A-HEAD「想葬」

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http://a-head.cc/

オリジナル同人音楽サークルSterblich Magieの2年ぶりとなる待望の新作

…ではないんですよね。これは東方アレンジサークルA-HEADのほうの新作です。
まあ普通に考えたら東方やってて作品数もそれなりに多いA-HEADのほうが知名度は断然高くてSterblich Magieのほうを知ってる人のほうが少数でしょうけどね。この2サークルは主要メンバーが共通しているので実質的には同じサークルの別名義と言って良さそう。音楽性もほぼ同じ。Sterblich Magieのほうはオリジナル界隈の需要に合わせて若干調整が加えられてる感もありますが。
個人的には東方のA-HEADよりかはやっぱりオリジナルであるSterblich Magieのほうに期待をしたいのですが、すでにアルバム発表から2年間も空白が空いちゃってるしそもそもまだ今後の活動予定があるのかすら不明っていう悲しい現状。でも未だにこのサークルに期待してるリスナーは少数ながらもいると思うんですよね。アルバムのほうはともかく、シングルのほうはオリジナル同人音楽の需要を見事に突いた素晴らしい内容でしたからね。

「アルバムのほうはともかく」なんて意味深な書き方しましたけど、Sterblich Magieのアルバムはねえ…個人的には「期待通りの内容ではなくてモヤモヤするアルバム」の1位に据えたいくらいには評価に困る作品なんですよねえ。先行リリースされた「ルクレツィア」「アマリリス」の2曲は文句なしに素晴らしい楽曲だったのですけども、アルバムのほうはというとシングル曲以外はいまいちパッとしない内容で。aratoさんの美声で開幕して期待感を煽るものの妙に低音なボーカルがメインになってる4曲目、スローな曲が連続して盛り上がりに欠ける後半、そして何よりも3曲目のSilent Jealousyオマージュの男性ボーカル曲…これが微妙な印象をもたらす一番の元凶ですな。男性ボーカルっていうだけでも浮いた存在になってるのに尺が10分近くありますからね。さすがに長すぎ。全体的に女性ボーカル+HR/HMという「売り」が活かし切れてなくてバランスが悪いアルバム。個々の曲が悪いって訳じゃなくてむしろクオリティはかなり高めなんだけど…。まあ先行曲で期待のハードルが高まりすぎてたせいもあるか。

ですが、今回の本題であるA-HEADのアルバム、こちらはSterblich Magieのアルバムとは比較にならないくらいバランスの良い内容。収録曲の大半がアップテンポのHR/HM曲で揃っていて中途半端に男性ボーカル曲も入ってないから統一感が抜群。女性ボーカルによるHR/HMというコンセプトに一切のブレが無い理想的な方向性。正直いうとこの路線をそのまま素直に移植してSterblich Magieのアルバム作って欲しかったかもなぁ…。
音楽性としては万全の内容だと思うんですけど、しかしながらメロディが東方なので新鮮味が薄くて物足りないのは致し方ないところ。このアルバムの場合は選曲が有名曲多めだから尚更。東方全く詳しくない自分でさえUNオーエンのアレンジなんて腐るほど聞いてますしね…。
ってか、前述の「ルクレツィア」や「アマリリス」は東方曲に比べても遜色ないどころかむしろ越えてるくらいに良い曲だったからやっぱりオリジナル曲やって欲しいですよね。素晴らしいメロディセンスを活かさないのは勿体ない。

このA-HEAD及びSterblich Magieの音楽性の核となるのはHR/HM要素を担う秋時さんの安定感ある重厚なギターワークと、そして何よりaratoさんの美声ですよね。Sterblich Magieのキラーチューンもこのaratoさんの儚げな歌声なしでは成立しなかったでしょう。この甘く繊細な歌声とヘヴィなギターサウンドの対比が最高なんですよ。さらには、aratoさんはご自身でも作曲しておられて「アマリリス」もaratoさん作だということも忘れてならない重要ポイントでしょう。ほんと、歌声もメロディセンスも共にオリジナル同人音楽系のツボを突きまくりなんですよね。なんていう逸材。やっぱりまたオリジナルやって欲しいなぁ。

メタル「っぽい」音楽性のオリジナルサークルならばいくらでもいるんだけど、多くはV系寄りだったりモダンなハードコア寄りだったりするので、何気に正統派HR/HMと幻想音楽という組み合わせって希少だと思うんですよ。だからSterblich Magieの存在意義は今も全く色褪せてないと思うんです。
とはいえ再びオリジナル作品をやってくれる可能性はあんまり高くなさそうですな…残念ながら。

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Sterblich Magie「Ideal Welt」

http://sterblichmagie.info/

Sterblich Magie待望の1stアルバム!なんですが、ごちゃごちゃ前置きするのもアレなんで結論から書くと、今回の新作は必ずしも事前の期待に応えるだけの内容になっているとは言いづらいかもしれません…。というかぶっちゃけ、期待が高すぎてハードル上がり過ぎてた感はあるんですけどね。それほどに、先行公開されていた「アマリリス」と「ルクレツィア」の2曲が最高に素晴らしかったということでもあるのですが…。

シングルとして先行公開されていた楽曲を除くと今回初公開となる新曲は5曲、そのうち1曲はイントロ的な小曲なので実質4曲ですね、その4曲の新曲も十分に良く出来てると思うんですけど、しかし前述の先行曲2曲に匹敵するほどのキラー度なのかというと…やはり微妙なところで。「ルクレツィア」で示されたような、東方メタル界隈ならではのメタリックで高度な演奏とオリジナル界隈ならではのサンホラ系の幻想的な歌メロの見事な融合、それに匹敵するようなインパクトが今回の新曲にはあまり感じられないというのが正直なところです。かと言って、「アマリリス」に匹敵するような洗練された美メロもないので…やはり物足りない感覚は否めないかもしれません。

ただ、先行曲をすでに聞き飽きるほどにヘビロテしていた自分だからそう感じられるのであって、先行曲を聞いていなくて今回のアルバムで初めてSterblich Magieを知ったというリスナーさんにとっては、先行曲も新曲として一緒に楽しめる訳ですから、それならば全然評価も違うでしょうね。新規リスナーさんにとっては名盤級の作品になり得ることも十分に考えられます。

というか、新曲においても幻想音楽系リスナーのツボを付くようなメロディや雰囲気作りは健在ですし、もちろん演奏やサウンドプロダクションの完成度の高さも相変わらずで、同系統のオリジナル系の幻想音楽サークルを余裕で引き離すほどのハイレベルさを見せ付けていてさすが東方メタル系サークルだなと感心するばかりですから、おそらく一般的な同人音楽リスナーからの評価は依然として高いのではないでしょうか。
むしろ、微妙な評価にしてるのはうちだけかもしれないですね…。まあ、うちはかなり変わり種な趣味のリスナーだという自覚ありますし、うちの感想とか全く当てにならないと思いますから…はい…。そもそも、このSterblich Magieがメインターゲットにしているリスナー層はメタル的な演奏とかプログレ的な構成美とか求めてる訳じゃないと思いますし。評価基準が全く違いますよね。

ただ、3曲目「Memoria」はですね…これだけは客観的に聞いても問題作と言うしかないかもしれないですね。この曲だけオリジナル同人音楽界隈で全く需要のない男性ボーカル曲で、しかもそれだけでなく、なんと9分以上もある長尺曲という…。途中で女性ボーカルがちょこっと入ってサンホラ二期っぽい展開もあるにはあるんですが、でもやっぱり全体的には冗長かなぁ…。
いや、個人的には男性ボーカル曲も好きなんですけどね、この曲で歌ってるボーカルさんもかっこいい声だと思いますし、それが悪いって訳じゃないんですが、でもやっぱりSterblich Magieの女性ボーカル幻想音楽系サークルというイメージからはかけ離れてる曲だと思いますし、幻想音楽系リスナーからも需要があるとは考えづらいので…。
しかしこれは、あえてオリジナル同人音楽で需要のない曲を入れてバラエティ感を持たせるという挑戦的な姿勢の現れなのかもしれないですし、単に否定的に捉えるべきではないんでしょうけどね。自分も常々、オリジナル同人音楽では男性ボーカルのサークルが過小評価されてる感があってそれを憂いてますし。かっこいい男性ボーカルのサークル沢山あるのにも関わらず大半が埋もれてる感じありますからね…勿体ない。
それともう1つ、この曲のギターリフですね…。先日のサタアラの記事でXの影響が云々とか書いたばっかりなんですが、またしても来ましたよみんな大好きSilent Jealousy!こちらは音色までSilent Jealousy再現してて更にリスペクトが感じられますね、思わずニヤリとしてしまいます。

4曲目「或る勇者の話」、これは今回の新曲では一番気に入ってる曲ですね。この曲は先行曲でお馴染みの女性ボーカルaratoさんともう1人の女性ボーカルさんのツインボーカル構成になってるんですが、このボーカルさんずいぶんと独特な声質ですよねえ…魔女役?にぴったりな感じというか。ぶっちゃけaratoさんの美声の引き立て役になってるのは否めないですが…。というか、この曲も作曲aratoさんなんですね、先行曲の「アマリリス」といい、実に幻想音楽系のツボを心得た曲作りだなと思います。言うまでもなくaratoさんは歌声も同人音楽リスナーのツボを突きまくる声質ですし、ほんとに逸材としか言いようがないですよね。やはりaratoさんあってのSterblich Magieだなぁと再確認します。

6曲目、7曲目は割と似た感じのスロー曲が続くんですが、メタラー的にはここにちょっと変化を加えて構成にメリハリが欲しかったところかも…。新曲だと疾走曲は男性ボーカル曲しかない訳だし…。もしくは「ルクレツィア」のイントロみたいなメタル然としたヘヴィなリフが聞きたかったというのもあります。
とはいえ、両曲ともにオリジナル同人音楽的な需要にはガッツリと応えた耽美な曲調ですし、むしろメタル要素が控え目な展開を好むリスナーさんには全く不満のない展開である可能性も高いと思いますが。

あとこの作品はブックレット凄いですよね、イラスト豪華すぎて…。3人の絵師さんによって何とボーカル曲の全てにイラストが付いていて、中にはジャケを飾るに相応しいレベルのイラストもあったりで…実に贅沢な作りですよね。アートワークが重視される同人音楽においてこの力の入れ方は間違ってないと思います。


一度は活動休止宣言をしたサークルさんがせっかく戻ってきてアルバムを出してくれたというのに、こんな風に煮え切らない微妙な感想を載せるというのも心苦しいことなんですが、でも、「ルクレツィア」と「アマリリス」が垣間見せた可能性がそれだけ大きかったということですし、東方メタルのクオリティとオリジナル同人音楽のメロディの融合という可能性にはまだまだ先があると思えてならないので、是非とも今後も活動を続けていって欲しいなと思っております。
むしろ、1stアルバムで完璧な作品を出しちゃったら今後の進化の楽しみがなくなっちゃいますからね。多少不満が残るくらいで丁度いいのかも…? 2ndでは更なる飛躍を遂げていることを期待したいです。

Sterblich Magie「VERSUS」

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今回の夏コミはリリハル無料配布ゲットが最大の難関かと思ってたんですが、実際はここが一番入手難度高かったのかもしれないですね。なんせ事前にけっこう話題になってたっぽいし、価格設定も100円で非常に安価でしたからね、というかぶっちゃけ100円って実質的に無料配布と変わらないですよねw それに加え東方サークルA-HEADの方の知名度もあるだろうし100円なのに美麗なジャケ絵も付いてるしこれで売れない訳がない。というか春M3のシングル持ってる人には無料で配布されてたみたいですな、まあ100円くらいケチってもしょうがないから全く惜しくないし今回の新曲の出来から考えて無料でもらうのは申し訳なくなるレベルですからね。おそらく無料でもらった人はほとんどいないのではw

今回のシングルの内容は前回のM3で頒布された3曲(ボーカル曲1曲+インスト2曲)に新曲のボーカル曲を加えただけなんで前作買った人(自分も含む)にとっては実質的に1曲入りのシングルなんですが、この新曲がほんと素晴らしい出来なんですよね。前作の「ルクレツィア」も重厚なメタルサウンドと幻想音楽を融合させた良曲だったんですが、今回の新曲は別の方向性ながらこれまた充実の出来になってますねー。
今回の新曲「アマリリス」ですが、メロディパターンは割と単調というか、Aメロからサビまでほぼ同じメロディを繰り返してる感じなんですが、アレンジが凝ってるので退屈さは全くありませんね。むしろ同じメロディ繰り返して徐々に盛り上げていく構成が効果的に使われている感もあります。
アレンジの妙はやはりドラムパターンでしょうな。シンフォニックなアレンジやギターの入れ方とかも上手いんですが、シンコペーション多用で細かく刻まれるドラミングが絶妙なアクセントになってますね。これはプログレッシブですなぁ。プログレコンピで植木屋さんの曲がこの手を使ってたからこれはプログレッシブと呼んで差し支えないでしょうw やはりこういう卓越したアレンジセンスはアレンジに集中して鍛え上げた東方サークルならではの物なんだろうなぁ。
あと、ボーカルさんの儚げな声質がまた良いですよねえ。こういう歌声って幻想音楽系リスナーに受けが良さそう。

悶絶メタルさんが「東方が本格的に廃れてアレンジ系サークルが次々とオリジナルに着手してる」って書いてましたけど、このサークルがそれに該当するのかどうかは分かんないですが、このサークルの「退廃幻想御伽噺」ってコンセプト、正直言うと東方勢がオリジナルに着手するにあたって「オリジナル系だとこういう系が受けがいいんでしょ?」的な媚び媚びなスタンスが見え隠れしてる気がしてちょっとアレかなぁみたいなネガティブな印象あった事も否めないんですよね。でもこうやって2曲ボーカル曲を聞いた今となっては、「これは大いにアリだな!」と感じております。というのも、この幻想音楽的な音楽性、全く付け焼刃的な感じはないですし、むしろかなりツボを押さえまくってますよね。(特にボーカルさんの声質が大きく貢献してる気がします)。それでいて東方メタル的な重厚で本格的なサウンドもしっかり組み込まれてる訳ですよ。この2つの要素が良い具合に化学反応起こしてる気がしますね。
現状の幻想音楽系ってぶっちゃけサンホラ、アリプロ、V系、民謡、和風、この5パターンくらいしかない印象なんですが、東方勢が参入することによりそこに幅が生まれそうな予感がしてけっこう期待が膨らみますね。音楽性や雰囲気だけでオタク文化と接点を繋がないといけないオリジナル系と違って、東方アレンジは東方曲をやってるというだけで無条件でオタク音楽になるから音楽性自体は割と自由でオリジナル系に比べるとジャンル的な偏りが少ない気がしますし、その自由さがオリジナルに流入すれば良い刺激になる?みたいな気がするんですよ。しかし東方勢の不安要素としてやはりメロディという点がある訳ですがこのサークルは少なくともこの2曲を聞く限りではかなりのメロディセンス持ってる印象ですからね、やはり期待できますよ。

まあ東方勢がオリジナルに参入しても、東方アレンジに比べてガクッと売り上げ下がるだろうからオリジナル継続してくれるかは怪しいところだし、メロディセンス無いサークルだったらやはり淘汰される可能性もある訳で、それにこの前も書いた通り、アレンジ系が衰退したら同人音楽全体が縮小する可能性が大きいですし、良いことばかりじゃないと思うんですけどね、でもこのSterblich Magieみたいなサークルが増えるんだったら大歓迎ですね。

そういえばこのボーカルのaratoさんって方、「アマリリス」の作編曲も手がけてるみたいですねえ…マルチな才能お持ちですなぁ。ギターと編曲担当のA-HEADの秋時さんのほうはイラストも描いてらっしゃるようで、このシングルのジャケは別の絵師さんみたいですが東方のジャケはご自分で描いてたみたいでやはりマルチですねえ。やっぱり凄い人達の集まってるサークルな気がする。東方サークルの知名度があるはずなのにジャケがちゃんと付いてるCDを100円もしくは無料配布しちゃう謙虚さもなんか凄い。
http://a-head.cc/c86/#cd_info
A-HEADの新譜もジャケ美麗すぎるなぁ、これで200円だったらジャケ買い必至でしょw

公式ブログに秋M3でアルバム出すみたいなこと書いてあるけど、ハイペースで作ると楽曲の質が落ちると思うんで無理せずまたシングルでいいんじゃないかと思うんですけどねw 東方なら毎回アルバム連発できるんだろうけどオリジナルはそうはいかないだろうし…。
プロフィール

同人音楽初心者

Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

Information

↓当ブログ的に超絶おすすめなサークル2選!!!
必聴です!!!!!

http://lostmyproust.jimdo.com/

https://tomorro4.bandcamp.com/

↓その他のおすすめサークルはこちらにまとめてあります
http://adtoe.blog.fc2.com/blog-category-75.html

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