑やかなアレンジなんですけど、サビ後半とCメロでのちょっと切ないメロディになるところが特に好きですね。

ほんと今回はバラエティ豊かなんですけど、その半面で柳かおりさんが全曲歌ってたときのような作品を通しての統一感は乏しいし散漫って言えなくもないんですが、でも、竹之内さん自身が歌えば統一感なんて余裕で出せるってのはMimisで証明されてる訳ですしね、やはりLaralastudioのほうはこのバラエティ路線で正しいんじゃないかと思います。LaralastudioとMimisでそれぞれの魅力を追求していって欲しいなぁという感じです。
そのMimisのほうも近々記事を書きたいと思ってますのでお待ちを。



あと、フルアルバム記念にLaralastudioのベスト曲を選ぶとしたらどうなるかなと思いついて試しにリストアップしてみたんですが、

to you
神様になって
ゆらゆらムーンライト
さよならプラネット ←これが一番の名曲
宇宙ピエロ
Hello shooting star
混濁とレンズ
僕がギターを弾くのなら
天気予報士は無責任
ひかりの速度と君の呼吸
butterfly girl
ほしのむこう

こんな感じですかね? 改めて名曲ほんとに多いなぁと。新規リスナーのためにも是非ともベスト盤を出して欲しい。
でもベスト盤を出すのってアーティストがネタ切れに陥ったときっていうイメージが無きにしもあらずなんでもうちょい先でもいいかもしれないですが…。
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Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

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↓当ブログ的に超絶おすすめなサークル2選!!!
必聴です!!!!!

http://lostmyproust.jimdo.com/

https://tomorro4.bandcamp.com/

↓その他のおすすめサークルはこちらにまとめてあります
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