Adust Rain「Judgement of the Sun」

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https://adustrain.jimdo.com/

界隈屈指の実力派ボーカリストを擁する東方ラウドアレンジサークルAdust Rainの昨年秋M3頒布のEP。オリジナル作品としてはこれが3作目かな。

このAdust Rain、超パワフルなハイトーンボイスを武器とする女性歌い手おこげちゃん(okogeeechann)さんが所属してるっていうだけでも圧倒的アドバンテージ持ってるのに、勢いとスタイリッシュさを兼ね備えた楽曲に洗練されたサウンドプロダクションも手に入れたことでもはや敵なしのクオリティに至った感はありますね。
オリジナル作品としては前作に当たる「Asking for the Moon」において初期の頃の芋臭さ残る音は完全に消え去って一線級のオーラが漂う本格ラウドサウンドに進化した感あったんですが、でもAsking for the Moonは実質2曲入りのシングルでボリュームという点ではだいぶ物足りなかった訳なんですけど今回は4曲入りということで現状のAdust Rainの魅力が存分に発揮された内容になってる気がしますね。

音楽性においても、疾走感あるハイテンションラウドロック+V系由来のスタイリッシュさという方向性がガッチリと固まり統一感ある内容になっていて好印象。
加えて4曲とも全てアップテンポな楽曲ばかりでテンションが持続する構成になってるのも素晴らしい。フルアルバムで全曲疾走だったらワンパターンになるかもしれないけどEPならこれくらい振り切れてたほうが良いですよね。

1曲目の表題曲「Judgement of the Sun」から早速全力疾走の爽快なラウドロック。エモーショナルに鋭く鳴り響くギターにツービート疾走の安定感あるドラムサウンドで完璧な出来栄え。おこげちゃんさんのハイトーンボイスは相変わらず凄まじいですが、このビブラートの効いた歌声はラウド系リスナーだけでなくクサメタラーやゴシック系リスナーの琴線にも触れそうですしやっぱり大きな強みだと思う。そして何気にLiesvectのミチザネさんもゲスト参加してるっていう。

2曲目「HAPPY HAPPY,ULTRA HAPPY」は明るくキャッチーなメロコア風。今作で最もポップな感触の曲かな。全て英詞だけど雰囲気としては硬派さはなく可愛らしい感じ。

3曲目は「Misery Song」というネガティブ感ある曲名だけど曲調はやはりアップテンポ。東方っぽさのあるサビメロ。

4曲目「Otherside Dance Fall!!!」は最終曲にして最もテンポ速い楽曲。「Asking for the Moon」の1曲目と同様に高速で畳み掛けるスネアとおこげちゃんさんの超絶ハイトーンの相乗効果によりテンションは最高潮に達する。でもこの曲たったの1分半程度しかないんですよね…短すぎる。せめて2コーラスは欲しかった…。

そんな訳で前作から正当進化した充実の内容になってますしこの路線で是非ともフルアルバム期待したいところですが、でも欠点はやっぱジャケですね…歯型みたいなジャケよりかは幾分かマシだけど依然として東方アレンジ作品との落差がひどい…。まあアルバムの時はさすがに気合い入れてくれるだろうけど。
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Laralastudio「留守番電話」

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http://laralastudio.web.fc2.com/

シンガーソングライター竹之内貴英さん主催の「女性ボーカル」「ポップス」「ロック」系同人音楽サークルLaralastudioの昨年秋頒布の3曲入りシングル

…と敢えて紹介してみる。Mimisの活動が本格化してからは竹之内さんは同人コンポーザーってよりもシンガーソングライターって呼んだほうがしっくり来ますよねやっぱり。
Mimis名義では自らボーカルを担当するシンガーソングライターとして、一方のLaralastudio名義では女性ボーカルをフィーチャーして同人音楽「らしさ」のあるアニメソング寄り楽曲を制作…という感じでいちおうの使い分けは行われてると思ってたんですがMimisの前作でついに女性ボーカルが導入されてしまい、これじゃLaralastudioの存在意義が失われるんじゃね?と余計な心配もしてしまったんですけどなんだかんだでLaralastudio名義の作品もコンスタントに発表され続けております。

そのLaralastudio名義での前作に当たる「0とビー玉」はジャケ絵こそ竹之内さんの最高傑作と言って差し支えないほどの完成度で見栄えの非常に優れた代物だったのですけど、内容については普通にいつも通り良い曲なんだけど何だか手堅すぎて面白みに欠ける感覚も否めなかったんですよね。これはやっぱり今後はMimisのほうが活動のメインになっていくのかなぁって印象がありました。

ですがこの最新作「留守番電話」はジャケ絵はいつも以上に手描きテイスト強くてあっさりしてるんですけど、対照的に内容についてはひょっとしたらLaralastudio名義でも最高クラスの出来なんじゃないかってくらいに楽曲が充実してる。捨て曲なし。3曲とも名曲級。
「0とビー玉」と同じく西風Sさんが全曲で歌唱してるんですけど楽曲の雰囲気がだいぶ異なりますね。竹之内さん「らしさ」が戻って来た感じがある。主観ですけどフルアルバム「Improvisation Life」よりもよっぽど今作のほうがラララ入門用に向いてる気がする。

1曲目「留守番電話」、そうそうこれを求めてたんだよ!って膝を打ちたくなるくらい竹之内テイストあふれる楽曲。童謡っぽいノスタルジックな雰囲気とドラマチックで泣かせるメロディ展開。竹之内さんの真骨頂と言える魅力が詰まった名曲ですねえ。西風Sさんの伸びやかな歌唱もこれ以上ないほどにハマってる。西風さん2作連続で全曲歌唱ってことはもうLaralastudioの看板ボーカルだと認識してよろしいんでしょうか。

2曲目「parade of desperado」は打って変わって鋭いギターサウンドが印象的なアップテンポのロックチューン。基本明るい曲調なんですけど歌詞がびっくりするくらい攻撃的。「いっせーのーせで傷口を狙い撃つー」なんて…竹之内さんの楽曲でこんな刺々しい歌詞って珍しいですよね。どんな心境の変化が?なんて勘ぐりたくもあるけどまあそれは置いといてこれも素晴らしい曲です。Bメロで入る竹之内さんのバックコーラスも良い感じ。邦ロックsideのLaralastudio。

3曲目「すこしでも振り向いてほしくて」も割とアップテンポだけどカントリーソングテイストで温かみある曲調&歌詞でラララならではの魅力あふれる曲ですなぁ。

という訳で3曲とも全て素晴らしい曲なんで本当おすすめです。女性ボーカル物が好きなリスナー全てにおすすめ出来る。
次の春M3ではMimisの新作も期待したいですねえ…竹之内さんのボーカル聞きたいし。

激音殴打「耳爆脳殺 vol.1 -サイコ◯◯-」

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https://annyahoo.booth.pm/items/505200

ボカロメタルサークルBLAPTOPHOBIAのあんやほさんが主催する「激音殴打」と名付けられたラウド系コンピレーションサークルの第1弾アルバム。
ちなみに頒布されたのは1年前なんですけどね…超今更感。その間にあんやほさんの新作2作も出ちゃてますから。冬コミの新作もまだ記事書いてないですけどそれはまたそのうち…。あっちは他所にレビューありましたしね。

ボカロメインでラウドでカオティックな楽曲を集めたコンピレーションというコンセプトももちろん面白いんですが、この作品の最も目を惹く特徴っていうとやっぱりDLカードを使用した頒布形式でしょうかね。
CD媒体がオワコンと言われて久しい音楽業界ではありますが形のある現物を求める傾向が強いオタク界隈ではCDへのこだわりがいまだに根強い感ありますしDLカードへの賛否はあると思いますけどね。現状だと専用のダウンロードサイトにアクセスしてコード打ち込んでダウンロードして解凍して…などなど諸々の作業が意外にめんどくさくて結局CDリッピングするほうがよっぽど楽だったりしますし。DLカードを使った頒布が増えたって言ってもまだ全体的には少数派でしょう。
とはいえサークル側としても大量のCDを会場に搬入したり在庫を保管したりするのは負担になりますしリスナー側も大量買いしたCDを持ち帰るのは一苦労ですし、双方の負担軽減のためDLカードという選択肢も視野に入れるべきなのは言うまでもないでしょう。

そして本題の音楽についてですけど、色んな意味で面白い内容。
この作品、複数のサークルから楽曲を募ったコンピレーションのはずなんですけど意外なほどに統一感があるんですよね。コンピの募集要項を見ると、「激しい音楽」「オリジナル」「サイコ」というテーマ…って縛りしかないはずなんですけど結果的に出来上がったものはボカロ中心でカオティックでスラッシュメタル要素のある…要するに主催あんやほさんの音楽性にかなり近い楽曲が集まってるんですよ。特に4曲目と5曲目なんかはあんやほさん作の楽曲だと言われたら信じてしまうくらいに作風が似通ってる。まあ人脈的に繋がりがあるってことは音楽の趣向も必然的に近くなるでしょうしそれほど驚くべきことじゃないのかもしれないですが、それにしたってやっぱりこの統一感は凄い。

1曲目、exispiriotさんによる「Psychohymn」、一言でいうとDjent系ラウドサウンドとエレクトロニカを組み合わせたインスト曲なのですが…ギター打ち込みだしチープ感が目立ってると言わざるを得ない。けどこの支離滅裂寸前の曲構成とゴチャゴチャな音色の織りなすカオティック感は面白い。途中でブラスパートまで入って来ますからね。「サイコ」がテーマのコンピの1発目に相応しい狂い方って感じします。
ちなみにこのexispiriotさん、絵師でもあるみたいで(そっちが本業?)あんやほさんの夏コミのアルバムのジャケ絵はこの方が描かれたみたいですね。

2曲目は主催あんやほさんによる「Origin」、冬コミの新作と同じくLiesvectでお馴染みのミチザネさんのスクリームをフィーチャーした楽曲になっております。てかこれがびっくりするくらいクオリティ高い。マスタリング外注してるってのを差し引いてもこのサウンドクオリティは凄いと思いますよ。これ以上のクオリティ聞きたいんならプロの音楽聞けって言いたくなるくらいには完璧な重低音サウンドだと思う。やっぱりあんやほさん半端ねえなぁ。
音楽性としてはメタルコア的なゴリゴリなグルーヴを基調にしてミチザネさんの迫力あるスクリームを伴って爆走するスタイル。クリーンパートも無くメロディはほぼ皆無なんですが、それでも心なしかキャッチーに感じるという不思議。曲構成の妙がキャッチーさを感じさせるのか。うねりまくる分厚いギターサウンドに身を任せて聞くべし。
そしてこの路線の延長線上で作られたのが冬コミ新作EPって訳ですが個人的にはこの曲が一番好きかな。

3曲目「Psychophobia」は新プロジェクト「Harmonic Reflection」も始動した皆さまご存知のDIAさんによるボカロラウド曲。この方も今のオリジナル同人メタル/ラウドシーンにおいて欠かすことの出来ない天才的才能の1人ですよね。近作ではゲーム音楽に傾倒しておられますがやっぱりDIAさんと言えばエモーショナルなラウドロック。この曲はテンポ遅めなのでいつものV系っぽいノリは控え目ですがDIAさんならではのテイストが至る所に感じられる。叙情的なメロディやエモいギターサウンドも最高なんですがやっぱりドラムサウンドが決め手ですよね。特に特徴的なバスドラのテケテケした音作り。
ゲーム音楽もいいけどラウドロックなアルバムも久しぶりに作って欲しいなぁ…と思ってたけど新プロジェクトではその両方を実現してくれることになりそうですね。果たしてどんなアルバムになるのか期待です。そういやボカロEPの「hopeless EP」の記事まだ書いてないからそのうち書きたい。素晴らしい作品ですし。

4曲目「僕の発生」のSHEBAさん、全く存じ上げないボカロPだったんですけどもオールドスクールなスラッシュメタルに傾倒した作風であんやほさんの音楽性とめっちゃ近い。でもどっちかというとSLAYERよりもMETALLICAに近いサウンドかな。素っ頓狂な音程のボカロの歌が不穏な雰囲気を助長する。

5曲目「Psyche」…この曲がこれまた凄い。このコンピのハイライト曲でしょう。7分半にも及ぶ長尺曲でプログレ度も濃い。基本的にメロスピっぽい曲調で疾走してギターソロもハモりでピロピロしまくるんですけど所々にDjent的なカオティックなフレーズも織り交ぜてくる一筋縄に行かない楽曲展開。同人メタラーに分かりやすく例えるならサタアラに近い曲調っていうか。歌メロには同人ゴシックに通ずるゴスロリ感や耽美性も感じられるし本当に盛り沢山。ギターソロ&キーボードソロがかなり長めで聞き応えたっぷりなんでクサメタラーもまじ必聴ですよ。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm29791096
この楽曲提供した「ばにら」さん、自サークルの「お人形劇団ぱぺっつ」で一昨年フルアルバム出してたみたいなんですけど、そちらでもカオティックなメロスピに加えてエレクトロニカなポップスなど幅広い曲調やっていて非常に興味深いですね。これ昨年秋に買おうと思ってたんだけどサークルがM3不参加で買えなかったという。今度のM3は参加するのかなぁ。

6曲目「Exploited By The Righteous Savior」、この曲提供したGlorified Enthronementはテクデス系サークルGolmontが改名したサークルみたいですね。ひたすらアグレッシブでカッコいい本格派サウンドなんですけどオタク的感性をフル発揮した個性派揃いのこのコンピの中では若干埋もれ気味かも。

そんな訳で充実のコンピレーション作品になっております。特に2曲目と5曲目は必聴。
コンピ作品って新たなサークルとの出会いのきっかけになりますし非常に重宝するんですよね。是非とも第2弾をやって欲しい。出来れば次は参加サークル増やして欲しいところだけど…。10サークルくらい集められないのかなぁ。難しいか。

Roman so Wordsベストアルバムの詳細が公開

ゆるキャン△が終わってしまって途方に暮れるオタクの皆さまこんばんは。同人メタル情報のお時間です。

https://twitter.com/rsw_information
ロマソ新作はベストアルバムだったはずが「1st フルアルバム」だと??? 「Es」はフルアルバム扱いじゃないのかぁ…あのボリューム感でミニアルバム呼ばわりするのもだいぶ違和感あるんだけども。
まあ、あえて1stフルアルバムと称して実質的ベストアルバムを発売するのは今までの同人音楽としてのRoman so Wordsは一区切り付けてここからは全国流通の本格バンドとして再スタートしたいっていう思惑もあるのかなぁ。実際、今回はYUIさんや己稀さん周辺の人脈をフル動員したような豪華ゲストミュージシャンに囲まれてしかもドラムもついに生演奏になったみたいですし。こりゃ同人クオリティと完全に決別するだけの内容になってることは想像に難くないですな。

新曲は冒頭の3曲とラスト1曲? 意外に新曲多いみたいで嬉しいけど1曲目とラストはインストの可能性もあるか。あと昨年春に無料配布された「never ending journey」の完全版は収録されないみたいでちょっと残念。あの曲めっちゃ気に入ってたのに。

ロマソが今度のM3の目玉の1つになるのは当然として、あとはMalikliya…果たして間に合うのか。DIAさんの新プロジェクトHarmonic Reflectionも期待ですしそして新規…強いの来てくれ頼む。

Kuu「Aurora EP」

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https://twitter.com/KuuchanGt/status/944211317098872832

先日記事にしたテクデスサークル「Song of Saya」のギタリストKuuさんによるソロ作品です。C93(冬コミ)頒布の5曲入りEP。

紹介文にPlini、Intervals、Polyphia、Sithu Ayeとアーティスト名が列挙されていますが、まさにそっち系の音を目指したギターインスト作品になってますね。いわゆるオシャレフュージョンDjentインスト(?)…みたいな。本隊のSong of Sayaみたいにデスボ入ってないので非メタラーも聞きやすい作風かなと。
とは言え、では上記のアーティストが好きなリスナーに心置きなくおすすめできる作品になってるのかというと…必ずしもそうとは言いづらく…やはりSong of SayaのEPと同じで相変わらず音の悪さが障壁になってると言わざるを得ないかなぁ。
おそらくSong of Sayaに比べれば多少は音改善してると思うんですよ。でもフュージョン系Djentって洗練された爽やかサウンドが売りっていうイメージあるじゃないですか。なのでこの音割れノイジー轟音サウンドはだいぶ厳しいかなぁと。

でも演奏技術は十分にあるし各楽曲もしっかり魅力的に作られてると思うんですよね。だからほんと課題は音作りだけですよね。サウンド面でめちゃくちゃ損してる。そこさえクリア出来れば大化けするポテンシャル秘めてるサークルだと思います。

ジャケはファンシーなホッキョクグマ。紹介文にもあるPliniを意識したような感じ?
この手のインストDjentって実は同人メタルとの親和性高そうな気がするんですよね。Pliniはジャケも曲もファンタジックな味わいがあるしSithu Aye先輩はコミケにいても全く違和感なさそうなオタクだし(?)

frogmate rain「Droplet」

https://frogmaterain.bandcamp.com/releases

皆さまご存知のように同人音楽って作品の価格設定の振り幅が大きい界隈でして、例えば10曲入りフルアルバムを300円で売っちゃう赤字覚悟サークルがいたかと思えば2曲入りシングルを1000円で売る商業音楽基準のサークルもいたりする。
もちろん大抵の場合、前者はアマチュア然とした低クオリティで後者はメジャー並みのハイクオリティであることが多いので価格設定には説得力が伴うんですけど、しかし全てが全てそうという訳ではなく、中にはハイクオリティなのに低価格で売っちゃう暴挙(?)に出るサークルもいる訳で。特にボカロ界隈はニコ動文化ならではの基準によって低価格or無料公開してるサークルが多い気がします。

でも例えハイクオリティであってもボカロ曲やインスト曲だったら無料でもまだ許されるっていうかボーカル入り作品との線引きは出来るからセーフだとは思うんですが、今回紹介する「frogmate rain」ってサークル(同人イベントにはまだ参加してないみたいだから厳密にはサークルではないけど)、なんと1曲目以外は全てボーカル曲のアルバム(8曲入り)でクオリティめっちゃ高いのにも関わらず無料公開してるっていう、界隈の相場を脅かしかねない結構やばい存在って気がします。

①音が良い ②曲が良い ③普通に上手い女性ボーカル ④演奏も上手い(ギターソロも完備)
…って具合に全ての項目が高得点。商業音楽クオリティにはあと僅かに及ばない感じもあるんだけど壁サークル級のクオリティは確実に達成してる。界隈の人気サークルに匹敵するくらいのオーラがあると思う。なのに無料なんですよ…投げ銭(NYP)ですらない。ほんとやばいっすね…。
まあ、商業クオリティに近い作品を無料公開することが同人音楽界隈に良い影響を及ぼすのかはたまた害悪をもたらすのかって事については論じようと思わないですが、でも多くの同人音楽リスナーって、聞きたくない音楽ならば例え低価格だろうが無料だろうが聞こうとは思わないし、逆に聞きたい音楽だったら何の抵抗もなくお金払うっていう人がほとんどだと思うんで、結局リスナー側にとっては大した影響はないのかもしれない。サークル側には影響あるかもしれないけど…。

で内容についてですが、良曲ばかりのアルバムだと思うんですが特に2曲目「Asteroid」と7曲目「ドラマチックスケッチ」が突出した名曲。どちらもアニメの主題歌に起用されてもおかしくないくらいのオーラがある。とにかくめちゃくちゃ良い曲なんでこの2曲だけでも聞いて欲しいですね。
女性ボーカルフィーチャーした同人音楽らしいアニソン然とした曲調なんですけど、ギターの音が割とガチで、ラウド系を聞く人にも刺さりそうなくらい骨太でエモーショナルな響きを放ってるというのは特筆すべきところかも。とはいえ決してヘヴィな音作りではないので一般的なアニソン好きな人にとっても敷居は高くないですけどね。
あとは前述の通りギターソロも完備していて妥協のない楽曲構成になってるのはメタラー的にも好感持てる部分。
女性ボーカルはめちゃくちゃ歌唱力高いって訳じゃないけど…普通に上手い、標準的なレベルって感じかな。バラエティ豊かな曲調に合わせて多彩な歌声を披露していてかなり器用な印象。

4曲目なんかはアイドルソング然とした甘ったるい曲調だったりするんですが続く5曲目と6曲目ではガラリと雰囲気を変えて英詞オンリーのシリアスな洋楽っぽい曲調になるのも面白い。

あと忘れちゃいけないのが1曲目のインスト。1曲目に配置されてるインストは単なる曲数の水増し目的という定説(?)をひっくり返すガチインスト。なんせいきなりマスロック風なテクニカルな演奏で攻めてきますからね。ちなみにプログレ要素はこの曲にしかないんですが手抜き無しで序盤から攻める姿勢が素晴らしい。

そんな感じで無料とか関係なく充実のアルバムになってるんで是非とも聞いて頂きたいですね。ロック系の女性ボーカル同人音楽が好きなリスナーはもちろん、メタラーの琴線に触れる要素もあると思いますんで。

M3初心者の方々に朗報!

えーとこのブログ書いてる人のHNも「初心者」だった気がするけどそっちの意味じゃないですよ、一般的な意味の初心者ですよ勿論。ややこしい! ブログ始めた当初はこんな適当なHNでも良かったんですけどまさか5年以上も続けることになるとは思ってなかったんで…。今更変えるにしてもちょっとねえ…。
まあその話題はさておき

https://www.melonbooks.co.jp/corner/detail.php?corner_id=55#gnav
なんとメロンブックスでM3カタログ買うと限定特典で17ものサークルの楽曲がダウンロードできるQRコードがもらえるんだとか!! 有名サークルばっかりの超豪華ラインナップ。しかも試聴音源じゃなくてフル尺の音源みたいだし。こりゃあ凄い。カタログ買うのメロブ一択じゃないですか。
とは言え、M3玄人の方々からしたらそんな有名サークルの音源すでに持ってるよ!って感じでしょうからやっぱ初心者向けなんでしょうね。今回初めてM3参加するという方々にはまさに打って付けの音源集なのではないでしょうか。

まあ個人的な推しサークルがこの中に入ってるのかというとアレなんですが…うちの好みなんて関係ないですからね。入門用に最適なラインナップってことで。
ちなみに自分がこれらの有名サークルは全て聞いたことあるのかっていうと全くそんなことはなく。MISLIARとかまだ聞いたことないし。なので自分もゲットしたいと思っております。田舎にメロブ無いからわざわざ都会に行かなきゃならんけど。

ってかカタログ発売までもう2週間しかないんですね。20周年の節目に超強力な新規サークル出てきて欲しいなぁ…。

Grey Lethal「Ragged」

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http://greylethal.seesaa.net/

同人メタルシーンにおいて頼もしい「中堅」として存在感を見せる、マルチミュージシャンのラグランさんによる1人サークルGrey Lethalが冬コミ(C93)で発表した3曲入りEPです。

どうやらこのEPは完全に独立した一作品ではなくて次なる3rdアルバムからの先行発表という位置付けらしい。この中から1曲だけアルバム入るっていう意味じゃなくてたぶん3曲全部がアルバムに再収録されるんでしょうね。つまり3rdアルバムを100パーセント新鮮に楽しみたいっていう人はあえてこのEPはスルーしてもいいのかもしれない? けっこうアルバムの中核に成りそうな強力な曲も収録されてますからね。まあでもそこまでこだわりのある人でなければ素直に聞いてしまって構わないかと。

1曲目「Partners in Time」はキラーチューンってほどではないけど標準的なGrey Lethal流ラウドロックな楽曲という感じで安定感抜群。いつも通りラグランさんの歌唱もギターサウンドもエモーショナルに冴え渡っております。キャッチー寄りな曲調だけどブレイクダウンパートは迫力あるデスボが聞ける。

2曲目「Lordless Mimetown」はDjent寄りスクリーモな曲調。適度にテクニカルでグルーヴ感あふれるギターリフにエモいサビメロで完璧な流れですな。The Afterimageとかああいう系のDjent好きな人ならツボるのではないかと。

3曲目「Fading」は7分越えの長尺曲。それに見合って曲展開も複雑でプログレッシブ&ドラマチック。アップテンポで激しくヘヴィに攻め立てる前半部分は「Panic Attack」をDjent化したようなノリもあり。そして後半が最大の聞き所。それまでの激しさが一転し叙情的なツインリードギターがスケール感たっぷりに感動的なメロディを奏でる、まさにクライマックス的な趣き。Grey Lethal史上最強の泣きメロ。これっておそらくアルバムの終盤を飾る楽曲だと思うんですよね、だからEPで先行して聞いてしまうと勿体ない気もする…?

という訳で次なる3rdアルバムへの期待が膨らむ先行EPでございました。アルバム出るのは…夏コミ受かってれば夏、そうでなければ秋? まだ分かんないけど。
あと、アルバムには収録されないと思うけど先日アップされてた初音ミクとのデュエット曲もめっちゃカッコよかったですよね。ああいう情熱的なクサメタル路線もアリですな。

Song of Saya「1st EP」

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https://mqube.net/user/kuuchangt

正確なタイトルが不明なんで便宜的に1st EPってことで。セルフタイトルの可能性もあるけど。
えーと、このサークルは昨年の夏コミ(C92)が初参加だったメタルサークルですね。イベント当日はなんとCDではなくUSBを頒布してまして、机の上にUSBの入った箱が山積みされてた光景がなかなかインパクトあったので覚えてる方も多いかもしれません。
ちなみに先日の冬コミにも参加してて新作もあったんですけど新作はUSB頒布じゃなくて普通に手焼きCDでしたね。やっぱりUSBじゃコストかかりそうだし継続は難しいか…。

音楽性はテクデス。疾走する曲はなくグルーヴ重視でミドルテンポ主体なのでDjent寄りな趣きが濃いかな。(ギターソロ除けば)メロディ要素は希薄でクリーンのボーカルも皆無。ひたすらデスボ。硬派に徹してるしオタクメタル的な要素はほとんど無いんだけどサークル名が某エロゲまんまなのでもしかすると歌詞がオタクくさいのかもしれない。デスボだし聞き取れないから分かんないけど。

さすがテクニカル系メタルを志すだけあって演奏技術はけっこうありそうなんだけど、しかしながら如何せん音が悪すぎる。バッキングのギターの音割れまくりだしミックスのバランスも悪い。同人メタル聞き慣れてる人じゃないと聞くのキツいかも。
でもギターソロのパートだけガラッと雰囲気が変わってまるで別物みたいに音がまともになるんですよね。叙情的でメロディアスな味わいもあったりで、リードギターだけ一段階上のレベルに位置してるような印象さえある。これならいっその事リードギター主導のギターインストにしたほうがいいんじゃね? って感じもなきにしもあらずなんだけど、実際冬コミ頒布の新作はその通りギターインストになってた訳で。でも完全にギターインスト化しちゃうとそれはそれで物足りないような感じもあり…。

確かに音は悪いんだけど曲自体はしっかり作られててリードギターだけでなくリフもテクニカルでカッコいいしプログレメタルらしい展開のドラマ性もあるしほんと音さえ良くなれば真っ当な評価を得られそうなだけに勿体ないサークルと言えるかも。現時点ではあまり広くおすすめは出来ないけどポテンシャルは十分に感じられるし今後に期待ってことで。

Euchaeta「Carnival Meme」

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http://euchaeta.net/disco/2017_02_Carnival.html

先日、ポストロックの定義が難しいっていう話をしましたけどプログレの定義もなかなか厄介ですよね。どこまでプログレと呼ぶことが許されているのか。どこからプログレと呼んではいけないのか。
いや、後者はどうでもいいんですけどね、自分は「ドリームシアターなんてプログレじゃねえ!」って声高に批判したりするようなベテランのファンじゃないですから。むしろその真逆で何でもかんでもプログレ扱いしたがるタイプ。ほんの少しでも実験的だったりテクニカルだったりするフレーズあるだけで「これプログレだよね?」って言いがち。

そんな節操ない自分ですがこのEuchaetaというサークルについてはどう判断していいのか決めかねてました。前々から「同人プログレ」として紹介されていたり公式でも「プログレッシブロック」という言葉を明言してたりしてプログレ好きな自分としては当然ながらずっと気になっていた訳ですけど、試聴を聞いてみた限りでは東方っぽいメロディの民族音楽+エレクトロニカみたいな音楽性しか確認できず、どこにプログレッシブロック要素があるのか感じ取れなかったんですよね。ってかプログレ云々抜きにしてもあんまり自分の好きなタイプの音じゃなかったっていうのも正直なところ。

とは言え、界隈でプログレ扱いされてるサークルを1度も聞いたことないというのも同人プログレ(メタル)を紹介するスタンスのブログとしてアレなんで1枚だけでも聞いてみようと思ってこのアルバムを購入した次第です。
まあこのサークルが一部でやたら高評価されてるのはずっと前から知ってたのでむしろ買うのが遅すぎたくらいですが。

活動歴がそれなりに長く(2011年から活動開始?)しかも制作ペースもかなり速いサークルのようで、なんとこのアルバムが8枚目のフルアルバムであるようです。フルアルバム以外にもミニアルバムのリリースもあるので作品総数はけっこうな数に及んでる模様。

で、実際にアルバムで通して聞いてみての感想ですが…。うーんやっぱり東方っぽいメロディの民族音楽エレクトロニカっていう印象は基本的に変わらないかなぁ。明確にプログレっぽさを見出すことはほとんど出来なかった。
っていうかそもそも「プログレっぽさ」とは一体何なのか。自分はドリームシアターからプログレに入門したようなにわかリスナーだから、プログレ=変拍子を駆使したテクニカルな演奏や転調を多用した複雑な曲構成というような定義しか持ち合わせていないんですけど、でも70年代のプログレに精通してるような玄人リスナーの方だったら変拍子などの分かりやすい要素は表層に過ぎずもっと深い部分にプログレらしさを見出したり出来るんでしょうねえ…。だからそういうリスナーにとってはこのEuchaetaはめっちゃプログレなのかもしれない。けどプログレ「メタル」中心で聞いてる自分みたいなリスナーにとってはやっぱ分かりやすいプログレでは無いかな。

ていうか普通に民謡+エレクトロニカとして高品質な作品なので無理やりプログレらしさを見出す必要なんて全くないんですよね。素直に東方や民族音楽系が好きなリスナーに薦めればそれで済む話だと思われ。

とは言っても分かりやすいプログレ要素が皆無っていう訳ではなく、例えば5曲目は変拍子をフィーチャーしてますし、あと男性ボーカル(おそらく主催者自身による歌唱)の入った9曲目と10曲目はZABADAKや平沢進に通ずる雰囲気があってプログレ感あると言えなくもない。
その9曲目「The Longest Night」が個人的に作中で一番気に入ってます。インスト曲がメインのサークルなのでモロに男性ボーカル入ってる曲があるのは意外でしたね。同人音楽界隈って女性ボーカル中心の文化なんで男性ボーカルに対して良い印象を抱かないリスナーも少なからずいそうな気もしますけど、でも上記のようにプログレに通ずる雰囲気あるので個人的にはアリだと思います。あとこの曲のラストのギターソロはピンクフロイド風味の渋い叙情感もあったりしますし。
10曲目「eien」も男性ボーカル曲なんですがめっちゃ平沢進っぽい歌唱。平沢進系東方アレンジみたいな(?)
あと、リードボーカルではなくバックコーラスっぽいミックスになってますが6曲目「Be Proud of」でも男性ボーカルをフィーチャーしてまして、こっちも良い味出てますね。
他の曲でも女性ボーカルっぽいコーラス入ってたりしますがクレジットがないのでおそらく全てサンプリング音源なのではないかと。
サンプリングも含めてボーカル入ってる曲のほうが個人的な琴線に触れるかもしれない。

さっきから東方東方と連呼しまくってますけどオリジナル作品ですので誤解なきよう。まあこの界隈でこの手のメロディ出てくると東方を連想しちゃうのは仕方ないことなのではないかと…。
でも7曲目「Hope Sweet Hope」は他の東方っぽい民族音楽曲と違ってまるで映画のテーマ曲のような普遍的なメロディがあって素晴らしい。9曲目と並んでハイライト曲かな。

という訳で、プログレかどうかはさておき、「東方」「民族音楽」「エレクトロニカ」「インスト」、この辺りのキーワードにピンと来るリスナーならば買って損はない高品質作品であるのは間違いないと思います。

虚無と偽装と狂気(想碕深弐)「不安な1と安心な2」

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https://misuke-omosaki.booth.pm/

「虚無」「偽装」「狂気」「プログレッシブ」「空想哲学」…。
厨二パワーワード盛り沢山だけど実際はそんなに敷居は高くなくて優しい聞き心地の音楽だったりする、想碕深弐さん個人サークルの2作目となるEP。ちなみに想「崎」じゃなくて想「碕」なのでお間違いなきよう。

さてこの作品、実はけっこう紆余曲折のあった作品だったりするんですよね。
本当ならば昨年の春M3にて頒布される予定だったのですが印刷のトラブル等の諸事情により延期。まあ作品頒布の延期なんて同人音楽界ではちっとも珍しくないんですけど、でも想碕さんってツイッター見れば分かると思いますけどものすごく真摯な姿勢で音楽活動に取り組んでらっしゃる方なんでこの頒布失敗によって非常に深く思い詰めていたみたいで、その後ツイッターの更新もしばらく途絶えてしまいもしかしたらこのままサークル活動やめてしまうのでは?という懸念もあったくらいなんですけど、しかし1ヵ月後のデザフェスにおいて「リベンジ頒布」を無事に成し遂げて復活。自分はデザフェスには行ってないので入手したのは半年後の秋M3となります。

さて内容について。今作は2曲入りのEPなんですがその2曲ともが7分前後の長めの楽曲となっており、1作目のアルバムに比べて当初から掲げていた「プログレッシブポップ」というジャンル表記により相応しい音楽性になっている気がしますね。
まず1曲目の「neO」、三拍子のゆったりしたリズムで展開される童謡のような優しい曲調。もちろんプログレッシブを標榜するだけあって「優しい」だけではない緻密で几帳面なアレンジも随所で輝いてます。
想碕さんのボーカルはハイトーン主体のいわゆる「女声」で世界観にぴったり合ってる。複数の声色を使い分けることで1人サークルとは思えないほどに楽曲の厚みが出てる。
歌唱力については未だ安定しない部分も少し見受けられるけど同人音楽としては全く許容範囲内ですよね。きっと作品を重ねていけば改善されていくと思いますし。声質はほんと良いものを持ってらっしゃると思うしポテンシャルは十分なのではないかと。
あとこの曲はアニメーション付きの動画がYouTubeにアップされてますので是非ともそれを見て頂きたいですね。イラストレーターの朧烏さんが描く愛らしい絵本風味のイラストをふんだんに使用した豪華なアニメーションPV。このままNHKのみんなのうたで放送できそうなくらいの完成度ありますよね。

2曲目「Two」は打って変わってアップテンポな爽やかさを放つロックナンバー。冒頭のアコギのジャカジャカからのシンセやベースラインの展開にいかにもプログレらしい味わいがあり。歌部分は割とストレートな爽やかロック調なんだけど合間合間にプログレ然とした音色を上手く詰め込んでる感じ。そして4分あたりから始める間奏ではドリームシアターを思わせるような怒涛の変拍子テクニカルパートもあってかなり聞き応えあり。「シナスタジアの空論」と並んで想碕さんの楽曲で最もプログレ要素の濃い1曲かなと。

2曲入りにも関わらず情報量が多く満腹感のあるEPになってますね。特に2曲目はプログレリスナーにもおすすめ出来ます。
想碕さんは次の春M3には申し込んでないっぽい? でも新作は制作中みたいなので期待したいですね。

TatshMusicCircle「FioRA」

https://tatshmusiccircle.booth.pm/items/683773

サークルについてよく知らないにも関わらず「長い曲が入ってるから」というそれだけの理由で買った作品第二弾。
このアルバムに収録されている長尺曲はなんと30分越え!! 長いにも程がある。プログレを標榜してるサークルであっても30分越え楽曲やってるところはさすがにごく僅かでしょうからね。これはプログレ厨として聞かない選択肢は無い。

ちなみにイベント時にCD買い逃してしまってboothのダウンロードで購入したのでジャケ画像は無しです。
このジャケ絵、一見するとよくある美少女ジャケっぽい雰囲気なんですがよくよく観察すると3人の男女が複雑に絡み合った構図になっていて一体どういうシチュエーションなの??って混乱すること必至ですね。剣を突き付けられた緊迫感ある状況のようでいて実はエロシチュエーションっぽいっていう…。

さてこのサークルの主催者のTatshさんは音ゲー方面や東方アレンジで有名なお方だと思うんですけど自分はどちら方面にも疎いので冒頭に述べた通り単純に長尺曲に釣られて買った次第です。EDM系の楽曲を主に作ってらっしゃるみたいですがメタル系の曲やシンフォニックな曲もあるみたいでかなり幅広いですね。
とはいえEDM曲とメタル曲は「一流」の出来栄えなんだけどシンフォニックな曲はちょっと音がチープかもしれない…。でもそのチープな音色がレトロゲーム感を醸してるので悪いことではないんですけども。

で、本題である今作の長編楽曲「FioRA」についてですが、ほぼ全編がインストです。試聴でチラッと聞けるいかにもメタラーホイホイな感じのクサい女声クワイアパートや流麗なギターソロをフィーチャーしたメタル然としたパート、これらのパートを聞いて関心を持ったメタラーの方もいらっしゃるかもしれないですが、実は全体における比率はかなり少なめなんです。そりゃそうですよね、なんせ30分越えですからね、30分の尺の大半でクワイアやギターの出番を作ってたら制作の手間暇や予算が大変なことになってしまうのは素人にも察しが付きます。実際クワイアやギターの出番は全て合わせても10分に満たないと思われ。だからそういう派手なクサさを求めて聞くと少し肩透かし感はあるかもしれません。

ならばこの長編曲がただ無闇やたらに長いだけの退屈な曲なのか?というとそんなことは無く。というのも、聞き所となる派手なパートの間を埋める「繋ぎ」パートが意外なほどに良いんですよ。例えるならゲームのサントラの短めなBGM曲を繋げてメドレーにしたような感じ。各繋ぎパートとも派手さは無いんですけど地味に良い雰囲気を醸していて、しかも何気にメロディが良い。そのおかげで30分ほとんどダレない。ぶっちゃけメドレー形式なんで1つの長編曲である必然性はほとんど感じられないけどそれでも30分飽きさせないだけのメロディが詰め込まれてるってのは凄いことだと思う。

では、BGMを繋げただけのメドレーだからプログレ要素は少ないのか?というとそれも違う。意外なほどに随所にプログレ感の滲み出ているパートもあったりするから侮れない。20分30秒あたりから開始するアップテンポなメタルパート(ここが最大の聞き所)ではドリームシアター風のシンセとギターのユニゾンするリフが登場したりしますし。冒頭のクワイアパートのリズムの刻みもプログレっぽさありますね。あと合間合間に出て来るシンセの音色に80年代プログレ感?があるかもしれない。
更に強いて言うなら、14分40秒あたりから始まるクラブミュージックな4つ打ちパートではプログレ+クラブミュージックという組み合わせによってそこはかとないFrost*感があるかもしれない…? まあそう感じるのは自分だけだろうけど。

30分という長尺+派手なパートは少なめということもあって敷居は高めかもしれませんが、盛り上がる部分はがっつりと盛り上がりますし(特に前述のメタルパートはかなり本格的)地味な繋ぎ部分もメロディ良かったりするんで一聴の価値はあると断言できますね。内容盛り沢山で満腹感がある…とはお世辞にも言えないですが何度も聞くと良さが見えてくるスルメ系の側面もあるんで懲りずに何度もトライして頂きたいです。まあ1周するだけで30分ってキツいですけどね。前述のようにゲームのサントラ感覚で聞くのが吉かな。

あとこのアルバムは長編曲以外にも音ゲー提供曲が3曲収録されているんですが、そちらは3曲ともインストEDM曲になってますね。戦闘曲を思わせる緊迫感あるメロディやピアノの美メロがあってメタラー的にも聞き応えあり。そもそもTatshさん音ゲーで有名な方ということで音ゲー楽曲が完成度高いのは当たり前か。

mothy(悪ノP)「Master Of The Heavenly Yard」

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http://www.nicovideo.jp/watch/sm32806014

ニコニコ動画がようやく「ログイン不要」の仕様変更してくれたおかげで心置きなくニコ動のURL貼れますね。サークルチェックの際にニコ動のURLしか貼られてないときの煩わしさがこれで解消される…。

とまあその話題は置いといて、昨年の夏コミで買った「悪ノP」の1曲入りシングルです。1曲入りと言ってもなんとその1曲が15分越えの長尺曲!
実を言うと自分はボカロに疎すぎたせいでこんな有名なPについてもよく知らなくて、15分越えというその一点に釣られて購入した次第です。やっぱプログレ厨としては10分越えの同人曲というだけで気になってしまうので。
しかも単に長い曲っていうだけでない。なんと10年(!)近くに渡って長く展開されてきた物語仕立ての楽曲シリーズの最終章に当たる楽曲ということで、そりゃもう相当に気合の入りまくった曲であることは想像できますよね。壮大なスケールでシリーズを総括するという、サンホラで例えるならNein的な感じ? いやNeinは「if」ストーリーだから連続したストーリーじゃないしちょっと違うけど。まあスケール感という意味では近いのかな。

とは言ったものの、昨年夏に何の予備知識もない状態でさらっとこの曲を単体で聞いた時点ではいまいちピンと来なくて、ただダラダラ長いだけの曲にしか聞こえなかったというのが正直な感想。クオリティについても打ち込み感丸出しな音作りで現状の同人音楽の基準から考えるとだいぶチープなのが否めないし。第一印象は必ずしも良くなかった訳です。

ですが、悪ノPの代表曲を遡って聞くことによってキャラクターや世界観をざっくりと把握し、そしてつい先日公開されたこの曲の動画バージョンを視聴することで見事なまでに印象がひっくり返りました。非常に感動的な長編楽曲に大化けしましたね。
もちろん世界観を把握したことも大きいとは思うんですけど、それ以上にこの動画の完成度ですね、美麗なイラストを何枚も贅沢に使った非常にドラマチックな内容。動画による補正が非常にデカいのでCDで曲だけ聞くよりも動画で見るほうが圧倒的におすすめ。…なんて言っちゃうとCD買う意味が無くなりそうでアレなんですけども…。

さすがは10年に及ぶシリーズの最終章だけあって、クライマックスを彩るに相応しい「ラスボス戦」な緊迫感あるメロディが次から次へと連発。ラスボス戦のBGM好きなメタラーにはたまらないかも?
15分越えの長尺曲ということでサンホラ2期のようにメロディ詰め込みまくりな複雑な曲構成になってるんですけど動画を見ながら聞けば構成を把握しやすいしNeinのようにゴチャゴチャには感じないと思う。やっぱ視覚的な要素はデカいですな。
聞き所満載の楽曲だとは思うけど特にテンション上がるのは9分10秒あたりからミクさん演じるキャラが「わたしの名前は…」って不気味に繰り返した後にTVの放送休止のカラーバーが突如映し出されるサプライズ、からのFF6ラスボス戦っぽいプログレ展開、からの代表曲「悪ノ娘」のメロディの再演。こっから後は怒涛の展開っすね。クライマックスに次ぐクライマックスって感じ。でラストに目覚まし時計の音が鳴って、悪ノPが初投稿した「10分の恋」っていう曲のメロディ流れるっていう…。なんて心憎い演出…。物語楽曲好きな人間のツボを突きまくり。
まあ自分はにわかリスナーだから物語の細かい設定とかも分からずに聞いてるけどそれでも十分に感動的なんですが、小説などのメディアミックスも含めて10年ずっと追い続けてきたファンだったら何十倍もの感動があるんだろうと容易に想像できますね。

悪ノPの過去曲を聞いてても思ったんですけど、このPはやっぱ物語云々の前にメロディが良いんですよね。代表曲はどれも一発で覚えられるようなキャッチーなメロディばかり。例え世界観が優れてても肝心の曲の出来が微妙だったらのめり込めないですもんね。
あと音のクオリティについては前述のようにチープ感が否めないんですが、クオリティよりも世界観や曲自体の良さが重視されるニコ動の文化っていうのは改めて特異だし面白いなぁと。アマチュアならではの魅力を発掘しやすい土壌なんですよねやっぱ。

おすすめする必要ないくらい有名なボカロPだとは思うんですけど、もし自分みたいにボカロに疎いメタラーやサンホラ民でラスボスバトル展開が好きな人いたら聞いてみるといいかもしれません。めっちゃラスボス戦な曲なんで。
もしもこの曲をガチなメタルサークルがアレンジして一流の歌い手が歌ったら超キラーチューンになりそうな気もする。
プロフィール

同人音楽初心者

Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

Information

↓当ブログ的に超絶おすすめなサークル2選!!!
必聴です!!!!!

http://lostmyproust.jimdo.com/

https://tomorro4.bandcamp.com/

↓その他のおすすめサークルはこちらにまとめてあります
http://adtoe.blog.fc2.com/blog-category-75.html

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