Xiloro「レンダリング」

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このXiloro、同人ゲーム制作を基軸としながらもそれと並行して音楽作品も発表しているマルチジャンルなサークルでして、しかもその音楽作品が音楽一本でやってるサークルと比べても遜色ないどころか上回ってるくらいの超充実の内容という、多彩な才能と創作モチベーションを誇る驚異的なサークルなんですよね。

とはいえ自分はその同人ゲームのほうはやったことないんですけどね…。あんまり普段からゲームやらない人間なんで…。でも音楽のほうだけ聞いてみてもその才能には驚くばかりです。昨年春リリースされた1stフルアルバム「Two Of Earth」はオリジナリティあふれる優れた楽曲揃いの素晴らしい作品でして、個人的に昨年の年間ベスト3位くらいには入れたい傑作ですね。ちなみに1位はしつこく言ってるようにREJECTIONなんで…ほんと筑波大勢が強すぎる…。

で、今回紹介する「レンダリング」は昨年の夏コミ発表の3曲入りシングルなんですが、フルアルバム出したすぐ次のイベントで早くも新作が出るなんてほんとモチベーション高すぎだなと。なんせ同人ゲームのほうも並行して活動してる訳ですしね。

ほんとはもうちょっと早く紹介したかったんですが、自分は夏コミ行けなかったんで入手が遅れてしまった感じです。

このサークルの音楽性なんですが、1stアルバムについてはシンセなどの装飾が無くシンプルで粗めのギターサウンドをフィーチャーしたオルタナロック的な音を基調としながらも、ギターリフは割とHR/HM的だったり、曲展開に捻りがあってカオス感を演出したりと、単なるアニソン風ロックでもなく単なるオタク系メタルでもない、ジャンルを横断する意外性を有してしたのが実に魅力的だったんですよね。
でも公式ブログのほう見ると「ゴリゴリのスタンダードなロックンロール」のつもりで作ったんだそうで…。まじかよ。スタンダードなのか…? スタンダードなロックンロールってどの辺りのバンドをイメージしたんだろうか…。まあ具体的なバンドをイメージしながら作ったのではないからこそ結果としてジャンルに捕らわれない自由な作風になったのかもしれないですね。型にハマってない音楽性って素晴らしいと思うんですよ。テンプレをなぞるだけの展開とか退屈だし、特定バンドの下位互換に甘んじるだけじゃ面白くないですもんね。

で、本題である夏コミのシングルのほうはどうなのかというと、ちょっと方向性が変わってる感じあるんですよね。2曲目と3曲目で顕著なんですが、アルバムのときより意識的にHR/HMをやってる感じがある。個人的には1stアルバムのときのオルタナともメタルとも言えない絶妙なバランス感覚の上に成り立ったハイブリッドなテイストが気に入ってたんですが、このシングルではバランスが崩れてしまったような印象があるかもしれない。まあその分だけジャンルとしては分かりやすくなってメタラーにはアピールしやすくなったのかもしれませんが、個性は少し減退してると言わざるを得ないかも。
しかしこれはアルバムではなくシングルですから、それほど一貫性を意識する必要もないしあえて前作と異なる音楽性を実験してみたのかもしれないですね。

1曲目のタイトル曲「レンダリング」は1stアルバムのときの方向性の延長線上ですね。スローでメランコリックなオルタナロック調。トレモロかけたウワンウワン揺れまくるギターサウンドがとても印象的。気だるくも切ないメロディラインが心地良いですね。この曲は期待通りのXiloroらしさがあふれてると思う。

で、方向性が違ってくるのが2曲目以降で…「Euthanasia」は出だしのリフからして鋭い硬質さをアピールしていてアルバムのときとは明らかに異なるイメージ。公式によれば「なんとも言えないクサさのあるHR/HM曲」とのことで、「クサい」とかいう語句を肯定的に使う人間なんてメタラーしかいない訳ですから明確にメタラー向けを想定した楽曲なんでしょう。さすがにツーバス疾走はしてないからクサメタルって感じはなくてあくまでハードロックって感じだけど、随所にメタリックなアプローチのフレーズが目立っているし、まあこれはこれでカッコいいと思うんだけど…1stアルバムのときの良さが消えちゃってる感じあってちょっと勿体ない…。こういう系の曲調やってるサークルなら他にもあるけどアルバムのときのあの曲調はほんと同人音楽界では希少だったと思うんですよ。だから個性という意味ではアルバムのほうが圧倒的に良いなぁと思う訳です。もちろん曲としては十分カッコいいと思うんですけどね。並のサークルならばこれで満足できると思うけど、このXiloroの場合は1stアルバムが良すぎたからハードル上がってる感もありますかね。

3曲目「Water Music」、これはギターインストなんですけどやはりアルバムのときとは全然違う。ディレイかけたギターソロから始まるんですが…なんだろうやっぱりメタルじゃなくてハードロック的ですよね。時代をけっこう遡ってる感じ。ギターソロも弾きまくりだしほんとアルバムのときとは別サークルのよう。いや、カッコいいギターインストだと思うんですよ。でも期待していたXiloro「らしさ」があるかというと微妙なところ。

そんな感じで、傑作だった1stアルバムの方向性を期待して聞くとちょっと違うかなぁ的なネガティブな印象も持ってしまうのですが、でも質が下がった訳じゃないので人によってはこっちのほうが好きってこともあるかもしれないですけどね。まあこれはシングルだし、本番はアルバムですからね。次なる2ndアルバムではきっと再び傑作を聞かせてくれるに違いない。同人ゲームのほうと並行して活動してるから次がいつになるか分かんないけど…。
ていうか、このサークルはアルバム1500円でこのシングル500円だから秋M3ではこっちをお試しで買っちゃった人が多かった可能性も? 初めて買うなら絶対にアルバムがおすすめです。
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Xiloro「Two Of Earth」

http://chloro2236.blog.fc2.com/blog-entry-164.html

新規サークルです。とはいえ厳密には完全な新規ではなく、既存の同人ノベルゲームサークルのメンバーが新規に立ち上げた音楽専門の別名義サークルらしいんですが。
サークル名は「シロロ」って読むみたいですね。シンプルな読みでありながら見た目のインパクトもあって良いネーミングですな。

このノベルゲームサークル、4枚組3000円という超ボリュームのサントラCDもリリースしてたみたいで、音楽にも相当に力を入れているゲームサークルであることがそこからも伺えますけども、この音楽サークルのほうでも気合は入りまくりですね。なんと初作品なのにいきなり13曲入りのフルアルバムですからね。
お値段も相応で1500円、はっきり言って実力が未知数の新規サークルとしてはちょっと購入を迷ってしまうラインの価格なんですけども、結論から言うとこの作品は買って大正解でしたね。めっちゃ内容が濃い作品ですよ。まさに今回のM3のダークホース枠と呼ぶに相応しい。

13曲中インストは1曲だけ、残り12曲は全てボーカル曲になってます。驚くべきは、これだけの曲数があるのに「要らない」曲が1曲も無いことなんですよね。普通、10曲以上入ったアルバムだと曲展開やメロディのパターンがかぶった曲が2~3曲くらい出て来てしまうのが常なんですけど、このアルバムの場合は全ての収録曲にしっかりと個性が備わっていてどの曲にも必然性を感じられるのが凄い。これはよっぽど音楽的なアイディアが豊富じゃないと出来ない技だと思う。そして楽曲のパターンが豊富でありながらも全体的に散漫になったりせず統一感もしっかりあるので完璧ですな。

ジャンル的にはオルタナ系ってことになるんですかね。ギターの音色が明らかにそっち系ですから。ただ、音色はオルタナ系であってもギターリフにHR/HM由来のフレーズが多用されてたりしてなかなか独自性のある音になってると思います。けっこう転調もあったり実験的なフレーズも飛び出したりしてプログレ系のテイストもありますね。
ボーカルは女性ボーカルでアニソン系のキャッチーな歌メロが主体になってるので同人音楽的な需要にもばっちり応えてますし非メタラーも安心(?)

1曲目「Neverlasting」、開幕からずっしりとしたビートが刻まれそこにヘヴィなギターリフが乗ってメタル感もばっちり感じられます。ボーカルはそれとは対称的に明るくカラッとした歌声。全体的な雰囲気はオルタナ由来の気怠さみたいのを感じるんですがギターソロも完備されてるしやはりハイブリット感ありますね。この時点ですでにこのサークルの独自性を確認できます。

2曲目、表題曲「Two Of Earth」、さすがアルバムタイトルを冠した曲だけあって非常に印象的な歌メロを備えてますね。弾むようなポップさを放ちつつも、ギターはあくまで重くてリフもギターソロも典型的なHR/HM的なノリだしやっぱり独特ですなぁ。良リフが多いこのアルバムにおいてもこの曲のリフは特に良いですね。
3曲目「Minty Infinity」はアップテンポな曲。というかこのアルバム唯一のアップテンポ曲かな? 基本的にずっしりヘヴィな方向性なんですよねこのサークル。メロコア風味のアニソン…と思わせといてやっぱりリフはメタルっぽいな。元気いっぱいな歌メロも良いですね。

4曲目「おぎののせい」、これは前曲とは打って変わって偏屈な響きを持つギターリフが特色になってますね。曲構成も意外に複雑だし、このサークルのひねくれた音楽性が顕著に現れた曲と言えるでしょうか。
5曲目「Roll Out Push」、テンポはさほどではないけど勢いのあるリフと明るい歌メロも相まってBPM以上のドライブ感を感じるかも。
6曲目はインストの小曲。

7曲目「Wombat」、作中でも屈指のキャッチーで明るい歌メロなんですけど、サビ後に唐突にダウナーなフレーズに移行したり、ラストはさらに暗くて不気味なフレーズが登場したりでかなり意表を付いて来る曲ですね。まあそういった偏屈な要素を抜きにしても単純に歌メロが優れてるので良曲なんですけどね。
8曲目「Lake」はオルタナ寄りの気怠さが目立ってる曲ですかね。Bメロで入るリフが特に耳に残る。

9曲目「星の国」は曲名通りに星の輝く夜空を思わせるようなロマンチック感ある歌メロが良い。普通ならキラキラしたシンセを使いそうな曲調なんだけどこのサークルはシンセ使わないスタンスみたいだから相変わらず重いギターがバッキングなんですがそれがまた良い味を出してますね。
10曲目「Stem」、さすがに曲数が多いからこの辺りまで来るとダレてくる…かと思いきやこれも地味ながらしっかり良メロを聞かせる曲になってますよ。リフも良いですしね。

11曲目「Hyperbola」、これも作中屈指の良メロ曲ですね。終盤のハイライト曲かな。透明感あるギターの音色も良い。
12曲目「時計」、これもオルタナっぽい曲調と思わせといてサビ後にHR/HMなリフが登場したりで一筋縄ではいかない曲展開になってますね。ラストに出て来るリフがこれまたカッコ良いんですよね。
13曲目「Rewind」、アルバムの締めに相応しい美しいメロディの曲ですね。最後サビのキー上がるところ最高です。「終わり良ければ全て良し」という文言は音楽アルバムにも当てはまるというか、最後の曲でしっかり盛り上がることは作品の印象において重要ですよね。まあこのアルバムは最後だけでなく全部が良いんですけども。

初作品ってこともあってか、ボーカルに少しばかり音程不安定なところが散見されたり演奏についてもガチなHR/HMに比べればテクニックで劣る部分もあるかもしれないですが、でもそれらが些細な事と思えるくらいには楽曲の出来栄えとアレンジセンスが卓越してます。めちゃくちゃ聞き応えある作品ですよ。是非とも多くの人に聞いて頂きたい作品です。
これほどの高い完成度とアイディアの詰まった作品をいきなりぶつけて来た訳ですから、もし2ndアルバム出すとしてもかなり先のことになりそうな気がしますが、でも期待したいですね。
プロフィール

同人音楽初心者

Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

Information

↓当ブログ的に超絶おすすめなサークル2選!!!
必聴です!!!!!

http://lostmyproust.jimdo.com/

https://tomorro4.bandcamp.com/

↓その他のおすすめサークルはこちらにまとめてあります
http://adtoe.blog.fc2.com/blog-category-75.html

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