Mind Over Matter「The Greatful Flow & Changing Scenery」

2017-11-10_004622.jpg

https://momatheprogrock.tumblr.com/

同人メタルというジャンルにも様々な音楽性のサークルが存在する訳でして「同人メロスピ」「同人メタルコア」などの更なるサブジャンルに細分化が可能なくらいの層の厚みはあると思うんですけど、では「同人プログレメタル」というカテゴリー分けは可能か?というと個人的な答えとしては「可能」だと思います。
プログレメタルなんていうジャンルはメタル界全体で言ってもビッグネームはドリームシアターくらいしかいないようなマニアックなジャンルなのですが同人音楽においては意外に存在感があったりしまして(リスナーからの需要があるかは別にして)、東方系サークルを勘定せずにオリジナル系サークルだけで数えたとしてもプログレメタル系(Djent系も含む)サークルはだいぶ数が増えてきていると実感するんですよね。その同人プログレメタルの「存在感」の理由は主にリリハルことRelease hallucinationの人気上昇によるものかもしれませんが…まあとにかくプログレメタルという高度な演奏テクニックとアレンジ能力が要求されるジャンルがそれなりに根付いてきてるってことはそれだけ同人メタルの質が上がってることの裏付けにもなると思うんですけどね。

で、今回紹介する「Mind Over Matter」はその同人プログレメタルにおいて新たな決定打となり得る「本格」サークルであると思う訳です。
公式の紹介文にも「本格的構築プログレ」という文がありますがその形容には全く偽りは無し。同人音楽外の一般メタラーにも余裕で通用するサウンドが展開されていて、まさに本格的プログレメタルアルバムとなっています。

さてこの「Mind Over Matter」、名義としては新規サークル扱いで構わないと思うんですが、このサークルの主催である「せっちん」(Ryota Sekiguchi)さんは「モザイク楽団」というサークルのギタリストを務めていて「Mind Over Matter」はそこから派生したソロプロジェクト扱いになってるみたいですね。実際頒布されたのもモザイク楽団のスペースでしたし。
その母体となっているモザイク楽団のほうも試聴してみたんですが、試聴で聞く限りではあまりプログレメタル要素は感じられず…割と一般的なポップスに聞こえるんですよね。間奏にプログレ要素があるのかもしれないけど。
もしかするとこのモザイク楽団のほうではせっちんさんの卓越した演奏テクニックとプログレメタル的な嗜好を活かす場が足りなかったので「やりたいことをやる」場としてこのソロプロジェクトを立ち上げる成り行きになったのかな? これだけ本格プログレメタル出来るミュージシャンがポップスだけやってるのは勿体ないですからね。

で、母体サークルがポップス主軸なだけあってこのMind Over Matterのほうもメロディは極めてキャッチー。女性ボーカルによるキャッチーな歌メロとテクニカルな演奏パートの組み合わせ…同人メタルの標準ですね。尚、女性ボーカルは固定メンバーではなく曲によって異なる方が歌ってますがどの方も歌唱力は安定していて高度な演奏パートとしっかり釣り合ってます。もちろんメロディそのものの品質も高いのでプログレに興味のないリスナーも楽しめること請け合いです。

と、ここまで絶賛しっ放しな感じですけど、じゃあこのサークルは当ブログ的に推しまくれるサークルなのかっていうと…ちょっと微妙なところではある。ってのは、クオリティは確かに凄まじいんだけどうちのブログが常々重視してる「他では聞けない面白さ」があるのかっていうと必ずしもそうではない感じなので。基本的に伝統的なプログレメタルな演奏と伝統的なJPOPとアニソン的メロの組み合わせだから…新しい感性とか斬新な発想とか突然変異的な音が聞けるって訳じゃないし。例えクオリティ低くても尖ったセンスのあるサークルのほうを推したいんですよね、自分としては。
とはいえ、これだけ完成度の高い音楽に対して難癖を付けるなんて恐れ多いくらいですね。個人的な感性とか抜きにすれば現状のオリジナル同人メタルでトップクラスの内容であるのは疑いようがないと思います。っていうかクオリティ高すぎるからむしろ同人音楽リスナーよりもディスクユニオンとか通ってる層にアピールしたほうが良いんじゃないかと思えるほど。でも一般メタラーに薦めるとなると4曲目や5曲目みたいなオタクミュージックめいたボーカルの声質が障害になってしまうのかなぁ。いや、今や一般メタラーもアイドルメタルに食いついてたりするから問題ないのか?

収録曲は6曲ですが、6曲目がなんと10分越えの大作でアルバムトータルでも40分越えというボリュームなので実質フルアルバム扱いして構わないと思います。

1曲目「贋作トートロジー」からいきなり7分越え。プログレメタル然としたテクニカルな演奏パートと叙情的なボーカルパートが高い構築力で配置された「本格的」楽曲。演奏が流麗なだけでなくアレンジの緩急の付け方も見事だし、ゲストボーカルの歌唱力も非常に高く、しかもアニソンめいた声質ではなくシリアスなタイプの声なので総合的に一般メタラーの鑑賞にも堪え得る音だと思いますね。

2曲目「Threshold」はアルバム唯一の疾走曲。プログレ風アレンジのメロスピといった趣きですがボーカルはやはり一般メタラーも許容してくれそうな声質なので同人音楽外にもアピールできそう。

3曲目「Fantasmagorie」は唯一のインスト曲。2000年代のドリームシアターを彷彿とさせるヘヴィなリフを軸としたプログレメタルなのですが、クロスフェード試聴でも聞けるテレンテレンテレンテレンテッテって感じのチープなシンセの音が台無しにしてる感…。これはほんとに惜しい。この軽いシンセ以外は中期ドリームシアター好きな者にはたまらない本格的な展開だというのに…。

4曲目「Wonderland」は打って変わってオタクミュージック寄りな曲調に。これは母体であるモザイク楽団に寄せた感じなのかな。ボーカルのチョイスもアニソン的なんですがギターリフはガッチリしてるしピアノも叙情的な響きを演出していてやはりプログレ感はしっかりキープしてる。

5曲目「眠れる蝶」はバンドサウンドの無いバラード。良い曲なんだけどこれまたボーカルがアニソン然としてるので一般メタラー向けではないかなぁ。オタクメタラー的には全く問題ないけどディスクユニオン層をもし狙うのであればシリアスなボーカルのほうがいいかも。

6曲目「The Response From Pleasure」は最大の見せ場と言えそうな14分越えの長尺曲。4部構成ということになってますが実質的にはボーカルパートとドリームシアター感が全開のインストパートの2つで構成されてる感じ。中盤における同人とは思えないほどのハイレベルな演奏で畳み掛けるパートも圧巻なのですが、叙情あふれる歌唱も実に素晴らしくて聞き応えたっぷり。14分という長尺もあっという間に感じる。ただ構成的には歌パートと演奏パートを無理矢理くっつけたような感もあり展開の必然性が薄いのだけが惜しいかな。とはいえこれだけ凄まじいクオリティの音楽を同人音楽という限定された界隈に留めておくのは非常に勿体ないことだと思いますし一般メタラーにも是非聞いて欲しい。

ジャケのアートワークも実に素晴らしいですね。オタク然としてなくて一般メタラーも買えそうな感じが尚良い。砂漠に埋もれた観覧車という文明崩壊後なモチーフがなんとなく今年のオタク界最大の話題作であるけものフレンズを思わせる…?

そんな訳で、繰り返しになりますが同人音楽リスナーのみならず界隈外のメタラーにこそ聞いて欲しいと願わざるを得ないほどのハイレベルなプログレメタル作品だと思います。同人メタル界の進歩はまだまだ止まらない。
スポンサーサイト
プロフィール

同人音楽初心者

Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

Information

↓当ブログ的に超絶おすすめなサークル2選!!!
必聴です!!!!!

http://lostmyproust.jimdo.com/

https://tomorro4.bandcamp.com/

↓その他のおすすめサークルはこちらにまとめてあります
http://adtoe.blog.fc2.com/blog-category-75.html

最新記事
カテゴリ
VA (4)
Imy (1)
リンク
検索フォーム
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QLOOKアクセス解析