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Liesvect「Liesvect 2 -observer-」

http://liesvect.wixsite.com/liesvect/liesvect2

新進気鋭のメタルサークル Liesvect がデビューから1年の時を経て放った、このサークルの超本気が詰まりまくった驚愕必至のフルアルバムです。
なんと14曲収録の大ボリューム、そして全てボーカル曲で尚且つゲストボーカルは実力派揃い、テクニカルでメロディアスでプログレッシブでアレンジの細部まで計算されたハイレベルな演奏、どれを取ってもデビューから1年のサークルとは信じられないクオリティであり、全ての同人メタラー必聴の絶大なインパクトを内包した作品でございます。

http://adtoe.blog.fc2.com/blog-entry-683.html
大まかな感想は先日の記事に書いた通りなのでそちらを参照して頂くとして、今回は各楽曲について詳細な感想を書き綴っておこうかと思います。
その前に、このLiesvectについてご存知ないリスナーの方々もいそうなので簡単に説明しておこうかと。
前述の通りこのサークルのM3デビューは1年前の秋M3だったのですが、そのデビュー作はボカロをフィーチャーした内容で、音楽性も今作とは少し異なりメタルコアやメロデス要素のないパワーメタル寄りな作風でした。
それから2ヶ月後の冬コミでも新作が発表され、そちらはデビュー作の収録曲を元Ether所属で知られる桜璃さんが歌唱した新バージョンと、新規のインスト曲が追加された企画盤的なシングルとなっていました。
で、その後は春M3にも不参加でしばらく表立った活動は無かったのですが、その間にこの大ボリュームのフルアルバムを作り上げていたという訳ですね。他の一般的なメタルサークルならばフルアルバム制作に1年以上を要するのが普通だと思うんでやはり驚異的な速度だと思います。
ちなみに個人的な意見ですけども、春M3でこのフルアルバムから先行シングル的に1~2曲くらい頒布しても良かったような気もするんですよね。1stからこのフルアルバムでけっこう急激な音楽性の変化もあった訳なんで、合間を埋める何か欲しかったというか。そのほうが違和感も軽減されただろうし…。まあ結果論なんですけどね。

では具体的な楽曲についてですが、まず1曲目「Void.Abyss」、これは新加入の男声ボーカリストのミチザネさんを大々的にフィーチャーした曲で、なんとクリーンボーカルパート無しのメロデス曲です。前作とは完全に別物というか、むしろ前作との共通点を見出すほうが難しい。それをアルバム1発目に持ってきてるんだから実に大胆な選択ですね。さらにはこの曲だけでなく、3曲目は男性ボーカルオンリー、4曲目はこれまたデスボイスオンリーとなっており、序盤の印象がひたすらアグレッシブなことになってます。
このアルバムは全体的には女性ボーカルをフィーチャーしたキャッチーな楽曲が主体で、非メタルのポップス曲もいくつも収録されているというのにも関わらずこの序盤の構成、まるで女性ボーカル目当てで聞こうとしている軟弱リスナーを門前で蹴り飛ばして追い返してるかのよう。良くも悪くも冒険的と言えますかね。この構成にどういう意図があるのか分からないですが、現時点で正式所属している専任ボーカリストはミチザネさんしかいないみたいなんで、やはり正式メンバーの見せ場を最初に設けたかったということなのかなぁ。あとは、このアルバムは全3部構成のコンセプチュアルな仕様になってるみたいだからそのコンセプトからの必要性に依るものなのかもしれない。
もちろん、前作との比較とか全体の流れなどの要素を無視してこの曲単体で聞いてみればカッコイイ曲であることは間違いないと思うんですよ。サビではキャッチーな東方風なメロディが流れたりとか同人メタラーのツボを押さえた曲展開になってますしね。

2曲目「Void.ウタヒメ」、これはイベント前にフル公開されていたリードトラック的な楽曲だと思うんですが、サウンドクラウドでこの曲単体で聞いたときはいまいちピンと来なかったんですがアルバムの流れで聞いてみると実に優れた楽曲であることを実感できましたね。というか前作に無かった要素であるメタルコア…というよりメロデス要素と言ったほうが正しいのかな、このアグレッシブなパートにどうも違和感あったんですが、他の曲ではメロデスパートもちゃんと楽曲に馴染んでる感あるんで、どうやら違和感はこの曲だけのものであったようです。
7分越えの長尺曲ということもあり起伏に富んで実にドラマチックな展開を見せる曲ですよね。特に歌メロのもたらす高揚感は今作中でも上位に入るかと。1stはボカロだったこともあって歌メロの強さは感じにくい部分もあったのですが今回は実力あるボーカリストの力を借りることでダイレクトに魅力が伝わってくる気がします。
ギタープレイの流麗さ且つメロディアスなフレーズも楽曲の劇的な展開に大きく貢献しているのですが、それと共にキラキラしたシンセのフレーズも非常にドラマチックさを演出していて、これは1stにあった魅力である「清涼感」に通ずるものを感じるので個人的に評価したい部分ですね。

3曲目「Void.Solid ploof」、これはミチザネさんフィーチャリングなんですがスクリームは少なめでほとんどがクリーンボーカルですね。クリーン主体とはいえ女性ボーカル目当てで聞いたリスナーが求めてるタイプの曲ではないでしょうし前作の作風とも全く別物なんだけど、ミチザネさん普通にクリーンでもカッコイイと思うしDjentyでテクニカルな演奏は聞き応えありまくりだし十分すぎる魅力を備えていると思いますね。
というか次の曲もそうなんだけどこのテクニカルなアンサンブル凄まじいですよね。前作よりはるかに進化している。ちょっと音が軽めなんでこの手のハードコアな音が好きなリスナーからすると物足りない部分もあるかもしれないけどテクニカルメタルが好きな者としては満足度は高いです。特に、ベースがまるでリード楽器のように動き回ってギターフレーズと絡んでくる展開には痺れますよ。前作にもあったけどこれがBlueさんの得意技って感じありますね。

4曲目「Void.Calyx」、再びデスボイス(スクリーム)オンリーでアグレッシブな楽曲です。こちらもDjent的なヘヴィ&テクニカルチューンなんですがベースラインの目立ち方は前曲以上。もはやLiesvectの「売り」はこのベースラインなのかなと思えるほど。

5曲目「Void.juggernaut」、これが今作のベストチューンですかねやっぱり。とにかく驚くべき完成度の高さ。歌唱力抜群のおこげちゃんさんをフィーチャリングすることでボーカルパートは当然ながら完璧だし、メロデス的リフも今作中では最も説得力のある劇的なフレーズを備えていることに加え、間奏パートではプログレメタル的なテクニカル展開をこれでもかと詰め込んでいますし、ほんとに全く隙の無い出来栄え。テクニカル要素がありながらもそれが嫌味にならないように上手く構成してることも含めて、同人メタルとして理想的な音を提示していると言っても過言でないんじゃないですかね。これなら東方メタルの上位サークルにも全く負けてない思うし全ての同人メタラーに聞いて欲しい曲ですね。

6曲目「Eclipse.Erosion」、これはDjentサウンドに歌謡曲的な粘っこい歌メロが乗るスロー曲。今作中では比較的地味な印象な曲ではあるんですが割とスルメ曲かもしれない。

7曲目「Eclipse.Polaris」、これもハイライトチューンの1つでしょうね。客観的には5曲目が1番かなと思うけど主観的にベスト選ぶとするならこっちかもなぁ。それは藍月なくるさんが歌ってることとも無関係ではない…むしろ関係ありまくりなんですが、でも藍月なくるさん補正を抜きにしても素晴らしい曲だと思うんですよ。スタイリッシュなDjentリフを下地にしながらもそこにキラキラシンセの装飾やドラマチックなツインリードギターが絶妙に絡んで作中でも随一の完成度のサウンドを聞かせていますね。特にサビ後の間奏でのゲーム音楽感あふれるシンセのフレーズがツボです。同人メタル(オタクメタル)ならではの魅力に満ちているし、派手な疾走展開は無いのにキラーチューン感あるのは凄いと思う。雰囲気も1stミニアルバムを継承してると思うしなんとなくBlueさんって名前の通りこういう青っぽいイメージの曲のほうが得意に思えたりします。
もちろん、藍月なくるさんの歌唱も非常に重要な要素です。楽曲の持つ透明感と藍月さんの歌声の繊細な美しさが相乗効果を生み出していると思います。というかぶっちゃけ、この歌声をフィーチャリングしたメタル曲をやってくれたってだけでも感謝の言葉が出て来るくらい。それほどにオタクホイホイでDT殺しなボイスですよまじで。(※ DT→Dream Theater)
サビでボカロ前提みたいな超高音な歌メロが登場するのは愛嬌ですかね。まあ元々ボカロメタルだったんだし。

8曲目「Eclipse.einmal」、ここから「コンピレーション」ゾーンの開始ですね。これより前の曲は全てBlueさん作の楽曲だった訳ですがここからちゃろんさんと低燃費さんの曲が代る代るに登場する感じの構成です。1つのバンドの作品で複数のコンポーザーが作曲していることは全くもって一般的なことなのですが、しかしこのアルバムの場合はコンピレーションと評さざるを得ないですかね…。作風が違うというより共通点を見出すのが難しい。「バラエティ豊か」っていうのは何かしら一貫した「軸」が存在する場合に使うべき形容だと思うんでやっぱりこのアルバムには相応しくないかなぁ。ボーカルも違うし楽器の音色もジャンルも何もかも違う。
でも、コンピレーションであっても楽曲単体で聞けばめちゃくちゃ良く出来てる訳なんですよ。特にちゃろんさん作の曲。この曲と12曲目がちゃろんさん作みたいですが、両曲ともに歌メロの良さは突出してるし、洗練されたコーラスワークを始めとしてアレンジにも一流感が漂いまくりだしゲストボーカルのチョイスも完璧だし…。ほんと非の打ち所がない。こんだけ素晴らしい曲ならばメタラー以外の一般リスナーからも注目を浴びそうな気がするんですが…。でもそこはデスボイスオンリーの曲で開始するアルバムに収録されてるって点が足枷になってるかもしれない。
だから結局、この曲もオタクメタラー向けな楽曲なんですよね。オタクメタラーって「俺はメタラーだけどアニソンもアイドルソングも何でも聞くしむしろアイドルソングのほうがメインになりつつある」みたいな雑食性が当たり前になってるじゃないですか。そういう雑食性を前提にしている良くも悪くも非常にオタクメタラーらしい感性で形成されたアルバムなのかなぁと。もちろんBlueさんの楽曲に限定すればちゃんと一貫性のある内容になってるんで方向性に迷いがあるとか試行錯誤って感じは無いんですけどね。

9曲目「Eclipse.Singularity」、再びBlueさんの曲に戻りますがこの曲もパワフルハイトーンのおこげちゃんさんフィーチャリングによりボーカルパートは非常に強固な仕上がりで、尚且つ適度なプログレメタル要素がしっかり聞き所として機能しているのも好感を持てますね。5曲目ほどのキラー感は無いけどばっちり安定してる。

10曲目「Eclipse.泡沫の旅人」、再び藍月なくるさんの天使ボイスのターン。もうこの歌声だけで嬉しい。新メンバーの低燃費さんの曲ですが…まあこれもかなりコンピレーション感が強いですね。曲としての出来はもちろん素晴らしいです。7分近くの尺はちょっと長いかなぁ。

11曲目「Eon.Noar」、この曲はちょっとパッとしない感じあるかなぁ…。まあ14曲も入った大ボリュームアルバムですからね、1曲くらい印象の薄い曲があっても仕方ない。

12曲目「Eon.chromaticity」、ちゃろんさん作ですが、はっきり言って楽曲の良さではこれが最強でしょう。試聴で断片的に聞いた段階でもこの曲の印象が突出してましたからね。高揚感あるシンフォニックアレンジ、名曲感が出まくりのメロディ展開。ゲストボーカルの方の歌声も美しすぎる…。まじハイセンスすぎるでしょ。ちゃろんさんってギタリストのはずなのに2曲ともギターの音が全く入ってないのが不思議でならないんですが、もしギター入ってたらこの雰囲気は出せなかったと思うんで曲調を考慮してのことなのかな。
メタルを好まない一般リスナーにも気に入ってもらえるであろう名曲だと思うのでこのフルアルバムに雑多な感覚で収録されちゃってるのが勿体ない気さえしますね…。実際、M3戦利品写真をざっくり見てた感じだと非メタラーでこのアルバム買ってた人は少ないようにも感じたんで…。

13曲目「Eon.fraps」、藍月なくるさん歌唱ですが、ほんと良い曲ですよねこれも…。ボーカリスト補正はもちろんめちゃくちゃありまくるんですが、歌声の魅力をきっちり引き出すだけの楽曲の良さがあるというかですね。Endorfin.とはまた違った感覚の音作りが良いですなぁ。何気にCメロの展開が好き。

14曲目「Eon.Ashes」、締めはやはりBlueさん。いよいよ大ボリュームフルアルバムも最終曲ということでクライマックス感、ラスボス感のあるドラマチックな展開が用意されてるのが嬉しいですね。変拍子展開とかは無いんですけど割と複雑な曲展開があってプログレ感もがっつりあるし実に良いですねえ。クリーンの歌メロにメロデスのリフを絡める展開が非常にスリリング。これもけっこうBlueさんの得意技かな。

そんな訳で、個々の楽曲はほんとに素晴らしくて捨て曲もほぼ無いと思うし驚異的な内容になってるのは確かだと思います。
しかし全体の構成についてはまだ色々と考慮すべき余地があるだろうし、このサークルの真価が問われるのはやっぱり次回作なのかなぁと。まあ中心人物のBlueさんの曲はちゃんと「軸」もしっかりしてるんだし心配はなさそうですけどね。
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Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

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