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ぱっちりひつじ「ゆめにっき2」

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http://www.pacchiri-hitsuji.com/

音楽作品には2種類あると思うんですよ。試聴で断片的に聞いただけである程度の内容が把握できる比較的シンプルな音楽性、その反対に試聴だけではほとんど把握できない情報量多い音楽性。
まあどっちが良いとか悪いとかの話じゃないんですけどね。分かりやすさ、取っ付きやすさの問題ですね。

今回紹介する「みんなのうた」+「プログレメタル」な音楽性のぱっちりひつじはまさに後者のタイプ。試聴だけじゃこのサークル(バンド)の凄さは三分の一、四分の一すら感じ取れないと思う。だから是非とも試しに聞いて頂きたいんですよね。このバンドを雰囲気だけで判断して聞かずにスルーしてる人がめっちゃ多いと思うんで。凄いんですよこのバンドは。まじで。様々なアイディアや仕掛けが満載の音楽性なんで、例えこの雰囲気やプログレ要素に興味なくともきっと楽しめる部分があるはずだと思うんです。
3月開催の「幻想音楽祭」にも参加するみたいなんでその機会に買ってみるのはいかがでしょうか。

その幻想音楽祭に参加を表明するだけあって、ファンタジーにカテゴライズ可能な音楽性だとは思うんですけどね。ただ、同人音楽界隈で一般に思い浮かべるようなファンタジーとはちょっと趣きを異にする感じはあるかな。この界隈で需要のあるようなラノベ系、RPG系の厨ニファンタジーじゃないんですよねえ。もう全然オタク文化の外って感じのメルヘン風味っていうか。「みんなのうた」…NHK教育系…と言うにはちょっとホラーやグロ風味が濃いんで完全には当てはまらないと思うけど。まあとにかく独特。だからこのぱっちりひつじの「ファンタジー」が同人音楽リスナーにはあんまり刺さらないってのは正直あると思う訳ですよ。

それでもやっぱりおすすめしたい訳です。何故ならこの音楽は独特すぎて他じゃ絶対に聞けないから。ぱっちりひつじでしか体験できない音世界があるから。「替えが効かない」音楽性って最強だと思いません?

さて今回の待望の2ndアルバム「ゆめにっき2」についてですね。実はかなり紆余曲折の末に発表された作品です。
2015年リリースのマキシシングル「ドSピエロのボブ」以降3年半もの長きに渡って沈黙していたので、てっきりもう活動停止してしまったのかと誰もが思っていたことでしょう。個人的にも2ndアルバムへの期待は高かったんですがぶっちゃけほとんど諦めてました。
実際のところ、この2ndアルバムの楽曲は2014年の時点でほぼ出来上がっていて、レコーディングだけが出来ずに長い時間が経ってしまったようなんですが…まあ実質的な活動休止期間だったんでしょうね。しかしそのまま自然消滅なんてことにならずに無事再び活動再開してこんな素晴らしいニューアルバムを届けてくれたことにはほんと感謝です。

なので、3年以上かけて徹底的に作り込んだ作品って訳ではないみたいですが、でもその沈黙期間の間に各メンバーもそれぞれスキルアップしてたのではないかと想像しますし、やはり長い時間かけたのは決して無駄ではなかったのでしょう。1stアルバムと比べれば演奏の充実度は格段にアップしているし半端なく密度の濃い作品に仕上がっています。
プログレという観点から評価すれば今作のほうが圧倒的だと思うんですが、だからと言ってこの2ndアルバムが1stアルバムの上位互換とも言い切れないんですよね。ってのは、1stアルバムは世界観のぶっ飛んだ尖った楽曲が満載でしたし(特に「かみのけがとれた」の悪趣味っぷりと「あみずし」の気持ち悪さは半端なかったから…)そしてアルバム最後「ひつじ」に仕掛けられた衝撃的な「オチ」も秀逸でしたからね。それに対して今作は割と全体的にマイルドで聞きやすい方向性になってるっていうか? 一般向けとまではいかないけど、角が取れたような感じはあるかもしれない。
だから、完成度としては今作が上、コンセプトとしての突き抜け方では1stに軍配が上がるのかなぁと。それぞれの良さがあるってことですな。まあ、角が取れたって言っても他のアーティストに比べれば依然として個性的すぎるんですけどね。

収録曲数は11曲。トラックは12曲あるんだけど最後の12曲目はセリフだけの短いトラックなんでやっぱ11曲で。

1曲目「たいようのさいご~その1~」、イントロ的なインスト曲。デスボっぽい叫び声とかも装飾的に入ってるけど。「その1」と銘打たれてますがこれは3パートから成る組曲構成になってまして、それぞれがアルバムの頭と中盤と最後に配置されてます。とはいってもこの組曲の各パートは曲調バラバラだし音楽的には繋がりが希薄で、あくまでコンセプト的な役割を担ってる感じでしょうかね。
この「その1」は短い尺ながらも最もドリームシアター系プログレメタルな展開が聞ける楽曲です。

2曲目「ナナシザメ」、なんとアルバムの序盤からいきなり14分越えの大作。当然ながら作中のハイライト的楽曲です。
ちなみにマキシシングルの「ドSピエロのボブ」にも「ほんじつのニュース」という15分の長尺曲があったんですがそっちは曲の大半がアバンギャルドな即興演奏で占められているというある意味で長尺詐欺(?)な楽曲でしたが今回は違いますよ。きっちりと内容の詰まった正真正銘の長尺曲。
ってかこれはぱっちりひつじ最高傑作の楽曲と言っても差し支えないでしょう。今までになくシリアス寄りな曲調で、もはや海外のプログレバンドと比較しても遜色ないレベルに達した本格派演奏を聞かせるガチ曲。持ち味であるコミカルでシュールなテイストも最低限に抑えられてるんで必ずしもぱっちりひつじ「らしい」楽曲とは言えないかもしれないですがプログレという観点からしたらこれは到達点と言える完成度でしょうね。
みんなのうた+ドリームシアターと言われるぱっちりひつじの音楽性ですがこの曲における清涼感にあふれる叙情性はドリームシアターというよりかは北欧プログレ的ですね。ギターソロもキーボードソロも超絶メロディアス。
やっぱ今作の鍵を握るのはギターソロですね。アルバムの要所要所で泣きまくりな叙情リードギターが大活躍していてそれが今作のプログレとしての聞き応えの核となってる。1stアルバムはもっとキーボード中心だった気がするけど今作はギターの存在感が大幅に増してる。
14分の長尺ってことでもちろん複雑な展開もあるんですがどのパートも非常にメロディアスなので退屈な部分は全く無いですね。シリアス寄りな曲調とはいえ歌パートはいつも通り「みんなのうた」なノリだしそこも問題なし。ストーリーも明確で分かりやすくて良い。物語音楽的にも楽しめるんじゃないかな。

3曲目「ホラーティッシュのうた」、打って変わって陽気でポップな曲調。サビのキャッチーさも作中随一。ちなみに曲中に漫才みたいなノリのセリフパートがけっこう長めに入るので耐性の無い人には少々小っ恥ずかしい感じかもしれない。まあ長めにセリフ入るのはこの曲と次の曲だけなんでご心配なく(?)。最初に聞いた時はもし作中のセリフ率が高かったらどうしようって焦ったりもしたけど。

4曲目「ドSピエロのボブ」、マキシシングルで先行リリースされた曲のアルバムバージョン。シングルバージョンから細かい手直しされてるみたいですが一番の違いは間奏部分で入るセリフ。最初聞いた時はセリフいらねえだろって思ったけどこっちのバージョン聞き慣れちゃうと逆にセリフ無しバージョンが寂しく感じてしまうっていう。
楽曲についてはシングルの時も書きましたけどこれもぱっちりひつじ最高傑作候補。A.C.T系プログレポップをぱっちりひつじ流に解釈して極めたような完成度の高さ。

5曲目「ご・アマーモス」、もうタイトルの時点でシュール感あふれてて実際歌詞も難解だけど曲調はなかなかシリアス寄り。

6曲目「たいようのさいご~その2~」、3分ほどのインスト曲なんだけどこれがまたなかなかにやり過ぎっていうか、ゲイリームーアみたいなブルージーな泣きのギターソロの独壇場でぱっちりひつじの曲だというのを忘れてしまいそうなくらいシリアス。大作ナナシザメと並んで今作の「本格派」な方向性を象徴する曲。

7曲目「にぎゃにぎゃじゅむじゅむ」、7分近くの尺のある曲ということもあってやはりプログレ的な聞き応えのある楽曲。後半に向けて徐々に盛り上がっていく展開が素晴らしい。曲名も歌詞も訳わからんと思ってたけどブックレットのイラストを見てこれがDNAについての歌だと気付いた。

8曲目「ナノしば」、再び陽気なポップチューン。「ドSピエロ」ほどに極まってはいないけどやはり完成度の高いプログレポップ。1stの同系統曲「ぶらぶらねこ」辺りと比べても演奏やアレンジの鋭さが格段に増してるのを感じ取れる。

9曲目「ついらくせんようマシン」、なんと初の男性ボーカルメインの曲。歌詞がコミカルっていうだけで曲調は完全にシリアスなハードロックって感じですなぁ。
歌パートもカッコいいんだけど一番の聞き所はギターソロですな。まるでメガデスみたいな超メロディアスなソロ。

10曲目「かえってきたナナシザメ」、曲名通り「ナナシザメ」の再演的な短い曲なんだけどこれが切なさMAXなアレンジに仕上がっていてなかなか涙腺に来る。

そしてラスト曲「たいようのさいご~その3~」の感動的な展開へ見事に繋がる。この終盤の流れは完璧すぎますな。まあいわゆる人類絶滅ENDをシュールに描いたような世界観なんですが、全てのメロディがいちいち感動的すぎて感情を揺さぶられること請け合い。1stアルバムの「ひつじ」のオチも強烈だったけどこの壮大系エンディングも絶品ですね。

このぱっちりひつじはどの作品も共通してブックレットに各楽曲に個別のイラストが添えられてまして、そこからも世界観を非常に大事にしてるバンドであることが伺えると思います。
まあ本当に独特なんで、必ずしも物語音楽とか好きな層に刺さる雰囲気じゃないとは思うけど…それでも特に2曲目の大作や終盤の2曲の流れについては聞かないのは絶対に損だと断言したい素晴らしさなんで、もっと多くの人に知って欲しいと思いますね。コミケでの売れ行きは上々だったみたいですがそれでもまだまだ過小評価されてるように思えてならないので。

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ぱっちりひつじ「ドSピエロのボブ」

ドSピエロのボブ

という訳で今回の春M3で事前の期待度ナンバーワンだったぱっちりひつじ新譜でございます。なんせ試聴ヘビロテしまくってましたからね。もちろん実際CD聞いてみてその期待感に見事に応える充実の内容であったこともご報告しておきます。

今回の新譜って入門用にも最適な内容だと思うんですよね。過去最高級のキャッチーさとテクニカルな展開を合わせ持ち現時点でぱっちりひつじのベストチューンと言っても過言ではないほどに魅力的な1曲目、同人音楽の需要に寄せてあり聞きやすい印象のある3曲目、そして過去最高級のアバンギャルドさを持ち1曲目とは対称的なインパクトを放つ4曲目、どれもぱっちりひつじの個性と魅力を感じ取るのに最適な楽曲が揃ってますからね。そしてマキシシングルということもあってお値段もお手頃ですから(アルバムの方は1500円で同人音楽の相場ではちょっとだけ高い感じありますしね…まあ10曲がっつり入った聞き応えありまくりのフルアルバムですし全く割高とは思わないですが)
前作「ぽぷぺぴぱ」もデスメタル曲あったりでバラエティ豊かな内容だったんですが、タイトル曲が童謡に傾いた曲調だったので万人向けではないかもしれないしやっぱり今回の新譜のほうがバランス良いと言えるかな。
にも関わらず、今回は買ってる人がいまいち少なめな印象があって少し残念なんですけどね。秋M3の時は旧譜完売してたみたいだし割と新規リスナー開拓に成功してた感じなんだけどなぁ…。まあ今回も自分が把握してないところでしっかり新規リスナー増えてたのかもしれないですが。
まあ何度も書いてますけどこのサークル(バンド)はプログレマニアからも認められてる程の高度な音楽性を有してるバンドですからね。悶絶メタルさんのレビューを待つまでもなくマニアからは既に知名度あった訳で、うちのブログでしか評価してないとかいうマイナーサークルって訳じゃないんですよ。だから安心して買ってください(?)

もちろん、悶絶メタルさんのレビューが来たことによってこのバンドがメタラーの鑑賞にも堪えうる音楽性だということが立証された訳ですけどね、童謡っぽい雰囲気で判断して買ってないメタラーがいたらやっぱり勿体ないなぁ。いや、でも童謡っぽい感じが好きじゃなかったらこのバンドの音楽性を100パーセント味わうのは難しいので、まあ無理にオススメするつもりはないですが。でも試聴に入ってない曲でデスメタル的な曲もいくつかあったりするので興味あったら是非聞いて欲しいという感じですよ。

あ、言うまでもなくプログレ好きのリスナーには問答無用でオススメしたいのですが、特にA.C.Tが好きなリスナーには聞いて頂きたい。キャッチーな歌メロとテクニカルなフレーズのコンビネーションがA.C.Tを想起させるのは勿論なんですが、今回の新譜の1曲目はサーカスのピエロを題材にした曲ということもあって、A.C.Tの最新作Circus Pandemoniumに通ずる雰囲気もあると思うんですよ。というか逆にぱっちりひつじが気に入ったリスナーには是非A.C.Tを聞いて欲しいとも思いますね。

で、メタラーでもプログレッシャーでもない一般同人音楽リスナーの方々についても、童謡系が好きなら高確率で楽しめるのではないかと思います。Mamyukkaとか好きならいけるんじゃないかなぁ。
あと、型にハマらない変わり種の音楽を聞きたい人にはおすすめです。同人音楽シーンって良くも悪くも型にハマっていて保守的な印象があると思いますが、たまにはこういう他と違うことやってる異端なサークルに手を出してみるのも良いんじゃないですかね?

…未聴のリスナーへのオススメの文章ばかりで埋まってしまいましたが、そろそろ今回の新作についての感想に移りましょうか。
まず1曲目のタイトル曲「ドSピエロのボブ」、これは次回作のアルバムからの先行曲ということですが、前述の通り、非常に高い完成度でぱっちりひつじ史上でも最高の出来栄えなんじゃないでしょうか。ロック的で即効性の高いアップテンポなリズムにお馴染みのキャッチーでノスタルジックな童謡メロ、そしてその合間を縫うようにうねるプログレッシブなシンセのフレーズ。こりゃA.C.T的なプログレポップが好きな者にはたまりませんなぁ。
そして1分20秒あたりから入る間奏がまた良いんですよねえ。それまでのファンタジックな雰囲気と打って変わってフュージョン系のお洒落なフレーズが展開されて意外性は抜群です。このエフェクトかかったベースの音が最高。そしてギターソロに移るんですがスタイリッシュでV系っぽい雰囲気ですねえ。この辺りまでは既に公開されてるショートPVで聞けるので是非どうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=PLXZIa7nW-E

2曲目の「にくきゅうとかいてレイコとよむ」、これは7秒しかありません。曲と呼んでいいのかどうか…。曲名も意味不明すぎますが、ブックレットのイラストがやたら凝ってるのが面白い。
3曲目「あこがれのル・ソホラ」、これは割と同人音楽寄りの作風ですね。ミュージカル系の物語音楽サークルにありそうな曲調というか。とはいえアレンジには捻りが効いてるし、やっぱりぱっちりひつじらしい曲だなと。何気にハードロック的な風味も強くて、特にラスト近辺でオネエっぽい魔女が絶叫するカオスなパートで鳴ってるリフとかハードロック感ありますねえ。

ラスト4曲目「ほんじつのニュース」、これが問題作なんですよねえ。なんと15分もある長尺曲なんですが、サンホラのInterview with Noelみたいにぎっしり曲展開が詰まってる訳じゃなくて、大半がアバンギャルドで不気味な即興演奏で埋まっているという実験的すぎる曲になってます。これはさすがに整合性が求められるアルバムには収録できないでしょうねえ…シングル向きな曲でしょう。
このKing Crimsonのアバンギャルド系の曲をリスペクトしたような曲、まあプログレらしいと言えばそうなんですが、面白いとは思うけど音楽として聞くのはきついかなぁ…展開もメロディもほとんどない支離滅裂な音がずっと続くんで。でも、これをキングクリムゾンとかピンクフロイドはジョジョでしか知らないというタイプのリスナーが聞いたらどういう反応するのかにはちょっと興味ありますよ。なんじゃこれキモいって思うんじゃないかなぁ、まあ自分もそう思いますが…。
しかしこの曲、4分あたりまではセリフ多めとはいえ割とまともな曲なんですよね、脱力系の気怠い歌メロとヘヴィでハードロック的な演奏が気に入ってます。歌パートに限ればかなり中毒性ある曲だと思いますね。これ、ここまでアバンギャルドにせずにもうちょっと展開がしっかりしてたらもっと良い曲になったんじゃないかなぁと思わなくもないんですが…まあ実験的なコンセプトなんだからこれはこれで良いのか。筋金入りのプログレマニアならアバンギャルドパートも楽しめる…のかもしれない。

という訳で、ラストの曲だけは敷居が高いかもしれないですが、それ以外は非常に完成度の高い作品になってると思います。「ぽぷぺぴぱ」よりは確実に満足度高いですね。これは次回作のアルバムへの期待は高まりますよ。1stアルバムも名作だったけどあれを越える作品になってたらほんと凄いことになりそう。

ぱっちりひつじ「ぽぷぺぴぱ」

ぽぷぺぴぱ

このシングル発売されたの実は1年前なんですよね…。今更感あるかもしれないですが、しかし、春M3でプログレコンピが頒布されて同人音楽におけるプログレへの関心が高まっている今だからこそ、このプログレッシブで独創的なサークル(バンド)を改めて紹介する意味があるんじゃないかと思ったりするんですよ。

…というか、え、同人音楽でプログレへの関心が高まってる…? すんません嘘ですそんな根拠は全くありませんでした。高まってるのはこのブログの人だけでしたw
まあ植木屋のUNA SEA買ったリスナーの方々も参加サークルが豪華だからっていう理由がおそらく大半で、プログレが好きだから買ったなんて人は少数派かもしれないですね。このコンピがきっかけでプログレに興味を持ったっていう人もほとんどいないような気がしてならない。同様にこれがきっかけでプログレやろうと思ったサークルさんもいないだろうし。
プログレとかいうよく分からん音楽性を表立って標榜しても関心持ってくれるリスナーは少ないでしょうからサークル側も積極的にアピールはしないだろうし、もし仮に同人音楽でプログレの波が来たとしても分かりやすくそれが表面に見えてくるっていうこともないかもしれないですが(来ないとは思うけどw)。
このサークル(正直ここはサークルと呼ぶのはちょっと違和感あるんですが便宜的にサークルと呼んでおきます)も表立ってプログレを名乗ってる訳じゃないですが、「非現実系テクニカルポップバンド」って遠回しにプログレって言ってるようなもんですよね。実際に音の方もプログレとしか言いようがないですし。

ちなみに、お気づきかもしれないですが、このサークルの1stアルバム「ゆめにっき1」は左カラムのおすすめCD欄にずっと載せてあるんですよね。当然ながら超おすすめ盤なんですが、しかしここに載せてあるからって興味を持ってくれる人はほとんどいない気がする…。
でもこのサークル、うちなんかでわざわざ紹介するまでもなく、昨年の春と秋のM3で両方とも壁配置だったことから察するにそれなりに売れてるはずなんですよね。やっぱりこういう独特な音楽を評価してる層も一定数はいるはずなんだよなぁ…。どこにいるんだ同人音楽プログレ層は。

それにしても、改めて今回このぱっちりひつじを1stアルバムも合わせて聞き直してみて、やはり独創的すぎるサークルだなぁと再確認しましたよ。そもそも童謡とプログレメタルを組み合わせるという発想自体が凄いのに、具体的な演奏や表現力も非常にハイレベルでありひたすら脱帽ものですね。プログレとか抜きにしてもこのレベルの同人音楽ってどれくらいあるのか。これだけの独創性には滅多に出会えないでしょうなぁ。やはり同人音楽で一番重視されるべき評価ポイントは独創性でしょう。
そんな独創性が集約された1stアルバムも非常に素晴らしい作品でしたが、このシングルもそれに勝るとも劣らない内容でございます。

このシングル、「アルバムには入れにくい、クセの強い」曲を収録したとのことですが、実際に聞いてみるとほぼ前作の延長線上なんですよね。どの曲も前作に収録されてても別に違和感ないような。ただ、童謡的なキャッチーさが多少減退して代わりにプログレメタル的なテクニカルなアンサンブルが前面に出てる感はあるので、そういう意味での「クセが強い」のかもしれないですね。

タイトル曲の「ぽぷぺぴぱ」は前作の「ぶらぶらねこ」の延長線上の超ポップで疾走感のあるロックチューンですが、ただ、ぶらぶらねこに比べるとプログレ的な変拍子が多用されていてテクニカルな趣きが強いかな。しかしそのテクニカルな風味も全く嫌味にはならず自然に組み込まれており、あくまで童謡的な親しみやすさが中心にあるのはさすがとしか言いようがない。イントロのシンセと間奏のギターフレーズがめっちゃツボでございます。レコーディングの際の「ポップノイズ」をテーマにした歌詞というのがまた独創性抜群ですなぁ。
https://www.youtube.com/watch?v=PSe_ITorL9c
公式のフルPVも上がってるので是非ご覧ください。他のショートPVに比べると動画が雑かもしれないけどw
2曲目「あかときいろとちゃいろ」はかなりメタル度が高いですなぁ、なんせデス声入ってますしね。中間部とかまるでカオティックコアみたいなノリになってます。演奏の切れ味も前作以上で、これは割とメタラーにもおすすめしたい1曲ですね。というか、ここまで来るとむしろ童謡っぽさがメタル系リスナーを遠ざける要因になってそうでちょっと惜しい気もしてくるんですが、まあ童謡っぽさを失ったらこのサークルの独創性は無くなっちゃいますからね。というかせっかく「クセの強い」楽曲をシングルで隔離して発表するんならもっと思い切ってメタルなノリで固めたほうが良かった気もするかな?
3曲目「シュリーフスロスセヴェセヴェセヴェセヴェランス」(長い)は打って変わってシンセがメインの楽曲で、プログレ感かなり濃いですねえ。ゲーム音楽等の間接的な影響ではなく、直接的にプログレを感じさせる音色を同人音楽で聞けるのってある意味で新鮮かも。しかし、演奏のプログレ度が濃くても歌は超キャッチーな童謡風味なので敷居が高さは皆無。歌を重視して聞くのと演奏重視で聞くのでは全く楽曲の印象が異なってくるのもこのサークルの面白さかな。

「非現実系」を標榜してるこのサークルですが、非現実系ってつまり同人音楽で人気のファンタジーとか幻想系とほとんど同じな訳で、ただ少しベクトルが違うんだよなぁ、「みんなのうた」系の童謡だから、こういうの許容できるリスナーってそんなに多くないかもしれないし。でも演奏だけでも相当に聞き応えのあるサークルなので、これ聞かないのは絶対に損だと思いますよ。とりあえず試しに買って欲しいサークルです。
…とはいえここ秋M3参加するのか不明ですが…。委託もないしweb通販のみってのも不便だよなぁ。こういうサークルにこそコミケに出て欲しいもんですよw
そして2ndアルバムも鋭意製作中みたいなので大いに期待しております。

ぱっちりひつじ「ゆめにっき 1」

ゆめにっき 1
プログレッシブ童謡ポップメタル(?)バンドの1stアルバムです。
左カラムの下の方のおすすめCD欄に載せておきながら長らく記事を書かず放置してたんですが、さすがに夏コミ前には上げといたほうがいいかなぁと思ってようやく書くことにしましたw なんというか、とっておきのサークルはどのタイミングで記事投下するか迷うんですよねw
それに新譜も今月に出てますしねえ、通販限定販売なんでコミケで買いたいところなんですがこのサークルさんコミケ出てないみたいなんで結局買うのは秋のM3になりそうですが…。この1stアルバムもそうですが、基本的にこのサークルさんはイベントのタイミングと無関係にCD出してるみたいですし、価格もイベント特別価格じゃなくて同人音楽のイベント売りのセオリーから外れてる感じだし、同人音楽ってよりインディーズ音楽なんでしょうな。

さて、このサークルというかバンドについてですが、ラスエフのリスナー数も少ないし全然知られてないバンドなのかなぁと思いきや、ネット上に既にいくつもレビュー記事が上がってるみたいだし、一部ではすでに注目されてたみたいですね。まあ、これだけ面白くてハイクオリティな音楽やってるバンドが注目されないはずがないんですけどねw

このバンドの特徴はやはり、プログレメタル(ポップ)と童謡を混ぜ合わせるというその奇抜な音楽性にあるでしょうね。時にデスボイスまで入ることもあり、童謡の和やかさとのギャップはかなりの物です。自分の知る限りではこんな音楽性のバンドは他にお目にかかった事がないですね。自分はもともとファンタジックな童謡系のフレーズとか大好物でしたし、プログレメタルはもちろん主食なので、この組み合わせはまさにツボでしたねー。初めて試聴聞いた時のインパクトは相当大きかったです。
そして、実際CDで聞いてみたら期待通りの内容で本当感心しましたよ。こういうカオス系の音楽って、奇抜さばかりが先行して出オチ的な音になってしまう危険性もあると思うんですよ、しかしこのぱっちりひつじは楽曲やアレンジセンスも非常に高く、志の高さにセンスが伴っている素晴らしい例だと思いますね。

このアルバムは10曲収録されていますが、どの曲も素晴らしい出来でアレンジもメロディも非常に高度ですね。10曲収録で捨て曲なしってメジャー基準でも凄いことだと思う。なにより凄いのは、プログレ+童謡という基本路線はブレずに、尚且つ10曲それぞれにアレンジの多様性を持たせていることですね。10曲の中にアレンジやメロディがかぶっている曲が全くないというのはけっこう驚異的ですよ。そのおかげで最後まで全く飽きずに楽しめる内容になっています。音楽的な引き出しの豊富さに圧倒されますね。

どの曲も良いので全曲解説したいくらいですが、さすがに冗長になるのでやめますw公式に作曲担当メンバーの曲解説もあるみたいですしね。
特に好きなのは#3「もう、ありますよ」#9「エレベーターにのって」#10「ひつじ」辺りですかね。#3は軽快なポップな童謡メロディと電波っぽい歌詞、そして自然に絡んでくる変拍子要素が実に爽快です。#9はドリームシアターのThe Best of Timesの後半を想起させる叙情的なギターフレーズが印象的なバラード曲。#10は前半の軽快さと後半のデスメタル展開のギャップがインパクト大で、まさにこのバンドを象徴する楽曲でしょう。

あとブックレットのイラストも非常に凝ってるんですよね。アートワーク専門のメンバーがいるみたいですが、全曲にイメージイラストが付いていてビジュアルイメージ的な面でも強烈ですね。(メンバーのビジュアルは知らないけどw)
しかし「かみのけがとれた」のイラスト怖すぎ…。完全なるホラーですなw
YouTubeにイラストを添えたショートPVがアップされてるけど、フルのPVも作って欲しいなぁ。もっとビジュアルを前面に押し出していけばもっとこのバンドは知名度得れるんじゃないかなと思えるんで。

本当に志の高いアーティストだと思いますよ、「新しい音楽」を創り出そうという熱意が感じられます。
ビートルズ以来のポピュラーミュージックの歴史がもう50年くらい積み重なっている中で、もはやありとあらゆる音楽性って全て出尽くしていて、完全にネタ切れ状態になってるんじゃないかと思うんですよね。3曲目の「もう、ありますよ」の歌詞が象徴的だと思うんですが、どんなに頑張って奇抜な音楽や大胆な展開を作ったところで、それは「もう、ある」んですよね。
そんな閉塞的な状況の中でも意欲的に新しい音楽を生み出そうとして実際にそれを達成しているこのバンドは本当凄いです。商業的な制約なしで自由に音楽を作れる同人音楽というジャンルの中である意味で理想的なスタンスを体現しているバンド(サークル)なのではないでしょうか。
まあ、メジャーですらそんな飽和状態なんだから同人音楽でもカバー曲ばっかりだったり類型的な音楽ばっかり作ってても誰も責められやしないとは思うんですけどね、しかしこういう風に状況に流されずに前進しているバンドは本当に頼もしいし、もっとこういうスタンスのサークルが増えて欲しいなとは思いますね。
プロフィール

同人音楽初心者

Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

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