Pratanallis「Holy Fragments」

https://www.pratanallis.net/
「狂愛ROMANCE」すっげえキラーチューンだからまじでみんな聞いて!同人メタルの歴史に残るレベルの名曲だから!ほんと聞いて!
…みたいな感じで推してたのがもう2年前なのかぁ…時の流れは早い。ようやくPratanallisの3rdアルバムが出ましたよ。だいぶ待ちましたね。
その間に3曲入りシングルや先行シングルのリリースはあったものの、まさかアルバムまで2年もかかるとは正直思ってませんでした。ってか先行シングルの「Justynusty」でさえ昨年春? 1年以上前…。
このPratanallisは多くの壁サー級ゴシックサークルのようにイベント毎に新作連発するのではなくじっくりと制作するタイプだというのは分かっていたけど、それでも1年程度でアルバム出すだろうと予想してたのでかなり意外だったと言わざるを得ないかな。
2ndアルバム「ANGELS OF BARCAROLE」の時点ですでに壁サー級に肉薄するクオリティには達していたので、きっと次なる3rdアルバムでは更なる飛躍を果たしてPratanallisの名前を界隈に知らしめてくれるだろうと期待してたんですが、結論から言うと今作はそこまで理想的な内容ではなく…クオリティという面から言えばほぼ前作と同等、全く変化がない訳じゃないですが少なくとも一聴して分かるような派手な進歩はないという印象。
でもクオリティについては2ndアルバムの時点で完成していたのだから別に進化の必要性はなかったとも考えられるんですが、それよりもメロディがですね…2ndや1stに比べると若干地味っていうか…スルメ系な感じなんですよね。一発で「クサい!キラーチューン!」って判断できるような即効性のある曲が乏しい。
それとサビ終わりにおける中途半端なメロ展開が目立ってきてるっていうか…今までの作品でも浮遊感あるメロでサビ終わらす傾向あったけど(ヒノデさんの癖?)、今回はそれが特に目立ってるのも気になるところ…。
収録曲は11曲、初のフルアルバムですがミニアルバムとフルアルバムをいちいち区別するのもめんどくさいんでまあ普通に3rdアルバムってことでいいですよね、公式もそう扱ってますし。
例によって少し長めのイントロを経て始まるボーカル曲一発目「Menina Eris」、1stと2ndに続いて今回も一発目のボーカルはめらみぽっぷさん、もうこれはPratanallisのお約束として確立されたと考えていいんでしょう。ただ、今までのめらみさん担当の冒頭曲と比べるとちょっとスルメ寄りっていうか…最初聞いた時にはサビがどこか分かんなかったんですよね。Bメロっぽく聞こえてしまうサビメロ。でも何度か聞けばサビがどこだか分かりますし、よく聞けばカッコいいメロだと分かるんで決してダメな曲って訳じゃないんだけど…まあインパクトで過去作に劣るのは致し方ないところか。
間奏部分の複雑かつドラマチックな展開及びヒノデさんの奏でるギターソロのクラシカルでメタリックな響きはPratanallisの真骨頂と呼べる物で、今回もその魅力は健在。これこそが他の同系統サークルと差別化する決定的要素であるのはもはや説明不要ですね。
特にヒノデさんのギターはさらに冴え渡って鋭さを増していると思うのですが、ただ、ギターのクオリティが上がったことによって他の打ち込み部分との質の差が現れつつあるような気もしなくはない。
2曲目「deja vu」もレギュラーと言って差し支えないお馴染みのボーカリストeupeさんが担当。eupeさんの透き通った歌声が活かされたシンフォニックでゴシックなテイストたっぷりの楽曲ですね。サビ後のコーラスが特に良い。
3曲目「Braking Down」と4曲目「Compassion」は「きょーこ」さん担当。この2曲とも素晴らしい出来栄えで作中でも特に気に入ってます。今作はアルバムを引っ張る役割であるキラーチューンの攻撃力が不足してる感はあるんだけど中堅ポジションの曲は良曲が多いんですよね。この2曲はまさに中堅ってイメージ。
きょーこさんの歌声は他の参加者に比べると個性という点では一歩譲るかもしれないけど非常に手堅く綺麗な歌唱によって楽曲に魅力を与えているように感じます。
3曲目のほうは派手さはないものの疾走感やクサさやキャッチーさなどの要素をバランス良く備えていて実に優れた楽曲。
4曲目のほうは三拍子系のバラードと思わせといて途中でアップテンポになる意外性ある楽曲展開が特徴的で、サビの優雅なメロディラインとギターソロのドラマチックな展開に魅了される。
6曲目のオルガンによるインタールード的インストを経ての7曲目「Justynusty」、昨年春に先行リリースされた楽曲ですね。個人的にPratanallis最強ソングだと思ってる「狂愛ROMANCE」を担当した強力ハイトーンボーカリスト黒崎朔夜さんが歌っているクサクサ疾走曲ということで「約束されたキラーチューン」…と言いたいところなんですがやっぱ狂愛ROMANCEにはちょっと及ばないかなぁ。こっちのほうが疾走感は明らかに上だしサビの超絶ハイトーンが凄まじいのでクサメタラー的な観点ではこっちのほうが点数上かもしれないけど。まあいずれにせよ強力な楽曲であることに違いはない。
あんきもことUnlucky Morpheusとか好きな層にも是非聞いて欲しい。オリジナル系でもこんな凄いメタルサークルいるって事実を知らない人多いんじゃないのかな?
8曲目「With You」、再びeupeさん担当曲。アツすぎた前曲から一気にクールダウンして穏やかで美しい三拍子曲。この曲もeupeさんのクリスタルな歌声が絶妙にハマってますね。やっぱコーラスが特に良い。
9曲目「少女のseraph」、これも黒崎朔夜さん担当で、そして何より驚きなのがギターソロがあのリリハルことRelease hallucinationのカオリンさんっていう。リリハルメンバーのゲスト出演は非常にレアなのでこれだけでもリリハルファンは買う価値ありまくりでしょう。
そんな感じで役者は豪華なんですけど楽曲のほうは…ちょっとサビメロが地味かもしれん。けどそれを補って余りあるほどにカオリンさんのギターソロは凄い。リリハルでは聞けないような派手でメロディアスなプレイは必聴。
10曲目「Holy Fragments」、タイトル曲ということもあって終盤をしっかり盛り上げます。ツインボーカルってPratanallis史上初? そして何気にこういう飛翔メロスピっぽい明るいメロの疾走曲も珍しい。クラシカルテイスト極まったギターソロも素晴らしい。
11曲目「My Happiness」、ラストはめらみぽっぷさんによるバラード曲。実はこの曲が一番好きかもしれない。クサ要素のないバラードなんだけど普通にメロがすごい好きな感じなんすよ。めらみさんの歌声も最高だし。
ジャケは2ndと同じ絵師さんですね。同じ絵師さんで統一してブランド感を演出するのはとても良いと思う。
って訳で、捨て曲なしの1st「Mystic Night」、最強キラーチューンを収録した2nd「ANGELS OF BARCAROLE」に比べると今作は少しばかり隙がある内容かなぁと思うんでPratanallis初めて聞く方にはやっぱ過去作をおすすめしたいところなんですが、もちろん今作も良い曲はたくさん入ってるんでスルーはして欲しくないですね。
次のアルバムまでやっぱ2年くらいかかるんかなぁ。2年後ってオリンピックの年か…。そうか…。
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