FC2ブログ

roxie philharmony「交響曲第7番[王魂よ、光あれ]」

2018-11-15_032704.jpg

http://roxie.holy.jp/kings_top.html

なげうり 【投げ売り・投売り】
(名)
損を覚悟で、捨てるように安い価格で売ること。捨て売り。


…という訳でね、「同人音楽の歴史に残る投げ売り」価格のCD、roxie philharmonyの新作アルバムのご紹介です。
どんくらいやばい投げ売りなのかっていうとですね、21曲入りで70分越えという同人音楽としては破格の超ボリュームなフルアルバムが…なんと…500円???? は???? でも公式にはっきり明記されてるし自分も500円で実際に買ったので嘘ではないのです。
「定価¥3,000 / 2018秋M3特別価格¥500」って意味不明すぎますよね。「支離滅裂な思考、発言」のあの吹き出しの中にこの文字列入れたらぴったりだと思う。(あのコラ絵の元ネタの出版社から使用禁止の声明が出たらしいけど…まあそれは置いといて…)

いや、でもさ、21曲って言っても本当は短いインストとか語りだけのトラックとか大量にあって実質的な中身は大したことないんだろ?という同人音楽リスナーなら誰でも抱くであろう疑念(同人音楽は曲数水増し作品ほんとに多いから…)、しかしその疑念をことごとく打ち砕くほどに内容がぎっしり詰まったアルバムだという事実。
まあ確かにインスト曲も多いんですけどね、でもボーカル曲が15曲もあるんでインスト曲の比率は決して高くない。
更には、この作品はゲストボーカルを11人も迎えて制作されてるのですがどのボーカルさんもめっちゃ歌唱力高い人ばかり。島サークル級同人音楽にありがちな音程ズレズレの歌はほぼ皆無。
でトドメと言えるのがあの同人音楽最強の知名度を誇るサークルAsrielの元ボーカルKOKOMIさんがゲスト参加しているということ。ぶっちゃけKOKOMIさん歌ってる曲だけで500円取れるレベルなんじゃね? 普通なら。

つまりどこにも手抜き要素など見当たらない、どう考えても全力投球の渾身の作品なのに500円…。同人音楽界にはフルアルバムを500円で売っちゃうサークルは確かに結構いるんですけどそういうサークルは基本的に低クオリティですからね。こんだけ実力あるボーカル揃えて金と時間かけてそうなアルバムが500円ってのはやはり歴史に残るレベルなんじゃないかと。

こりゃ今回の秋M3を語る上で絶対に外せない作品ですよね。きっとM3参加者全員買ってるに違いない…。と思いきやツイッター等に上がってる戦利品写真を見た限りでは買ってる人は意外に少ない…。同人ゴシック系を割と買い漁ってるタイプの人の戦利品にもなかったり。何故なのか。
まあ今はストリーミング聞き放題で音楽聞けちゃう時代ですしね…値段設定とかあんま関係ないんでしょうな。でも値段関係なく凄い作品ではあるんですけどね。

っていうか、やっぱこの作品って同人音楽を聞き始めたばっかりの初心者リスナーこそが聞くべき作品だと思うんですよね。
あ、初心者ってこのブログ書いてる人のHNのことじゃないですよ? 一般的な意味の初心者ね。ほんと紛らわしいからこのHN変えたいけど今更変えるのもね…。名前考えるのも面倒だし…。
…話が逸れましたが、なぜ初心者リスナーにおすすめしたいかっていうと、もしこれを同人音楽を聞き慣れたリスナーが聞いても「ふーん、なるほど」としか感じないかもしれないから。この手のV系ロック+女性ボーカル+サンホラ(物語音楽)なタイプのサークルってこの界隈に山ほど存在するから新鮮味なんて無いし、いくら豪華な内容であっても絶賛の域まで行くのはまあ難しいと思うんすよ。
でも初心者リスナーならば、「こんな超上手いボーカルばっかりでサンホラ並の超ボリュームの作品が500円!!! 同人音楽やべえ!!! roxieやべえ!!! まじ神サークル!!!」って感動する可能性もあると思う訳で。自分もこの作品を同人音楽聞き始めた頃に聞いてたら絶対衝撃だったに違いない。
だからやっぱM3初参加者も書いやすい価格設定にする戦略は意味があったんじゃないかと。初参加者にこのサークルの情報が伝わっていたかどうかは定かでないですが…。

ちなみに、自分がこのroxieの作品を初めて買ったのはまさに同人音楽を聞き始めたばかりの頃でした。6年前っすね。
ってかその時に買った「遠き王国のイストワール」が「交響曲第6番」=6thアルバムだったので、つまり本作「交響曲第7番」の1個前…。え?正式なナンバリング作品としては自分が初買いした作品以来ってこと??? まじかよ。6年もかけてこのアルバム作った訳か…そりゃ全力投球に決まってるわ…。

で、同人音楽聞き始めの自分がそのroxieの前作「イストワール」を聞いて感動したのかっていうと…ぶっちゃけ微妙なところです。なんていうか、クオリティ的には前作も今作と同じレベルだったし(裏を返せばこの6年でほとんどクオリティ上がってないってことなんだけど…まあ6年前にすでに完成の域に至っていたってこと)、なんですが前作はアルバム構成に難がありまして、ボーカル曲の合間にいちいちインスト曲が入るんですよ。しかも長めで楽器単体のインスト。別にインスト曲が悪い訳じゃないんだけど、歌物として聞こうとすると長いインストが邪魔くさく感じてしまうしどうにもバランスが悪く全体的な印象も良くなかった訳でして。普通に歌もの中心でインストが副菜的な位置付けのアルバムだったら楽しめてたと思うんですけどね。

それに対して、本作もインスト曲が合間に入る構成は同じなんですけど、作品ボリュームが段違いに上がったことによってインストがあっても作品バランスにほとんど悪影響はなく自然な流れで聞けるようになってるんです。インスト曲も組曲の一部として必然性が備わってる。前作とは比較にならないくらい作品構成の完成度高まってますね。

このサークルって自らの音楽性を「ヴィジュアル系ロイヤルシンフォニー」と公言していて、まあこの界隈にはV系からの影響大きいサークルが山ほどいるから別に1ミリも珍しくはないんですけど、でも公言する割には意外にV系っぽさは抑えめだったりするんですよね。というのは、他のゴシック系サークルってボーカルを女声に置き換えただけでサウンドは90年代V系そのまんまってサークル多かったりするけど、このroxieの場合はクラシックやロシア民謡のテイストが濃いめなのでV系そのまんまって感じではない。男性ボーカル曲も最小限だしね。幅広いジャンルを内包してる感じ、やっぱサンホラ系物語音楽シンフォニックロックな印象っすね。

ボーカルについてはほんとサンホラの歌姫に抜擢されてもおかしくないくらい実力ある方々が揃ってると思うんですが、演奏やサウンドクオリティについては…まあ島サークル級って感じかなぁ。6年前とあんま変わってない。ってか、失礼ながらオケはギター含めて全て打ち込みだと思ってたんですが、クレジット見たらギターもドラムもオーケストラ楽器も全て参加者が記載されてるんですよね…まじか…。ほんとに相当な労力と金がかかってますな…。

各楽曲の出来栄えも非常に優れていて捨て曲と言えるような退屈な曲はほとんど無い。良メロ&ドラマチックな展開を備えた楽曲が勢揃い。さすが6年かけただけはある。全体的に疾走曲多めな構成もメタラーには嬉しいポイント。
キャッチー系の曲では2曲目、5曲目、10曲目、18曲目あたりが気に入ってて、クサ系の曲では6曲目、12曲目、15曲目が特に良いですね。でもやっぱトドメと言えるのはKOKOMIさんボーカルの20曲目「幽暗を啀む星彩の輪廻」。他のボーカルさんも上手い人ばっかりなんだけどKOKOMIさんはさすがオーラが別次元。てかこの曲だけ曲名がAsrielっぽいネーミングになってるのもあざといなぁ。

ジャケは「イストワール」と同じく主催ryotaさんの写真をメインにした簡素なデザイン。こんだけ豪華な内容なんだからジャケも神絵師に依頼して物語音楽っぽい感じにしたほうがリスナーにアピール出来たような気もするけど…まあ「ヴィジュアル系」サークルだから、イケメン主催者のヴィジュアルを前面に出す必要があるのかもしれない。分からんけど。

という訳で、前述のようにこの作品はサンホラや妖精帝國などが好きな同人音楽歴の浅いリスナーに特におすすめしたいですね。もしかしたらこれがきっかけで同人音楽にハマるということもあるかもしれない。それだけのパワーのある作品だと思う。
もちろん玄人リスナーも満足できるだけの内容ですけどね。
スポンサーサイト

Medansy(MONGSHOOT RECORDS)「Frontier」

2018-11-01_032956.jpg

https://frontier-medansy.tumblr.com/

「Kawaii × Metal !? 新ジャンル"Kawaii Future Metalcore"誕生。カッコカワイイは作れる!」
皆さん、「新ジャンル」だそうですよ。新ジャンルを生み出したといきなり断言ですよ。ここまで豪語されちゃったらめっちゃ気になりますよね?
しかもこのサークルは東方やアイマスアレンジで作品を重ねてるだけあってクオリティが高い。クオリティが高い!!(重要なので二度)
こんなの買うに決まってますよね。

クオリティが高いっていうのはかなり重要ポイントですね。新ジャンル開拓しました!なんて大きく出たとしてもクオリティがしょぼかったら全く説得力は無いし誰にも見向きされないこと必至ですからね。個人的には同人音楽に必要なのはクオリティよりも個性だと信じて疑わないですが、でもジャンルを切り拓くもしくは主導するサークルであるならば一般リスナーに通用するだけのクオリティが必要なのは言うまでもないでしょう。
やはりこの界隈にはマニア向けなサークルと一般向けなクオリティのサークル両方が必要なんですよね。車の両輪のごとく両方とも必須。このサークルは後者の新顔としてかなり期待大です。

で、肝心のこのサークルが掲げる音楽性「Kawaiiフューチャーベース+メタルコア」についてなんですが…ぶっちゃけ自分はフューチャーベースっていうジャンルについては漠然とした理解しか持ち合わせていないです。フューチャーベースとカテゴライズされるアーティストをいくつか聞いてみてなんとなく雰囲気としてこういう感じかなーっていうのは捉えたんですけど、具体的な定義が難しいっすよね…。未来的なキラキラ感のあるシンセを多用しててスローテンポで明るめな曲調みたいな? 漠然すぎる…。
まあジャンルとしてしっかり理解してる訳じゃないんですが音的に好きな感じだなっていうのは分かります。
それとフューチャーベース系のアーティストってジャケがやたらオタクっぽいイラストだったりして同人音楽との親和性もかなり高そうですよね。同人メタルが新たな地平を切り拓くにあたってこのジャンルを取り入れていくのは自然な流れなのかなぁと。不勉強なので同人音楽系でフューチャーベースっていうとYUC’eさんくらいしか知らなかったりするんですけど他にもいっぱいいるんですよね多分。

で、そのフューチャーベースとメタルコアを組み合わせるってのがこのサークルの売り文句な訳で。EDMを組み込んだメタルコアなんて1ミリも珍しくないけど、「かわいい」系と合体させるのはきっと「新ジャンル」と呼べるくらいに斬新に違いない。メタルコアってゴリゴリで無骨なイメージしかないのに、それをダンサブルなEDMではなくあえて「かわいい」と組み合わせるっていうんですからね。それだけでも冒険の具合が伺えますな。

ってか、メタル及びラウドロック系って割と節操なく色んなジャンルと掛け合わせるのが常になってるっていうか、何と混ぜても様になってしまうジャンルだとは思うんですよね。まあ混ぜるごとにゲテモノ感は増すけどそれはそれでアリになってしまうのがメタルの特性。確か鬱Pが言ってた気がするけど、ご飯と合わせてもうどんと合わせてもパンと合わせても美味しく頂けてしまうカレーみたいな存在。
それに対してフューチャーベースのほうは…あんま異物と組み合わせてはいけない感があるっていうか? いや自分も詳しい訳じゃないからはっきりとは言えないけど…なんとなくそう感じるんですよね。メタルコアとかいうやかましい音をこの「かわいい」世界観にぶち込んだらフューチャーベース側のリスナーは違和感を感じるんじゃないかっていう。

だから、メタル側からするとこの組み合わせは目新しい試みだなと感じるんだけど、フューチャーベース側からすると要らんもの入れんなって否定的な感想になりそうな気もする訳です。
しかし新しい物事を始めるっていうのはいつだってリスクを伴うのが常。これを制作したMedansyさんもそのリスクは理解していてあえて挑戦したんじゃないかって思いますし。

で結論として、個人的には、少なくともメタル側の視点からするとこの試みは成功していると考えます。「kawaii」と「無骨」が巧みに両立されていて「新しいジャンル」と豪語できるだけの魅力が備わっている作品であると。

まず基本的な方向性としてこの作品はkawaiiフューチャーベースが前提に存在してて、そこにメタルコア(ポストハードコア)を適量混ぜるという感覚っていうか、いかにkawaiiを損なわずにロック要素を足していくかって部分に腐心してるように感じますね。実際バンドサウンドのミックスは小さめだし出番も比較的少なめ。やっぱ前述のようにフューチャーベースには異物は入れづらいのかなぁ。

にも関わらずこの作品はメタルとして聞いても十分な聞き応えがあると思うんですよね。というのは、基本はkawaiiをメインで楽しむ作品なんだけど、kawaiiだけでは物足りなくなってきたタイミングで絶妙にメタルコアサウンドが入ってくるっていうか、凄くメリハリが付いてる構成になってるんですよ。そのメリハリによって2つのジャンルの魅力が相乗効果で高まってる感ある。

kawaiiとメタルの配分も重要なんだけど、個人的にこのサークルの一番の魅力はメロディにこそあると思ってます。まあどんなジャンルであろうがメロディの良さが最重要であるのは当然って言えば当然なんですが。
このサークルはアレンジやってたにも関わらずメロディが良いです。アレンジ系サークルがオリジナル作品出すとメロディが微妙だったりすることある訳なんですがこのサークルはメロディだけで戦えるレベルで充実してる。収録曲ほとんどインストなのに歌ものに近い満足感を得られますからね。

そのメロディの良さに加えてサウンドもハイレベルで音楽性もオリジナリティあるっていうんだからこりゃ強いに決まってる。
さらにもう一つこのサークルを高く評価したい点があるとしたら、それは「ロックの持つ可能性を捨てていない」ところにあると思うんです。
この界隈には、かつてメタル系もしくはロック系の音楽を志してたのにいつの間にかロック離れしてエレクトロ系に移行しちゃったサークルが多いんですよね。まあ時代の流れを考えれば当然の選択だとは思うんですけどやっぱ寂しいというのが本音。
それに対し、このMedansyさんはフューチャーベースという(比較的)最先端な音楽性を中心に据えながらもロックを捨てることはせず、メタルコア(ロック)と共存させて新たなジャンルとして拡張するために用いてる。そこがメタラー的にはすごく頼もしいっていうか。

本作は5曲入りEPでそのうち歌物は1曲だけ。ロック系音楽の観点から考えるとインストメインって地味そうな印象あるけどこの作品については前述の通り全くそんなことはなく十分な満足感あり。フューチャーベースというジャンルの特性とメロディの良さによるんでしょうな。

1曲目「Frontier Sunset」、高音のサンプリングボイスによるいかにもフューチャーベースっぽいパートで開幕。もうこの時点でめっちゃメロディ良いし雰囲気良いし最高の出だしっすね。
その後はメタル然としたリードギターが登場して雰囲気は一変。メタラー的にはアリの展開だけど…フューチャーベースとして聞いてるリスナーはここに違和感あるかもしれない? まあこの辺りは「新ジャンル」としての試行錯誤が見て取れる部分かな。やはり配分が難しそう。
リードギターに続いてエモいトレモロが展開するのも面白い。シンセをメインにしてバッキングでメタルコアサウンド入れてる部分はほとんど違和感もなく自然に聞ける。あと曲構成が割と複雑なこともあってプログレメタルっぽさも感じたりするんですけどそれは自分しか抱かない感想だと思うんでスルーでいいです。はい。

2曲目「Strawberry Drive」は開幕から疾走感あるメタルコア(ポストハードコア)サウンドで切り込んでくる。でメタルコア展開が一段落すると「kawaii」パートに突入するんですが、その後に展開するエモいリードギターが最高すぎてkawaii要素の影薄し。この曲は作中で最もメタル側の曲ですな。でも一般のラウドロックとは異なる味わいが確実にある。

3曲目「Gimme the Future feat. ygt」は唯一のボーカル曲。もちろんこの曲も良い曲なんだけど作品のコンセプトからズレてる感もあって流れから浮いてるのは仕方ないところかな。ってか男女ツインボーカルなんだけどお2人とも上手すぎます。壁サー級の歌唱力っすね。高い完成度で「一流」の雰囲気が漂うボーカル曲。

4曲目「OBAKE friend」はハロウィンを意識したちょいホラー&コミカル風味な曲調。メタルコア要素は控え目だけど…やっぱメロディが良いっすね。後半のメロディが特に良い。合間に入る3曲目で歌ってる女性ボーカルさんの「おばけ~」って声でちょっと笑ってしまう。

5曲目「I’m Home」は1曲目とメロディ同じでスローテンポver.って趣きなんですが、これがまた1曲目と全く異なる味わいがあって素晴らしいんですよね。全体的にアンビエント(チルアウト?)っぽい曲調だけどやはりメロディの良さが最大の武器で、特に後半の泣きのリードギターがたまりませんな。

という訳で新ジャンル「Kawaii Future Metalcore」、一聴の価値ありです。まあジャンルどうこう抜きにしてもメロディが良いから誰でも楽しめると思うんですけどね。メロディを大事にするアーティストはやはり素晴らしい。
ストリーミング含む各種配信サイトでも聞けるんでM3で買い逃した人も是非。

ゆ~くれ(Yutopia Qremia) 「し~くれ-SeeQlet-」

2018-11-01_033152.jpg

https://twitter.com/Yutopia_Qremia/status/1052758390475120643

という訳でね、やはりトップバッターはこのサークルしかないでしょ。
各所から大きな注目を集めて話題沸騰! M3参加者が全員買ってるレベルの覇権サークル!!

んな訳ないだろ。誰も買ってないよ。
「変拍子」ってキーワード付いてるサークルを片っ端からチェックしてるような酔狂なリスナーしか存在認識してないよね。おそらく。
ってか、M3当日にこのサークルのスペース見た人なら分かると思うけどコスプレ?した主催の男性が無言で看板持って売り子しててけっこう異質なオーラ放ってたし人を寄せるどころかむしろ近づきがたい雰囲気があったというか…。少なくとも事前チェック無しで会場で初見で買った人はいなさそう…。

でもね、作品内容はめっちゃくちゃ良いんですよ! 個人的には間違いなく優勝級。
自分は言うまでもなく「変拍子ポップ」っていう謳い文句に釣られた訳なんですけど、変拍子要素抜きでも楽曲が抜群に良い出来なんです。良メロ、良アレンジの楽曲が目白押し。捨て曲なし。まじで名盤。今回のM3最大の収穫と言って過言でないほどの内容。

さすが「変拍子ポップ」を謳ってるだけあって全曲で変拍子をフィーチャーしてる徹底ぶりなんですけど、一部の曲を除けばどれも自然な変拍子なのでプログレに興味ない人でも普通に楽しめると思う。もちろん変拍子狂のリスナー向けのマニアックなアレンジも随所に仕掛けられてるし多角的な楽しみ方の出来る奥の深い作品。

音のクオリティとしてはまあそんなに良いって訳ではなく、あくまで島サークル級のクオリティだと思うんですがアレンジの精度が高いのでそれは全く気にならないですね。普段から同人音楽聞いてる人なら誰でも許容できるレベル。

メロディ◎
アレンジ◎
サウンド△(同人音楽としては○)

平均点高し。
で残る要素、ボーカルはというと…。うん…これがこのサークルの一番の敷居の高さかもしれないな。
最初はケロケロかけまくった女性ボーカルだと思ってたんですけどね、ライブの動画を見たら男性ボーカルが裏声で歌ってるんですよね…。つまりボイスチェンジャーで女声にしてる…? 今流行りのバ美肉ってやつか。個人的に巷のバ美肉の流行には付いていけない感あったりするんでこれにはうーんって感じだったりするんですが…。まあでもバ美肉が好きな人にならこれが逆にアピールポイントになり得るのかも?

あ、それとこのサークルは変拍子と共に「ポエトリーリーディング」っていうもう一つの謳い文句がありまして、つまり同人音楽界でいうサンホラ系語りパートですね。語りパートは全て親切にトラック分けされてるんだけどそのせいで曲数が凄いことになってる。なんと全15トラック。楽曲リストには7曲しか書いてないのでリッピングする時に驚くこと必至。
まあ自分はいちいち語りトラック聞く派ではないんだけど…ドラマCD好きな人にはこれもアピールポイントになるのかなぁ。

1曲目(トラックとしては3曲目)の「Start Over New」、トランス調のキラキラシンセを軸とした高揚感&疾走感ある曲で1発目に相応しい。疾走感あるって言ってもロック要素はない4つ打ちEDMですが。シンセのリフも歌メロも実に良くて、しかもサビメロが二段構えという贅沢感。自然だから気付きにくいけどこれもいちおう変拍子曲で、15拍子らしい。間奏部分は露骨に変拍子してますな。
まあサウンドはあくまで島サークル級だしボーカルはバ美肉だから万人向けとは言い難いかもしれないけど…やっぱ楽曲の完成度は相当なものだと思うんですよ。

お次はトラックとしては5曲目の「葬像緑」、これは作中で唯一変拍子が前面に出てるプログレ度の高い楽曲で、公式によればなんと拍子が122回も変わるという非常に忙しない曲。テクニカル音楽狂向け。男性ボーカルもちょこっと入るんですけどこれがボイスチェンジャー使わない本来の声なのかな。

でトラック7の「木漏日逃避行」、これがね…超名曲なんすよ。もうこの曲だけでもいいから絶対に聞いて欲しいっていうくらい神がかった完成度。メロディ完璧。アレンジ完璧。自分が「プログレ+同人音楽」に対して求めてる理想形がここにあるんじゃないかってくらい。つまりこのブログ的「歴史に残る名曲」。
もうメロディだけでも十分すぎるほどに名曲なんですけど、AメロBメロCメロ及び間奏におけるテクニカルなスラップベース交えた変拍子の展開が神すぎてね…。あまりに完成度高すぎてこれはバ美肉も全く気にならない。この神曲を1曲生み出したっていうだけでこのサークルは最高級の評価を得るべきだと思う。

トラック9「快晴シナスタジア」、これは男性ボーカルメインのデュエット曲。後半に向けて盛り上がりなかなかにドラマチックな展開を聞かせてくれます。男声はボイスチェンジャー使わなくても十分にイケボな感じっすね。曲調としてはスローで穏やかなんだけど何気に7拍子らしい。

トラック11「恋するかざぐるま」、これはウクレレの音色が牧歌的な雰囲気を醸す変拍子ポップ。穏やかだけど何気にプログレ度の高い一筋縄でいかない曲調で「木漏日逃避行」と並んでこの「ゆーくれ」のアレンジ能力の高さを確認できる曲かと。このバンドはライブだとウクレレがメイン楽器みたいなのでこれが最も「らしい」曲なのかな。

トラック13「地平線」、バラードだけどこれも7拍子らしい。この曲はけっこうボーカルが自然に聞こえる。そしてやはりメロディが良い。

トラック15「シロップシティ」、最後を飾るのはハイテンションでアップテンポなユーロビート調。超キャッチーで甘々な曲(バ美肉だけど)。1発目の「Start Over New」と双璧を成す良曲っすね。

そんな感じで、万人向けでない部分もあるけどとにかく曲が良いので同人音楽マニアを自負する人には是非とも聞いて欲しい作品であります。全曲変拍子というマニアックなテーマを貫きながらこれだけ良曲を揃えられるって結構とんでもない事だと思いますよ。
特に「木漏日逃避行」が今年一番ってレベルの神曲なので。これをスルーしてしまうのは余りに勿体ない。
なんかアルバム未収録の楽曲ストック結構あるみたいなんで2ndアルバムも意外と早く来そう?
あ、それとバンド名のUtopiaのスペルが何故Yutopiaになってるのか謎だけど何か意味あるのかな。

Malikliya「Inverse」

2018-05-01_024122.jpg

http://malikliya.com/

ICDD等のドラマーとして知られる修平さんの個人サークル、Malikliyaの春M3リリースの2ndシングルです。
今月末の秋M3にて数年越しの待望の1stアルバムが期待される大本命サークル。マストバイです。確実にマストバイ。全ての同人音楽リスナーが聞くべき音楽。

もはや改めて説明する必要もないかもしれませんが、ポストブラック(シューゲイザー+ブラックメタル)を基調にし、V系ロックやドリームポップやポストロックやプログレメタルなど幅広いジャンルを内包し、コアな洋楽ファンをうならせるだけでなく同人ゴシックにも通ずる耽美なオタクミュージック的魅力も兼ね備える革新的な同人音楽サークルでございます。

春M3では今度こそアルバム出るか?と期待してたんですけど結局完成には至らず、昨年夏に引き続きまたもシングル形態でのリリースとなってしまいました。
まあシングルであっても新作があったのだから何も無いよりかは良かったんですけど…でもやっぱり落胆したファンも多かったでしょうね。界隈の期待度はかなり高まってる気がしますし。

で、そのシングル曲の「Inverse」なんですが、ボーカルは前シングル「Wraith」に引き継いで「暗黒アイドル」NECRONOMIDOLの柿崎李咲さんが務めております。繊細で透明感あふれる歌唱。修平さんも柿崎さんの歌唱は大変高く評価しておられるようでアルバムのほうでも全曲柿崎さんが歌ってらっしゃるっぽいですね。

ただ、前シングルと異なるのは「非」疾走曲である点ですね。苛烈なブラストビートを備えたメタラー的に非常に分かりやすいキラーチューンだったWraithに比べるとスルメ寄りな印象っていうか、第一印象は少し地味だったというのが正直なところ。
とはいえ、卓越したメロディの美しさやアレンジの妙は相変わらずハイレベルな次元なので、むしろ速さや激しさなどメタル的要素が控えめであることでそれらの魅力が余計に浮き彫りになったとも言えるかもしれません。
特に、浮遊感あふれるドリーミーな音作りや美しいバックコーラス、そして試聴の段階では聞けなかった後半部分のエモさMAXのトレモロなギターフレーズなどは他の同人音楽とは一線を画する決定的な要素であるように感じます。
あと、メタル要素は控えめではあるんですけど中盤の間奏とか十分にプログレメタル感ありますしやはり一筋縄ではいかない楽曲です。ジャンルを超越した音楽性。

そして本シングルにはカップリング曲として「Quiet ver.」と題されたアコースティックバージョンも収められていますがそちらもまた違う味わいがあります。

という訳でますますアルバムへの期待を高めるシングル曲でしたが、3週間後のM3で今度こそアルバムが出ることを期待しましょう。

Majestic Righteousness「3rd EP」

2018-02-13_025741.jpg

http://majesticrighteousness.web.fc2.com/

女子高生スクールアイドル(自称)Majestic Righteousnessの通算5作目。
昨年秋リリース。
はい、例によってM3で新作が出る直前になって滑り込みセーフを狙う的な記事です…。

なんだかんだで1年に1作のペースでコンスタントに出してくれてるんですけど、EPとアルバムを交互に出してるから活動4年目でまだアルバムは2枚っていうことで…同人音楽界としては割とスローペースの部類に入るのかなぁ。

アルバムのほうは毎回気合の入ったジャケ詐欺に定評ありますがEPのほうはいつもあっさりな作り。「2nd EP」は謎のひつじ風生物だったけど今回は…なんだこれ?前衛芸術っぽい?さっぱり分からん…。まあいいやきっと3rdアルバムでは再び強力なジャケ詐欺を見せてくれるだろうから。

前作に当たる2ndアルバム「Metal Army Revolted Adversity」において疾走曲が半減するという意外な変化を見せたマジェライですがこのEPでは収録されてるボーカル曲は2曲ともばっちり疾走してるので「らしさ」を取り戻した感は正直あります。もちろん2ndアルバムは疾走してない=駄作なんてことはなくてあれはあれでスルメな味わいのある良作だったと思うんですが、とはいえやっぱ普通にパワーメタルやってくれるほうが安心感あるってのが正直なところ。

恒例のイントロに続いて疾走開始する「Spiritual interference II」、あれ? IIってことはⅠもあったのか? ああ2ndアルバムにⅠがあったんだ。似ても似つかない曲調っすね。このIIのほうはお約束とも言えるX JAPANの影響下にあるパワーメタル曲。
3曲目の「Night Hawk」のほうも疾走してますがこちらは明るめなメロで爽やか風味。
2曲ともほんと1stの頃に比べると別物みたいに爽やかなボーカルスタイルになっちゃってるけど最初の頃の素っ頓狂なハイトーンの熱唱が懐かしい…。

4曲目のアウトロ的インスト、やけにメロディアスだなと思ったら本当は1曲目と共に歌入りになるはずだったそうで。イベント後に歌入りの完成バージョンを追加配信する予定だったらしいけど未だに配信されてない? 今度のM3新譜に収録されるのかな?

今度のM3で3rdアルバム出るとしたらやっぱりこの方向性なんでしょうな。2ndアルバムの作風も捨てがたいけどやっぱ分かりやすいメロスピのほうが同人メタル的には良いですよね。
プロフィール

同人音楽初心者

Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

Information

↓当ブログ的に超絶おすすめなサークル2選!!!
必聴です!!!!!

http://lostmyproust.jimdo.com/

https://tomorro4.bandcamp.com/

↓その他のおすすめサークルはこちらにまとめてあります
http://adtoe.blog.fc2.com/blog-category-75.html

最新記事
カテゴリ
VA (4)
Imy (1)
リンク
検索フォーム
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QLOOKアクセス解析