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NeinをNein(後編)

Revo氏が今まで作り上げてきた物語を「否定」して異なる可能性を探ろうとする謎のグラサン生命体「R.E.V.O.」。
そしてそのグラサン生命体の否定行為を最後に否定するノエル。
そしてその「Nein」という9th Storyを鑑賞し、個々の物語を否定するかどうかの判断を迫られる観測者であるローラン達。
もっと外側から、この作品そのものを否定、更にはSound Horizon、Revoというアーティストそのものを否定するリスナー達。

こう考えるとまさに「否定」の折り重なった、否定の多重構造になっているのが面白いですよね。作品を否定することさえ作品のコンセプトに内包されてるとかなかなか無茶苦茶な解釈かもしれないですが、それほどに今回のコンセプトって強烈なものだと思うんですよ。

まあこんなこと書いてみたものの、自分が発売時にこの作品を否定したこともコンセプトの範疇に含まれてる現象だったんだと考えて何とか自分を納得させたいという意図もある訳ですけどね…。
実は2ヶ月前、自分が否定的な感想記事を書いたことに対して「否定への賛同」をけっこう頂いたりしてまして、それがなかなかに複雑な気分をもたらすものだったんですよ。賛同を頂けること自体は嬉しいんですが、ネガティブな内容へ賛同されるって必ずしも気分の良いものじゃないですよね。自分は当然ながらサンホラとRevoさんのファンですから、悪く言われたら嫌に決まってる。でもだからと言って、今回の作品に不満を感じたという正直な気持ちも偽りたくないというかですね…。いくら好きだと言っても無条件にベタ褒めしたくはないですからね。ほんと複雑な感じなんですが…。

とりあえずこの「Nein」という問題作について完全に結論が出た訳じゃないんですが、暫定の結論としては、今回の作品については全面的に肯定することは出来ず、半分は肯定、半分は微妙、って感じになりますかね…。煮え切らない答えになりますが。
やはり今回のコンセプト、過去の地平線を全て内包した世界観というのは余りにも壮大すぎて、さすがに生みの親のRevoさんであってもそのコンセプトに完全に見合うだけのクオリティの音楽を作り上げるのには時間が足りなかったのではないでしょうか。リンホラの活動もあって多忙を極めていたんでしょうし。というか、もし時間が十分にあったとしても、このコンセプトで誰しもが納得できる作品を作るとか恐ろしく難易度は高そうですよね。それでも、半分であっても納得できる内容になってる訳なんですから十分だと考えるべきなのかも。

それと今回、ストーリー的な魅力と音楽的な完成度が比例しているように感じるのは気のせいでしょうか。最もドラマチックに原作を改変している「愛咎」が音楽的にも一番素晴らしい出来だし、最も予想外なストーリー展開を見せる「憎束」も味わい深いメロディが満載な素晴らしい曲ですからね。
逆に、ストーリー的にちょっと分かりづらい改変具合の曲は音楽的にも煮え切らない出来のような気がしてならない…。やっぱり良いストーリーを思い付くとメロディ作りも捗るとかあるんじゃないかな…。
今回のアルバム制作にあたって一番最初に出来上がったストーリーが愛咎なのかなって想像するんですよね。だってミーシャ生存ルートとか分かりやす過ぎるじゃないですか。愛咎のコンセプトが最初にありきで、それに続いて他のコンセプトも考えていったんじゃないかとか思えて。それくらい愛咎のインパクトは頭ひとつ抜けてますよね。

ストーリーといえば、今回の収録曲って母親の出産にまつわるエピソードがしつこいほど繰り返し出てきますよね。あと歳の差の恋愛も。これにはどういう意図があるんでしょうね。10周年記念作品でここまで強調するってことはSound Horizonにおいてかなり重要なテーマである可能性が高そうですが。(もしくはRevoさんの性癖…)
でも正直いうとストーリーにバラエティ感を持たせて欲しかった気もしなくないんですけどね。特に3曲目と4曲目で似たテーマが続くのが第一印象を微妙にしてる感じ否めないんで。でも、もしかすると意図的に違和感を覚えるような構成にしている可能性もあるかな…。まあ自分は考察とか得意じゃないんで分かんないです。

そういえばリード曲の「檻の中の箱庭」、最初聞いた時はあんまり好きじゃなかったんですけど、これも結局スルメ曲認定しました。やはりメタラー的に四つ打ちの単調なビートは厳しいものあるんですが、でもこの曲も基本的にメロディは素晴らしい出来だし、あと女性ボーカルのコーラスの絡め方が良いんですよね。加工ボーカルについては最初から違和感ありませんでしたが。ピコリーモ系は好きだし。
それと黒猫四姉妹の歌うCメロ部分が気に入ってます。この部分はリズムに捻りが加えてあって単調さもないし、あと合間に挟まってくるRevoさんの叫び声(?)みたいのが中毒性あったりする。

今回Revoボーカルがメインの曲は3曲、いつも通り世界観を総括する「ブックエンド」的な重要ポジションの曲ばかりですね。近年の作品ではRevoボーカル曲の割合が増える傾向あったから(ヴァニスタなんて全部Revoボーカルだし)今回のNeinもRevoボーカルの出番多いんだろうなと事前に予想してたんですが…意外に少ない気がしますね。まあ、余りに出番が多すぎるとコンサートが大変になるからという事情もありそうですが。

今回の物語の発端を描いた「西洋骨董屋根裏堂」がちょうど真ん中に配置されてるのは珍しい構成ですよね。一期曲と二期曲を分かつ場所に配置されてる訳ですが、当然ながら一期と二期には明確な区別がなされてるということで。リスナーにとっても一期と二期の区分けは非常に重要なんだろうけど、でも一期も二期も隔てずに同じサンホラとして全部楽しむのが理想的だとは思いますよね…。
ただ、今回のNeinにおいては一期曲も二期曲も曲調としてはほとんど大差なくて、全体的にMärchenを踏襲した音楽性になっているから、前半と後半でさほど雰囲気の差はないかなぁと。むしろ曲調的には、言の葉までが前半、憎束以降が後半っていう感覚があるかも。まあ後追いリスナー的には同人時代のアルバムはよく分からないからそこで線を引きたくなるんだと思いますが。

そのブックエンドの1つである「屋根裏堂」、ほんと楽しすぎる曲ですよね。サンホラ流ミュージカル楽曲の楽しさが凝縮されてると言えるでしょう。各キャラクターが実に魅力的に描かれてます。今回の「主人公」ポジションのノエル、ミステリアスな女店主、そして冒頭で電話でしゃべるだけの「にのすけ」も存在感ありすぎる。めっちゃ女性ファン想定して作られてる感じのこのあざとさ。きっと観測(二次創作)も捗ってるんでしょう(?)
基本的に沢城みゆき無双な曲で、まさに沢城さんを前提にして作られたような曲と言えそうです。他にここまで声色を使い分けることが出来る芸達者な女性声優さんっているんだろうか? やっぱり凄い声優さんだなと。
「せいようこっとうやねうらどう!」の合唱のところで思わずシンガロングしてしまうこと必至。それに続く中間部での黒猫四姉妹によるメンバー(商品)紹介で盛り上がりが頂点ですね。最高ですよねこのパート。黒猫四姉妹は長女のFukiさん以外は誰が歌ってるのか把握してないんですが、末っ子がREVO(グラサン)を紹介する部分のやたら甲高い歌声が好きだったりする。

そして最後を締めくくるブックエンドとなる「最果てのL」、熱すぎる曲ですよねえ。ノエルというキャラクターはこの10周年企画を総括する最重要曲を歌わせるために創り出されたのは間違いないでしょうね。リスナーと同じ視点でこのNeinという否定の物語を「観測」し、それに対する答えをリスナーに代わってぶちまけてくれるという非常に重要な存在。このためにノエルが感情移入しやすい等身大のキャラクターとして作り出されたんだろうなという。
この曲はほんとに清々しいほどに青臭すぎるというか、いつものサンホラ曲とは違うベクトルで厨二全開というか、だがそれが良いんですよ。
「だからR.E.V.O.」のくだりで一斉放出されるカタルシス、これを味わえるのは特権だと思います。ここでのR.E.V.O.というのはグラサン生命体のことであって作品を作ってるRevoさんではないんですが、でも実質的に作者の名前を呼んで文句を付けてる訳ですからね、このメタさ加減がほんと凄い。しかし単にメタい展開を作ったとしても歴史の浅いアーティストだったらほとんど面白みはないんですけどね、10年以上の歳月にわたって物語音楽という独自の音楽を作り続けてフォロワー勢にも影響を与えてきたSound Horizonだからこそ意味を持つメタさだと言えるでしょう。
このカタルシスを味わえないリスナーは勿体ないと思う。サンホラをここまで否定せずに応援してきたリスナーだけが辿り着くことが出来るカタルシスなんですよね。
とはいえこの曲、必ずしも名曲にはなってないというか、Interview with Noelに比べたらちょっとメロディ弱い気がしないでもないですよね…。やはりInterview with Noelにメロディのアイディアを費やしすぎてしまったのでは…。そこだけちょっと惜しまれるかな。

…まだ書くべきことは沢山あるけどとりあえずここで止めておきますか…これ以上書いてもグダグダになりそうだし。2ヶ月以上も先延ばししたのに全然まとまってないですね。まあこのアルバムについては既に多くのローランの皆さんに語り尽くされてるだろうし中途半端でも別にいいか。同人CDだったら投げっぱなしはよろしくないんですけどね。

以前も書いた通り、今回の作品はかなり人を選ぶ内容になってると思うし、「過去作を扱ってるから」という理由で既にサンホラに対する関心を失ったリスナーが無理して聞いたりしないほうが無難な作品だとは思います。生半可な興味で手を出したら地雷になりかねないですし。
ただ、この過去を総括する否定の物語を受け入れ、それに対する答えを見つけることが出来たリスナーは間違いなく貴重な経験を得たのだろうと思います。聞かないと損をするとは言い切れないが、聞いて自分なりの答えが見付けられればきっと得をする。そんな作品でしょうか。
新規リスナーについてはどうなんですかね…もしこのNeinから入門したいうファンがいたら相当な強者だと思うんですが…。Revoさんはいちおう新規ファンも想定してるみたいですけど。
それにしても、公式で二次創作を推奨しまくりとかまるで東方projectみたいなノリですがサンホラはファン層がかなり限られてるし原作の癖が強いのでフリーダムすぎる二次創作であらぬ方向に行っちゃうようなことはないんでしょうけどね。むしろ公式が一番やらかしてる感があるというか…。エレミシャのアレとかね…。
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Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

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