Ether「地底都市ディヴァルデイト」

地底都市ディヴァルデイト

ラスエフ上の再生情報が同名のブラックメタルバンドにすり替わってしまう事でいつも聞くモチベーションが僅かにダウンしてしまうのがもどかしいサークルEtherの秋に頒布された現時点での最新作です。
…そんなラスエフ厨にしか通じないネタはどうでもいいですね…。

昨年春にエルム凪さんを新ボーカルに迎えて心機一転、その七色の歌声を最大限に活かした音楽性により古参サークルにも関わらず新鮮味のあふれる音を生み出しているこのサークルですが、春に4曲入りミニアルバム、夏にインスト中心のBGMアルバム、そして秋に7曲入りアルバムと、ここに来て非常に勢力的に作品を送り出し続けていてまさに油の乗り切った状態と言えるのではないでしょうか。
ただ、勢いあるのは良いんだけどこれだけハイペースで作品を発表しているとせっかく獲得した新鮮味をすぐ失ってしまいそうな気もして少しだけ危惧はあったんですけど、この秋作品に関して言えばそれは全くもって杞憂でしたね。
この作品、春の「インティモーラ」の延長線上の作風でありながら新たな試みも追加されていて非常に聞き応えある作品になってます。

1曲目、壮大な雰囲気のゲーム音楽的な序曲で、ゲーム音楽系を自ら名乗るサークルとしては相応しい1曲目でしょう。
続く2曲目は、序曲のシリアスな雰囲気を覆していきなり明るい曲調になるんで驚かされますね。悶絶メタルさんでこのアルバムやけに低評価だった気がするけど原因はやっぱりこの明るい曲調なんだろうなぁ。でもこれはエルム凪さんの多彩な歌声の魅力を引き出すために敢えてバリエーション豊かな曲調にしているんだと思いますし、それに個人的に明るい曲調は好きなんで特に問題はないと思いますね。まあ序曲からの流れが唐突なのは事実だけども。あとこの曲は男女ツインボーカルになってるんですがRyoさんのボーカル久しぶりですね、同人音楽の男性ボーカルってV系歌唱が多いからRyoさんみたいに癖のない爽やかな歌唱って何気に希少だと思ったり。
3曲目はエルム凪さんお得意の造語コーラスを多彩な歌声で歌い上げる民謡系の小曲で、改めてエルム凪さんの器用さを思い知らされますね。

4曲目はアルバムタイトルを造語表記した実質的タイトル曲ですが、この曲かなり気に入ってます。スロー曲なので疾走感はないんだけど、代わりに重厚感あってリズムにも一捻りがありプログレ感もあってなかなかツボな展開です。エルム凪さんの歌唱もサビでは力強い響きでドラマチックな盛り上がりを演出してますね。
5曲目は再び流れを覆す明るすぎる曲なんですが、エルムさんの弾むような歌声は可愛らしいしサビも超キャッチーで素晴らしい。

そして6曲目は待ってましたの疾走曲、定番のラスボス曲ですね。今回はResoneciaの音冶さんがギター弾いていて、リードギターのパートはResoneciaそのもの。これはクサメタラー歓喜なんじゃないでしょうか。疾走感も満点でまさにキラーチューンです。
というか、試聴で印象に残ったサビっぽい歌メロって実は最後の方に1回しか出て来ないんですよね…わざわざ試聴に選んだということはここのメロが必殺のフレーズだと自覚あったはずだと思うんだけど、それを敢えて最後にしか出さないというサンホラ並みに勿体ぶった使い方が心憎い…。曲全体としてはサンホラのように複数な印象はないんですが、でもよくよく聞くと決して一本調子ではなく、三拍子で疾走展開とか間奏のフレーズが終盤に向かうにつれて盛り上がるように少しづつ変えてあったりとか技巧的な作りがなされてますよね。この辺りはやっぱり「職人的」だなぁと。
ラスト7曲目はなんとエルム凪さん作曲で、バラード曲なんだけどメロディの美しさが実に印象的ですね。これだけ良いメロディ書けるんだったら是非とも今後もエルム凪さん作曲の楽曲を入れて欲しいものですよ。

全体的には確かに散漫な印象もあるんですが個々の曲の出来が良いからあんまり気にならないですね。むしろ同じタイプの曲をむやみに量産せずに疾走曲はクライマックスに1曲だけという縛り(?)があるおかげで各楽曲の役割がはっきりとしているのは明らかに長所だと思います。この辺はゲーム音楽を意識したことによる効果なのかな。
ジャケ絵は…絵師さんの画力には全く問題ないと思うんですがなんだか雰囲気がチープになってしまいましたよね…インティモーラの絵はけっこうシリアスな重みあったのにこっちは低年齢層向けラノベっぽい。でもこっちの方がゲーム音楽系というコンセプトには合ってるのかな。
春M3の新作は民族音楽路線に戻るっぽい?疾走曲なかったら個人的にはそれほどハマれないかもしれないな…。
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Ether「幻想世界シルフィネス」

幻想世界シルフィネス

いきなり本題と関係ない話で申し訳ないんですが、ちょっと前にニコ動でとある有名曲のメタルアレンジを聞いたことがあったんですけどね、まあニコ動だから当然ながら横スクロールのコメントが流れるんですけど、そのコメントにちょっと違和感を感じたんですよね。どこをどう聞いてもメタルアレンジなのに、コメントに「メタル」という文字列が全く現れない。ゲームのBGMっぽいとか音ゲーっぽいってコメントばっかりで具体的なジャンル名についての言及が全くないんですよ。
まあその動画見ていた層がたまたまジャンル名に対して無関心だっただけかもしれないですが、でも同人音楽界隈も割と似たような状況なのかなと思わなくもないんですよね。別にジャンル名に無関心なことが悪いって言いたい訳じゃなくて、むしろプログレやらメタルコアやら細分化されたマニアックなジャンル名ばっかり並べ立てて音楽を理解したつもりになってるリスナーの方が浅はかだという考えもあるでしょうからね、どっちが良いとかいう話ではなく、要するに、細分化されたジャンル名で語るにしても音楽が付随するコンテンツに結びつけて「っぽい」って語るにしても、結局のところ伝わりやすい表現が一番ってことですよね。音楽を言語化するって難しいことですから。
そう考えると、EtherのRyoさんが提案した「RPG系」というジャンル名がこのサークルの音楽性をこの界隈のリスナーに一番上手く伝えられる表現であるのならそれが同人音楽においては最適なのかなぁと思った訳です。シンフォニックロックとか言われてもピンと来ないですもんね。
まあ、以前の記事にも書いた通り、Etherの高度な音楽性をゲーム音楽という限定された枠に押し込めちゃうのは勿体ないというか、発展性が失われそうな気もするんですが、でも「伝わりやすい表現」として便宜的に使うのなら全然アリですよね。それとも本気でゲーム音楽的な方向性を軸にするのかな? そこら辺がよく分かんないんですけど。

という訳で本題のEtherの夏コミ新譜ですね。なんと今回はRPG向けのBGM作品という、RPG系を標榜するサークルならではの趣向と言えますかね。でもBGMとは言ってもインスト作品ではなくてエルム凪さんの造語コーラスが全編に入ってますからね、ほとんどフルボーカル作品と同じくらいの手間暇がかかってるんじゃないでしょうか。そんな豪華なBGMが7曲も入ったミニアルバムがなんと無料配布ですよ。どんだけ気前良いんですかw しかもプレスCDだから枚数も十分で夏コミでも入手は容易だったし、更にはショップにまで委託されていて通販で入手まで可能という…。まさに至れり尽くせり。イベント毎にしつこく無料配布という頒布形式へ物申してるこのブログですが、さすがにここまで配慮して頂いて文句言ったらバチが当たりそうですよww
でもEtherみたいな知名度も十分あるはずの老舗サークルがここまで負担してまで無料配布することで得られるメリットってそんなにあるのかなと不思議に思ったりもしますが、まあ新ボーカル入ってRPG系という新たなキャッチフレーズも打ち立てたし新規リスナー層を一気に開拓したいという狙いもあるのかもしれないですね。

さて収録曲についてですね。BGM集なんですが1曲目だけはボーカル曲になっています。エルム凪さん加入後の定番になってる穏やかな民謡系の楽曲ですね。ヒーリング的なエルム凪さんの歌声に癒されますねえ。以前の記事で毒にも薬にもならない声とか失礼なこと書いた気がしますが、良い意味で声の自己主張が少なくて、もはやボーカルが楽器の1つとして機能してるイメージですかね。楽曲に歌声がごく自然に溶け込んでるみたいな。この「楽器としてのボーカル」に可能性を感じますよね。
2曲目以降はBGMなんで1曲づつ書くこともない感じですが、ベースが目立ってるのがいいですよね。ゲーム音楽でベースが目立ってるのって昔のゲームハードではギターの音が再現できなかったからなんでしょうけどそれが結果としてプログレ的な風味を強めてる気がします。
どれもBGMとして優れてる楽曲ばっかりだと思うんですが、5曲目の戦闘曲だけは不満あるかなぁ。だって戦闘曲と言えばやっぱりメタルでしょ。これはちょっと穏やかすぎるというかせいぜい難所ダンジョンのBGMって感じか? やっぱりメタルっぽいのやって欲しかったな…。まあこの曲自体はよく出来てると思うんですけどね。

というか公式サイト見るともう次回M3の新譜の予告が出てますね。地底都市ディバルデイト…。地底っぽい音楽っていうとどんなだろう? でも前作も機械都市ってタイトルでそんなに機械っぽくもなかったからあんまり関係ないかw 前作みたいなキラーチューンのメタル曲があることを願います。

Ether「機械都市インティモーラ」

機械都市インティモーラ

『同人音楽歴9年目のベテランコンポーザーが惚れ込んだ七色の声を持つ幻想系新人ボーカリスト「エルム凪」が加入!』

という訳で、新ボーカル加入で話題沸騰の新生Etherの送り出した第一弾ミニアルバムの感想記事でございます。


…というか話題になってるんですよね? こんなこと書いといてなんですが、ツイッターで検索してもあんまり感想ツイートとかヒットしないし本当に話題になってるのか不安になってしまうんですがw
Etherの元々の知名度の高さに加え、これだけの充実した内容なら話題にならない訳がないとは思うんですが。ひょっとするとエルム凪さん個人名義でニコ動に投稿してた時のほうが盛り上がってたなんて事はないですよねw ニコ動で発掘された新人ボーカリストということでマニアックに共有してた時は盛り上がれたけどEtherみたいな有名どころに引き抜かれたから何か冷めた…なんて人はいないとは思うんですが。

あと、ボーカリスト交替した後の作品を称賛したら、前任ボーカルを否定することに繋がりそうで気まずいからなかなか評価できないという事情もあったり?
いや、「新ボーカルも良いけど前ボーカルも別の魅力がある」って言えば良い訳ですしね、そんなことで評価を控える人なんていないようなぁw
エルム凪さんは非常に「器用」なボーカルさんで、ジャケの謳い文句にある通りに七色の歌声を使い分ける凄い才能をお持ちだとは思うんですが、基本的な声質に関しては、言い方は悪いですが「毒にも薬にもならない」声と言えなくもないんですよね。
それに対し、前任者の桜璃さんは、若干「不器用」なボーカルさんであったかもしれないですが個性は十分であったと言える訳で、結局どちらのボーカルさんが上だとか語っても意味がないですし、そもそも、そんなこと語ろうとしてる馬鹿はうちくらいしか存在しないでしょうw
しかし、良い意味で自己主張の少ない声でどんな曲調でも歌いこなせそうな器用さをお持ちのエルム凪さんのボーカルと、他サークルへの曲提供が超多数の「職人級」コンポーザーであるRyoさんの多彩さは非常に相性が良いんじゃないかと思うんですよね。この組み合わせでEtherの可能性が無限に膨らんだのは確かなのではないかと。

その可能性が最も顕著に現れた楽曲が、イベント前にも称賛の文章を書いた3曲目の
「赫然の少女」ですね。自分も新参リスナーだからEtherの旧作全部聞いてる訳じゃないですが、おそらく楽曲的にもアレンジ的にもEther史上最高の1曲なのではないかと思うんですがどうでしょう。
この曲の最大の聞き所は2:02辺りから始まる多重コーラスによるカオティックなフレーズ群ですね。やはりここに一番「可能性」を感じました。ここだけ聞いたらほんとプログレッシブとしか言いようがない。イベント前にも書きましたが、知名度や安定感と引き換えにワンパターン化を招きがちな古参勢(相変わらず酷い偏見だけどw)の1つであるEtherがこんなにも挑戦的なフレーズを含む楽曲を試聴1発目に持ってきた事に衝撃を覚えたんですよね。
まあ、実際はこのフレーズも意図的にカオティックな雰囲気を目指して作られた物ではなくて、従来のEtherのインストのメロディにコーラス重ねたら結果的にカオティックになったって程度の偶然の産物なのかもしれないですが、しかしながら、このプログレッシブな展開を拡張して1枚の作品作ったら相当に刺激的な音楽が出来上がるんじゃないだろうか…って妄想してしまうくらいにはインパクトの大きいフレーズだと思うんですよ。
まあこのフレーズを除けば全体的には従来のEtherのイメージからほとんど逸脱しない曲に仕上がってるとは思うんですが、それでも個々のメロディやアレンジの完成度には目を見張るものがありますよね。Etherは物語志向ではあるけどセリフやナレーションはないからサンホラフォロワーには含まれないのかもしれないですが、この卓越したメロディセンスといい、この異様にドラマチックな曲展開といい、音楽的な完成度に関してはサンホラにかなり近い位置に迫ってるなぁということをこの曲を聞いて改めて感じました。

そして、この3曲目と並ぶキラーチューンが1曲目「Intymla」ですね。この曲は従来のEther流シンフォメタルの延長線上で新鮮味はそれほどないんですが、やはりメロディ、アレンジの完成度が突出しているので素晴らしい楽曲になっていますね。エルム凪さんの多重コーラスも良いんだけどやはりこの曲はイントロのストリングスのフレーズのメロディがやばすぎる。もうこのメロディだけで悶絶。あと3:54辺りからの「オーホッホーオーホッホー」ってコーラスはなかなかプログレッシブですなぁ。
2曲目、4曲目は先行配信された「エルフの里」と同様の民謡系のまったりとした曲なんですが、自分は民謡系そんなに好きって訳でもないんで他の2曲に比べたら地味な印象かなぁ。たぶんエルム凪さんの元々のファン層ならこういう曲調のほうが受けが良いんでしょうね。

http://ameblo.jp/etherryo/entry-11830644837.html
そういえば、Ryoさんがこの手のファンタジー系同人音楽を包括した「J-RPG系」というジャンル名を考案なさってこれを広めようと意図してるみたいですが、このPOPは会場でもけっこう見かけたけど、正直、先日書いた持論の「オタクは音楽単体に興味がない」ってやつに当てはめても、やっぱりこんなハイクオリティな音楽であってもRPGの付属品みたいなイメージで売るしかないのか…って思えてちょっと寂しくもあるんですよね。
別にゲーム音楽系って名乗ることに異論がある訳ではないんですけどね、実際にゲーム音楽から多大な影響を受けてらっしゃるんでしょうし。ただ、ゲーム音楽系と名乗ってしまうことによって創作の範囲が限定されてしまい、オタク的な感性を逸脱した挑戦的で革新的な音楽を作り出すことに消極的になってしまいそうな気がして…。まあ末端リスナーの勝手な想いですけどねw

Ether「13」

Ether 13

Etherの2011秋発表の7枚目のアルバムです。
活動歴長いサークルさんみたいですし過去作もいっぱいあるようですが今の所この1枚しか聞いてないです。
シンフォニックロック系の同人音楽ではかなりの有名どころだと思うんですが、その知名度に見合った素晴らしい音楽性だと思いますね、全編に完成度の高いメロディが満載で充実したアルバムになってます。最初に聞くならフルアルバムがいいかな?と思ってなんとなくこれ選んだけど当たりでしたねw
セリフやナレーションの類は入ってないですが物語性を前面に押し出したコンセプトアルバムになってるのでやはりサンホラ系の括りに入れるべきサークルさんなんですかね、メロディもサンホラの影響が強いように感じますし。
サンホラ好きではない一般リスナー(?)ならセリフ無しのほうが聞きやすいんでしょうけど個人的にはこういう方向性ならちょっとセリフがあったほうがもっと好きになれたかもしれないw

10曲入りですが全曲がボーカル曲で、しかも捨て曲もなく全曲に魅力的なメロディが備わっていますし、アレンジも完璧な仕上がりでまさに名作って感じですねー、おそらくこのサークルさんの代表作的な位置づけなんじゃないかな?他のアルバム聞いてないんでわかんないですけどw
ただボーカルさんの歌唱力は若干不安定さが否めないですね、そこだけが弱点って感じですがどの曲の歌メロも非常に充実してるからそんなには気にならないですかね。
自分はメタラーなんで疾走曲の#1、#5、#6、#9あたりを推すと思われるかもしれないですが、この作品に関してはバラード系の曲のほうが好きだったりしますwバラードのほうがシンフォニックなアレンジや美しいメロディが際立ってるように感じるんですよね。特に#8や#10でのシャープなストリングスのアレンジは鳥肌ものですねー。
一番好きな曲はラスト曲の「The wing I was given」ですね、物語音楽系でラストをこういう明るい曲調で締めるのって珍しい気がしますが自分はこういう希望に満ち溢れたハッピーエンドな雰囲気は大好きですw
もちろんクサメタラーが大歓喜しそうな超ドラマチックな疾走曲「ラストダンス」も素晴らしいです。
プロフィール

同人音楽初心者

Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

Information

↓当ブログ的に超絶おすすめなサークル2選!!!
必聴です!!!!!

http://lostmyproust.jimdo.com/

https://tomorro4.bandcamp.com/

↓その他のおすすめサークルはこちらにまとめてあります
http://adtoe.blog.fc2.com/blog-category-75.html

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