Malikliya「WRAITH」

https://malikliya.bandcamp.com/album/wraith

ICDDを始めとして多くのバンドやグループのバックで活躍するドラマー修平さんが主催する個人サークルMalikliyaの、なんと2年半ぶりとなる新作です。現在制作中のアルバムからの先行シングルとなります。

長かったですねえ…てっきりICDD等の活動が多忙でもうMalikliyaとしての活動は無いのかと思って諦めていたので…アルバム制作中という朗報はとても嬉しかったですね。同人音楽でも希少なポストブラック系サークルですからほんと期待です。

同人メタルでもトップクラスの知名度と実力を誇るICDDことImperial Circus Dead Decadenceのドラマーを務めている修平さんのことをご存知の方は多いと思うのですが、その修平さんがICDDとは無関係の個人サークルで作品を発表していたことを知る人は少なかったんじゃないかと想像します。
なんせ、Malikliya名義でのイベント参加は今回の夏コミを除けば3年前の2014年の秋M3のたった1回のみで(思えばあのM3はかなり不作気味でMalikliyaが数少ない希望だったんですよね…懐かしい)、しかもそのM3のときも制作がかなりギリギリな状態で頒布作品の詳細情報が出たのは確かイベント前日でしたからね。情報を知らずに買い逃した人は多かったんじゃないかなぁ。実際、戦利品をずらーっと並べてツイッターにアップするのを毎度やってる系リスナーの写真の中にもMalikliyaのCDは1つも確認されなかった記憶があります。

しかしこのMalikliya、実はそういった大量買い系リスナー≒オリジナル同人音楽の主流を買い漁るリスナーの琴線に直撃するタイプの音楽だと思うのですよね。誤解を招くことを承知であえて分かりやすく表現するとすれば、同人ゴシックに様々な要素を加えて強化したような音楽性。この繊細で耽美で厳かでメルヘンな雰囲気、同人ゴシック系が好きなリスナーに刺さらない訳がない。
もちろん修平さんとしてはこのMalikliyaを同人ゴシックとして作ってる気は全くないだろうし、ジャンルを越えた新しい音楽として創造してらっしゃるんだと思いますが、あくまでリスナーに伝わりやすいようにカテゴライズするなら同人ゴシックが一番近いっていう話ですね。

同人ゴシック系サークルって90年代のV系バンドをルーツにしてそこに同人ならではのメルヘン要素を加えたサークルが大半を占めると思うんですけど、V系をルーツにしてるって意味では修平さんも同じと言えそうですが、相違点はやはりポストブラック要素とプログレメタル要素。プログレメタル要素については、初参加時のサークルカットにて大きく記載されていただけで実際の音楽性にはあまり反映されてないように聞こえますが、でも今回の新曲で言えばBメロの辺りとか…心なしかOPETHっぽく聞こえなくもない? あくまでも隠し味程度ですけどね。
それに対しポストブラック要素はウェイトが大きい。ブラストビートをフィーチャーした同人ゴシックサークルなら他にもいるけど(とはいえガチドラマーの修平さんのブラストビートに比べたら他のサークルの打ち込みブラストビートは貧弱ですけどね)、シューゲイザー要素こそが他と差別化する決定的な要素でしょう。このアトモスフェリック感あふれるアレンジと音作りがMalikliyaの音世界を唯一無二な物にしていると思います。

っていうか、そういう煩わしいジャンル分けとか抜きにしても単純にメロディがめちゃくちゃ良いんですよね。今回の新曲の「WRAITH」、1st EP収録の超名曲「Whisper of fog」に匹敵する極上のメロディ。童謡のように無垢でノスタルジックな三拍子メロディが暴力的なブラストビートと絡み合うというギャップ感。これが最高に素晴らしい。

あとゲストボーカルの繊細なウィスパーボイスもこのMalikliyaの世界観を成立させるのに多大な貢献してると思うんですけど、このボーカルの柿崎李咲さんって「暗黒系」アイドルユニットの「NECRONOMIDOL」の方らしいですね。アイドルっぽさが皆無のめちゃくちゃ上手いボーカルだからびっくりしましたが。
同人界隈ではなくあえてアイドル界隈からゲスト引っ張ってきたというのは、もちろんこのNECRONOMIDOLの方が実力を買われたってのもあるんでしょうけど、話題性という点でも実に戦略的ですよね。もし同人界隈からゲストを迎えても、それでは同人界隈の内輪だけで話題が終わってしまう。でもアイドル界隈から連れてくればアイドル好きなリスナーの興味を惹くことも出来る訳で。同人音楽って割とアイドル音楽と近似の音楽性だと思うんですよ、でも同人音楽は極めてリスナー層が限定的なのでせっかく高品質な音楽があっても多くのリスナーに聞いてもらえないし本当に勿体ないんですよね。そこでアイドル界隈からゲスト持ってくるという方法…これは閉鎖的な同人音楽界における打開策になり得る? でもまあ一般的な同人サークルじゃアイドルとコネがある訳がないんで無理でしょうけどね…。

ジャケについては…えーと今回の記事ではいつものように写真を載せてませんけどそれは自分が夏コミでCD買えなかったからなんですね…実はBandcampで買いました…はい。Bandcampのほうが100円高かったけど仕方ない。
こんな記事を書いてるのに買えてないっていうのは情けない…まあ100枚あれば大丈夫だろうと油断してたんですよ…。
それはともかく、今回のジャケも素晴らしいですけど、どっちかというと1st EPのジャケの幻想的な感じのほうが好みなのでアルバムのジャケはあっちの路線にして欲しい気もしますね。

という訳で、同人音楽リスナー全てにおすすめしたいくらい素晴らしい音楽なんですが、前述のように特に同人ゴシック系リスナーは絶対に琴線に触れると思うんで強くおすすめしたい。個人的には本隊のICDDよりMalikliyaのほうが好きなくらいです。
アルバムは秋に完成するのかどうか微妙なところでしょうけど期待しましょう。
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Malikliya「KISARAGI」

KISARAGI.jpg

これからの同人音楽は個性の時代だ!とか勝手に思ってるんですけど、たぶん賛同する人はあんまりいないと思うし、そもそも個性というものが需要あるのか甚だ疑問なんですけど、とにかくこのブログ書いてる人は勝手にそう思ってる訳です。
DTMの技術もどんどん進歩していて今じゃアマチュアでもプロと比べて全く遜色ないサウンドを生み出せるようになってると思うし、「同人音楽なのにこんなにクオリティ高い!」みたいな魅力の見出し方はあんまり面白くなくなってきてるんじゃないかと思うんですよね。真っ向からクオリティで勝負したら結局はメジャーの音楽にかなわない訳ですしね。それでは同人音楽は単なるメジャー音楽の下位互換になってしまう。
じゃあ何が必要なのかと言えばやっぱり「個性」ですよね。メジャーでも未だ試されていない新しい音楽性を探ったり、もしくはジャンルの偏りによる画一化が著しい同人音楽内での相対的な個性でも構わないんですが、とにかく、他とは違うことやってる、新しい音楽を模索しているというのが伝わってくる同人音楽にやっぱり魅力を感じるんですよね。

そして、そんな「個性」を追求する新たなサークルがまた現れた訳です、それが今回紹介する新規サークルのMalikliyaです。

公式サイトに記されている文章の引用ですが、「ShogazeとProg MetalとSymphonic Black Metalと90年代ヴィジュアル系とを足して4で割らずにそのまま女性ボーカルを乗せた曲を作ろうと日々実験しています」、もうこの文章読んだ時点で個性を追求しているサークルであることがはっきりと見て取れますよね。特に「日々実験」、この文だけでも否応なく期待をそそります。
そして最初にサウンドクラウドで公開されていたボカロバージョンの「Whisper of fog」を聞いた時もインパクト十分でした。いわゆるシューゲイザーブラックというジャンルですが、そもそもシューゲイザーとブラックメタルという異質な音楽を組み合わせたこのジャンル自体が相当に実験的な音楽性だとは思うんですが、その音楽性にアニソン的なキャッチーな歌メロを乗せるという非常に同人音楽的な試みに一気に心惹かれました。「実験性」と「キャッチーさ」の両立、個人的にこれが同人音楽の最たる魅力だと思ってるんで、それを体現してくれそうなサークルが現れたことにとても喜びを感じましたね。

そして、かなり制作作業もギリギリだったみたいですし本当にCD出るのか事前に不安もあったんですけど、こうして無事に3曲入りの完成品がM3で発表された訳です。
…本当ならここで絶賛の言葉を書き綴るのが普通の流れですが、まあ結論から言ってしまうと、最初に期待してた内容とはちょっと違うかなぁという感想になってしまうんですよね…。決してガッカリなんてことはないですよ? 完成品はボカロではなくちゃんと女性ボーカルになってますし演奏面も見事ですしサウンドのクオリティも高いし文句の付けようのない完成度なんですが、ただ、カタログのサークルカットにでかでかと書かれていた「PROGRESSIVE METAL」の要素があんまり感じられないので物足りない部分もあるかなというのが正直なところです。
プロフィールにはOPETHがフェイバリットバンドの1つに挙がってたしサウンドクラウドにもOPETHっぽいプログレッシブなインスト曲あったから完成品にはそういう要素あるのかなぁと期待してたんですが、2曲目はシューゲイザー要素だけだし3曲目はブラックメタル要素はあるけど1曲目ほどのインパクトはないしプログレ要素もそれほどではないし…。まあこちらで勝手に期待してた方向性とちょっと違うというだけで、クオリティに問題あるとかそういう事ではないんで誤解なきよう。
むしろプログレというマニアックな要素が少ない分、万人向けの聞きやすい内容になっているとも言えますからね。これは同人ゴシック系が好きなリスナーにもかなりおすすめ出来そうですよ。

それにしても、やっぱり1曲目の「Whisper of fog」は強力な楽曲ですよね。アンビエント的な気怠く儚げなメロディの後ろで爆走する暴力的なブラストビート、この対比がたまらん。そして郷愁と虚無感を併せ持ったような何とも言えないサビのメロディラインが最高すぎますね。この曲を聞いたらやっぱり可能性を感じてしまうに決まってますよ。これは今年の同人音楽ベストチューンの上位に入ると思いますね。必聴の名曲です。
もちろん他の2曲も良いんですけどね。2曲目は非常に心地よいシューゲイザー的ポップスですし3曲目は適度にブラックメタルとプログレ要素の入った曲です。

このサークルの主催の方は本業がドラマーらしいからドラムは生演奏だと思いますが、同人音楽って中途半端な生ドラム導入でクオリティ下げてしまってるサークルけっこういるけど、こんだけ本格的なドラムならば言うこと無いですよね。しかもギター演奏も兼ねてるみたいだし本当にマルチな才能お持ちですねえ。
あとジャケ絵も素晴らしすぎますよね、この幻想美なアートワーク、CYNICの新譜を思い出します。部屋に飾っておきたくなるくらい綺麗ですよね。

まあ色々と書いてしまってますけど、やはりジャンルや需要に囚われず新しいアイディアを提示できるこういった優れた才能を持つサークルが登場したことは同人音楽シーンにとって大きな事だと思いますね。次回作はメタルじゃなくなるかも、と公式サイトにも書かれてますが、メタルでなくても面白い音楽性を聞かせてくれることは間違いないと思いますし期待したいと思います。
プロフィール

同人音楽初心者

Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

Information

↓当ブログ的に超絶おすすめなサークル2選!!!
必聴です!!!!!

http://lostmyproust.jimdo.com/

https://tomorro4.bandcamp.com/

↓その他のおすすめサークルはこちらにまとめてあります
http://adtoe.blog.fc2.com/blog-category-75.html

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