Pratanallis「ANGELS OF BARCAROLE」

http://www.pratanallis.com/

今、同人ゴシック及び同人クサメタルで最も要注目な存在と言って過言でないであろうサークル、Pratanallisが放った渾身の内容の詰まった2ndアルバムでございます。
ゴシック系、メタル系が好きな同人音楽リスナーならば言うまでもなく必聴、特にクサメタラーを自認するリスナーならば絶対に聞くべきなサークルですよ。
未だこのサークルの名前覚えてない人がいたら今からでも遅くないのでチェックしましょう。そしてスペル覚えづらければ辞書登録しときましょう。

今回の新作ですが、1stアルバムにおいて垣間見せた新規サークルとは信じがたいほどの驚異的なアレンジセンスとクサクサなメロディセンスの魅力はそのままに、サウンド面でも進歩を遂げてより洗練された完成度の高い内容に仕上がっています。もちろんアレンジとクサメロディも更に鋭さを増していますし、もはやオリジナル同人クサメロ系でこのPratanallisの比較対象に挙げれそうなサークルってRoman so Wordsくらいしか居ないんじゃないでしょうか…? それくらい突出した存在だと思うんですよね。
もちろん、アマチュア音楽の領域を抜けてCROSS VEINあたりと比較するとなるとさすがにクオリティ面でだいぶ厳しいところもありますが、でもあくまで同人音楽という範疇でこの手の音楽の可能性を徹底的に追求し、そして見事に具現化してるという意味では、それら一流のバンドにも決して劣ることのない存在になり得てると思うんですけどね。繰り返しますがほんと重要ポジションに位置するサークルであることは疑いようがないですね。

基本的に前作の延長線上にあると言える本作の方向性ですが、少し変化した点としては、けっこうバラエティが豊かになってるんですよね。具体的にはジャズ歌謡風の4曲目とバラード曲の7曲目など。それによって音楽性が拡張されてアルバム全体が表情豊かになっているという利点はもちろんあるのですが…。しかし、インスト以外はほとんどアップテンポな曲ばかりで固めた1stのほうが方向性は明確だったし全体的な勢いも強かったと思うんで、必ずしもバラエティ感あることが全て良い方向に働いてるとも言えないかな。
というかぶっちゃけ、ヒノデさんって疾走曲については完璧なんだけどスローテンポの曲だとちょっとアレンジに隙があったりしてまだまだ発展途上な感じも否めないんだよなぁ…。まあその辺りは次回作できっと改善されてると思うんで些細なことだと思うんですけどね。

あとは1stアルバムの記事で結構とやかく書いたゲストボーカリストの起用についてですね。
1stにおいては、知名度に不釣合いと思えるほどに有名ボーカリストを大胆に起用していたことが良くも悪くも強く印象に残ったのですが、今回も引き続きめらみぽっぷさんを起用しているとは言え担当曲は1曲だけですし、それに前作のようにボーカリストの声域を考慮していないかのような無理矢理感のある音程は姿を消し、各ボーカリストに合わせて自然な歌声に聞こえるように楽曲が作られている気がするのでその点でも進歩している気がしますね。
相変わらず多くのゲストボーカリストを起用しているのですが、どの方の歌声も楽曲にぴったりとマッチしているように感じます。めらみさんの再起用についても、知名度とは関係なく歌声と楽曲の相性が根拠になっているように思えますしね。まあ知名度で引っ張る打算も全然ないって訳じゃないかもしれないですが。

さて具体的な楽曲についてですが、優雅でクラシカルな響きを聞かせる序曲に続く、2曲目「Errand of the Angels」から早速のキラーチューンですよ。ボーカルは前述のめらみぽっぷさん。前作では楽曲の音程に無理があったことにも依るのか、若干不安定な歌唱に聞こえるパートもあったりしたのですが、今回はそういった欠点もなく、知名度に恥じない完璧な歌唱を聞くことが出来ますね。
前作収録のめらみさん担当曲「Dark White Town」と「Midday Moon」の間を取ったような曲調なのですが、前作より明らかに完成度は上がっていますね。ボーカルメロディもバックの演奏も見事なクサメロっぷりです。特に、サビ後のギターソロで奏でられるクラシカルなフレーズは多くのクサメタラーをノックアウトすること請け合いでしょう。なんとツボを突いた展開なんでしょうか。醸しだされる「一流」感と言ったら。
ソロ後のCメロがこれまたドラマチックな展開なんですよねえ。このメロディの贅沢な使い方はサンホラに通ずるものがある。

3曲目「Skystairs」、アップテンポなゴシック風味のメタル曲なんですが、前作の3曲目「Moon falling in the Abyss」ほどの派手さはないものの、メロディもアレンジも実に丁寧に作り込まれていて堅実な作りの曲だと言えるでしょうか。ボーカルさんの声質もこの上なくぴったり合ってますしね。割とスルメ系の曲かも。

4曲目「Rainy Sunday」、前述のように今作の「バラエティ感」を担っている曲です。いつも言ってるようで申し訳ないんですが、個人的にこの手のジャズ歌謡曲ってあんま好きじゃないんですよね。でもこの曲はツボを心得たメロディ展開と曲調に絶妙にハマった歌声が実に魅力的です。まあそれでもジャズ風アレンジじゃないほうが好きになれてたとは思うけど…。

5曲目は再びクラシカルなインスト曲。前作でこのポジションに配置されてたインストって30秒くらいしかなかったんだけど今回はガッツリ3分近くあります。本格派な雰囲気を演出する一方で、少しばかり冗長な感じもあるかな…。

6曲目「Grim Garden」は春M3で無料配布された楽曲。別バージョンではなくそのまんま収録されてるんだと思われます。改めて緻密なアレンジとクサメロが強烈な楽曲ですよねえ。

7曲目「Inaris Aurora」、eupeさんの透明感ある歌声がハマりまくりな美しいバラード曲。6分越えということもありドラマチックな曲展開が用意されており、特にギターソロは圧巻です。ただ、やはりアップテンポな曲に比べるとアレンジに隙があるような気がして多少惜しいですかね。

8曲目「狂愛Romance」、これは問答無用なキラーチューン。めっっっちゃクサくてドラマチック。現時点でPratanallisの最強の曲と言ってしまって差し支えないでしょう。それどころか同人クサメタルの歴史に残る名曲なのではないでしょうか。こんな超絶な楽曲を作ったサークルが評価されないとかあってはならない事だと思いますよ…?
AメロもBメロもサビもギターソロも終始テンションが途切れず全力疾走で駆け抜けるかのような凄まじい楽曲です。特に1番のサビ後半の盛り上がりから間奏に突入するパートはたまらんですねえ。
担当ボーカルの黒崎朔夜さんの情熱的な歌声もこれ以上ないくらいにPratanallisの音楽性に合ってますよね。是非とも次回作でも歌って頂きたい感。

今回はジャケ絵も格段に良くなりましたよね。前作はいまいちパッとしない見栄えだったけど、今回は一流サークルにも匹敵するジャケ絵を得たことでこのサークルへの注目度もさらに高まっていることでしょう。

全体的には、中盤で少しばかり中だるみする感はあるものの、2曲目と8曲目のキラー度が半端ないので総合的にはやはり前作を上回ってると思います。
特にやっぱり8曲目ですよね、同人クサメタルの理想形とさえ言えそうな最高の楽曲を生み出すことの出来るこのサークル(というか主に中心人物であるヒノデさん)はやはりこの界隈にとって非常に重要な存在だと思いますよ。
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夏コミから(略)

FC2ブログのスマホ表示で出てくるフリーズを誘発する広告、出現頻度はだいぶ減ったかな…? フリーズするのはうちの閲覧環境に依るところもあるかもしれないですが、それにしたってやっぱり広告やアフィリでフリーズするのはアホらしいし勘弁して欲しいですよ。


ほんとなら今日Pratanallisの感想上げようかなぁと考えていたんですけど、ちょっと色々と余裕ない状況が続いてるので…もう少しお待ちを。
今回の新作は8曲目が圧倒的キラーチューンですよねえ、同人クサメタル史に残る名曲と言っても過言でないのでは。2作目にして早くも同人ゴシック及びメタル系における屈指の重要サークルと言えそうなポジションまで達した感あります。

もちろんGrey Lethalの新作も良かったし、最低限しか買えなかったにも関わらず十分すぎるほど充実感ある夏コミでありました。

今月はまだしばらく余裕のない状況が続くかもしれないけど来月になったら多少マシになるかなぁ…いや分からんけど。


そういや、サンシャインの最新話とても良かったですね。前半は初代のストーリーをなぞってるだけの無難さが目立ったけど、ここに来て強いドラマ性で見せ場を作ったのは大きい気がします。
しかし、ここまでは下級生組と3年生組のストーリーが別々に進行していたからこその良さがあったと思うんで、それが合流したらどうなるのかという不安もあるんですが…。上手く展開させて欲しいところですね。

夏コミから約1週間

※追記
FC2ブログのスマホ表示フリーズしやすくないですか? 特定の広告が出るとき必ずフリーズする気がする。
もしフリーズするようならPC表示にしたほうがいいかも。



言うまでもないですがこの1週間はLost my Proust新作「Lycoris Libretto」をひたすら聞き続ける日々でした。
やっぱりLost my Proust作品は聞けば聞くほど味が出て来るし新たな発見もあるんで…現在のこの作品への印象は先日書いた記事とは微妙に変わってきてますね。感想を書いた時点では4曲目が一番かなぁと思ってたけど…1曲目も最高だし5曲目も捨てがたいし…まあ要するに全曲が素晴らしいんですけどね。やはりこれほどの創造性にあふれるハイセンスな同人メタルを生み出せるサークルはLost my Proustしかいないだろうと、ひたすら感服するしかない内容です。

https://twitter.com/lost_my_proust
その新作から1曲フルで公開されてますが、なんと今回フル公開に選ばれたのは3曲目。あえて今作で最も複雑で難解な印象の楽曲を選ぶとは…攻めの姿勢を感じ取れますねえ。普通に考えたら一般受けしそうなのは1曲目と5曲目だと思うんですけど、Lost my Proust「らしさ」を考慮すると3曲目ってことになるんでしょう。
まあプログレッシブなアレンジの光る1曲目はともかく、民謡要素を大胆に導入した異色さが際立つ5曲目のほうは、とても素晴らしい曲ではあるんだけどLost my Proust「らしい」曲とは言い難いので、もし5曲目だけが評価されたとしてもそれはLost my Proustの音楽性が評価されたことにはならないでしょうからね…。5曲目をリード曲扱いするのは得策じゃないか。でも5曲目が一番人気出そうな感じはあるんですけどね。

HATE新曲のほうもフルで公開されてますけど…やっぱりこの女性ボーカルってHidaka Mikuさんにしか思えないんですが…どうなんだろ。Lost my Proustと平行してHATEでも活躍してくれるんだったら素晴らしいことだと思うんですが。
ちなみにHATE新曲CDは夏コミで入手できてません。申し訳ない。自分で直接行けなかったんで仕方ないんですが…。

その他のサークルについてはですね…ほんとに最低限しか入手してないんですけど、具体的にどのサークルかというと…それは後日に感想上げたサークルってことで。まあ事前の注目度でだいたいお察し頂けるとは思いますが。
赤飯さんの新作もめっちゃ欲しかったんだけど…断念せざるを得なかった。iTunesとかで配信されないかなぁ…同人名義のやつはダメか…。
他のサークルもiTunes配信とか難しいでしょうしね…。デジタル配信を超完備させてるリリハルはちょっと別格すぎるけど。


Lost my Proust復活と入れ替わりにフェードアウトしていきそうなこのブログではありますが、でもLost my Proust復活を見届けるという目的は達したから悔いはない…なんてことはやっぱり言えないですね。出来ることなら復活第2作目も見届けたい…。ともろうさんのオリジナル「てぐせ弐」も…。

Lost my Proust「Lycoris Libretto」

http://lostmyproust.jimdo.com/

ついに…奴らが帰ってきた…!!(ハリウッド映画風)

かの傑作「A certain cenotaph on an illusion」から1年半の時を経て、オリジナル同人メタル界でも最高級のクリエイティビティを持つハイセンスプログレッシブ音楽集団 Lost my Proust がついに完全復活を遂げました…!!
どれだけこの時を待ちわびたことか。

まあ、(制作)活動休止中もサタアラへの提供曲があったり企画盤「Leave me Past」があったりして全く休止してる感なかったし、更には夏コミ1ヵ月前に例のニンテンドーコアコンピもあったりでむしろほとんど間を空けずになんらかの新規音源を提供してくれてた訳なんですけど、でもLost my Proust名義の完全新作は久しぶりですからね。やはり非常に感慨深いものがあります。
活動再開がアナウンスされる前は、なんとなくですが今年の冬コミあたりに3曲入りシングルで復活かなぁとか漠然と予想してたんですけど全くハズレましたね。約半年も早い夏コミで、しかも5曲入りっすよ。復活早々からこのボリューム…。どんだけこのサークルは創作意欲が高いんだっていう。
(個人的な話で申し訳ないんですが予想より早く夏コミで復活してくれて良かったですよ…たぶん冬コミまでこのブログ継続できないと思うんで…)

でも真に驚くべきことはやっぱりこの新作の内容です。休止してたはずなのに…めちゃくちゃパワーアップしている…!? どうなってんだまじで。
活動休止と言ってもアイディアやモチベーションを蓄積するための「充電期間」を取っていた訳ではなく、リアル絡みの諸々で音楽活動できない状態だったんだと思うんですけど、そんな多忙な中においても常に音楽に対する情熱はたぎっていたってことなんでしょうね…。そうでなければこの作品の中に渦巻く圧倒的な熱量はあり得ないでしょう。活動再開したばかりだというのに一切の妥協のない超本気な内容になっていることに驚愕するばかりです。

ではこの新作「Lycoris Libretto」について具体的に感想を述べていこうと思いますが…。試聴公開後の記事にも書いた通り、「復活作にして異色作」です。それはフルで聞いてみた今も変わりません。でも、言葉にすると同じになってしまうけど「異色作」という語句に込めたニュアンスは大きく変わっています。というのは、単に「マンネリ防止に今までとちょっと違うことに挑戦してみた」なんて中途半端な代物ではなく、新しい方向性に挑戦をしながらもそれを完璧に形にすることに成功していて尚且つ今までの持ち味も失わずにキープしているという恐るべき内容になっているのです。

その新しい方向性というのが「明るいメロディ」と「東方っぽいメロディ」だというのは先日の記事にも述べた通りですが、前者の明るいメロディについてはほんと違和感が全くないどころか、むしろなぜ今までこういう曲調やらなかったのか不思議に思えてしまうレベルでしっくりハマってます。Hidaka Mikuさんの歌声については明るい曲調のほうが合ってるんじゃないかってくらい。まあ1stアルバム収録の「Antidote」は単体では素晴らしい曲だったけどアルバム全体の雰囲気から浮いてましたからね…。明るいメロディのアイディアは以前から存在してたけど作品の統一感のためにあえて封印していた可能性もある?

東方っぽいメロディについても…「Dance in another END」にその片鱗はありましたかね。まあ東方っていうか単に和風なメロディってだけなんですが…。この手のメロディを何でもかんでも東方扱いするなというツッコミは無しの方向で。あくまで便宜的な扱いってことで。
でもやっぱり意識的に東方に寄せてあるように聞こえるんだよなぁ…この新作の歌メロ。
非常に個人的な意見で申し訳ないのですが、同人音楽って東方アレンジが圧倒的な勢力を誇っているから、せっかくオリジナルやるんなら東方アレンジ勢と差別化するために和風なメロディは多用しないほうがいいのではないか?みたいなよく分からん持論を持ってて、あんまり和風メロ主体のオリジナル同人音楽って好きじゃなかったりするんですよ。他の有力な東方アレンジサークルの間に埋もれてオリジナリティをアピールしづらくなるんじゃないかって。勝手な妄想に過ぎないんですけどね。
しかしこのLost my Proust新作においては、意図的に東方に寄せてあるような気がするんですよ。オリジナリティが多少減退することは承知の上で、それでも同人音楽の主流である東方アレンジに接近し(東方アレンジそのものにはならないっていうのはもちろん大きなポイント)、更には東方アレンジ側の有力サークルとの比較対象にも挑もうとしてる…みたいな? 同人音楽でも特にメタルコア系は中心が東方側にありますからね。比較の対象は必然的に東方系サークルになってしまうのかと。オリジナルのメタルコア勢はまだまだ全く数が足りてないですし。
あとは、東方アレンジしか聞いてないっていう同人メタラーもけっこう多そうだからそっちのリスナーへの間口を広げるっていう意図もあるかもしれないですけどね。
もちろん、単にこういうタイプのメロディをやりたかっただけ、という可能性もあるでしょう。いや、むしろその可能性のほうが高いかな…。色々と勘ぐりすぎですな。

そろそろ1曲ごとに具体的に語っていきますが、収録曲5曲のうち3曲目だけベーシストzaki.mymyさん作曲で、あとは全てメインソングライターのHidaka Mikuさんの曲です。

まず1曲目「Lycoris Radiate」、実質的なアルバムタイトル曲ですね。1発目から早速Lost my Proustが遂げた進化と新しい試みを共にビシビシ味わえる強烈な曲です。
出だしの荘厳なクワイア。いきなり新要素ですよ。今作にて音楽性がスケールアップを果たした事実をいきなり感じ取れます。そこから変拍子を擁したピアノの高速フレーズ→バンドサウンドが入りDjentな展開に。今までもDjentを意識したフレーズはあったんですけど、今作ではDjent「っぽさ」は確実に増してますね。しかし単なる型通りのDjentのリズム展開だけではなく、きらびやかでゲーム音楽的なシンセの絶妙な絡ませ方など、Lost my Proustの独自性を強く主張するサウンドに仕上がっているのはさすがとしか言いようがない。このイントロだけでも見事な展開ですなぁ。
そしてHidaka Mikuさんによるクリーンボーカルが入る訳ですが…いやほんとに素晴らしい歌唱ですよね。本作の魅力はたくさんあるのだけど、最も特筆すべきなのはやっぱりHidaka Mikuさんの過去最高に冴え渡った歌声だと思うんですよ。
実を言うとですね、某所で前作のボーカルがずいぶん貶されてたこともあって、もしかすると新作ではHidaka Mikuさんのボーカルパートが大幅に削減されてるんじゃないか…?って危惧もぶっちゃけあったんですよ。でも蓋を開けてみればその真逆、クリーンボーカルが大幅増量した内容になっています。しかもこの堂々たる歌唱っぷり。楽曲をリードするだけの確固たる強度を感じる歌声です。幾度ものライブを経験することでHidaka Mikuさんもボーカリストとしての自信と実力を蓄えたということなんでしょう。今まではtac-t!sさんのデスボイスがあくまでメインボーカルであって、Hidaka Mikuさんのクリーンボーカルのほうはサブの扱いだった気がするんですけど、今回は完全にクリーンボーカルのほうにメインが移ってるように感じます。特に5曲目なんかはデスボイスがおまけ扱いって感じありますしね。
このクリーンボーカル増加により同人音楽「らしさ」も大きく増したように思います。「女性ボーカルもの」としての完成度が飛躍的に高まったことで、メタラー以外の一般的な同人リスナーも聞きやすくなったのではないでしょうか。逆に従来のLost my Proustのストイックさとハードコア度は多少減ってしまったかもしれないですが。まあその辺りも計算づくでやってる感はありますけどね。
クリーンボーカルパートと並ぶこの曲の聞き所は2分47秒あたりと3分55秒あたりからのリフでしょうかね。この曲ってそれほど複雑な展開がある訳じゃないんですけど、要所要所で変化を付けて楽曲を引き締める役割を果たしているこれら印象的なリフは非常に重要な働きを担っていると思います。特に後者のリフ、意外に今までのLost my Proustに無かったタイプのフレーズだと思うんですが、このゲーム音楽感が満載のフレーズ最高ですよね。Lost my Proust「らしさ」もばっちり主張してるし、このノリで1曲作って欲しいと思えるほど。
全体的に、テクニカルな演奏においてもボーカルパートにおいても過去最高水準の楽曲に仕上がっていると思います。Lost my Proustの遂げた進化の具合をこれでもかと思い知らされること必至です。ただ、前作のボーカル曲1発目である「B.I.S」の上位互換とまでは言えないかな…。やっぱりオリジナリティにおいては「B.I.S」には敵わないかなと。今回は東方に寄せてある分、個性が僅かながら減退してる感もあるから。一般受けしそうなのはやっぱりこっちなんですけどね。

2曲目「M.Brain」はインスト曲。言うまでもないことですがLost my Proustのインスト曲は単なる繋ぎ曲だなんてあり得ません。ボーカル曲に匹敵、もしくは越えるほどの密度を備えたインスト曲であるのがデフォでございます。
でも今回は意外に軽い感じ…? いや軽いって言っても細部まで作り込まれていることは変わりないんですが、「For my」のような超テクニカルな展開や「Fetal Movement」のようなドラマチックな曲展開は控え目で、メインのシンセのフレーズとかけっこうフュージョン風味だったりしますし、比較的気軽に聞ける作りになっている気がしますね。今作は中身がギッチリ詰まった楽曲が並んでいる中でちょっと息抜き?的な役割もあるかも。

3曲目「Appelbaum Syndrome」、これはzaki.mymyさん作ですが、これがまた異色曲。というか今回の収録曲ってほとんど異色曲しかないんですけどね。
イントロの明るいリフでいきなり度肝を抜かれます。この浮遊感のある爽やかな音色のギターリフ…強烈なインパクトありますね。しかしこの印象的なリフの出番はなんとこれっきり。実際この曲は非常に複雑な曲展開を持っていて、各フレーズが1回づつしか出番ないんですよ。なんとも勿体ない。しかしその代わり目まぐるしく変わる曲調によるスリリングな感覚をたっぷりと味わえ、たった4分しかない尺とは信じがたいほどです。
冒頭の爽やかリフが過ぎ去るといつも通りのキラキラシンセを交えた疾走感あるメタルコア展開に移行しますが、Syunsukeさんのギターワークはやはり前作から進歩しているのが実感できますね。一通り展開した後にHidaka Mikuさんのクリーンボーカルによるサビが入りますが、ここは試聴に入ってなかったから意外性ありました。でも1回きりしかないのがやっぱり惜しい…。
そしてビートダウンしてDjent的な展開に。そしてここから徐々に明るい雰囲気に移行し、2分50秒あたりになるとまるで天上のごとき神々しい雰囲気にまで辿り着きます。まさにジャケ絵のイメージまんまです。再度登場するHidaka Mikuさんのボーカルも天使のごとき柔和さ。

4曲目「Flying fishes」は更なる異色曲です。3曲目も明るい曲調ではあるんですけど、基本的にLost my Proustのイメージの範疇に収まってると思うんですよ。でもこの4曲目はというと…あり得んくらい明るい。イントロの頭でいきなり「え???」ってなること必至です。はっきり言って青春ソング並みの明るさ。あの暗い曲ばっか作ってたLost my Proustが青春ソング…?? にわかには信じがたいですが、じゃあこの曲はLost my Proustらしさの無い駄作なのかというと…。むしろ真逆で、この曲が今作のMVPだと思うんですよね。
従来のイメージを覆すような曲調に挑戦しながらも、付け焼刃的な匂いは全くさせず、むしろめちゃくちゃ板に付いたように聞こえるという。もちろん従来の持ち味もキープしていて、それらが総合的に今作のハイライトと言えるだけの完成度に繋がっているという奇跡的なアレンジセンス。「Antidote」を引き合いに出すまでもなく、Hidaka Mikuさんは元から明るい曲調も得意にしてたんでしょうなぁ、そうとしか思えない素晴らしい出来栄え。
この曲も1曲目と同様にHidaka Mikuさんのクリーンボーカルの独壇場。まるでアイドルソングのごとき可愛らしさを振りまく魅惑の歌唱っぷりであります。もちろん単なるポップソングに終始するはずなどなく、サビではtac-t!sさんが吠えまくりますし、間奏ではプログレッシブでハードコアなアレンジも完備されてます。
改めてLost my Proustの創造性の幅広さを思い知らされる強力チューンですね。

ラスト5曲目「The canticle for replicant of her」、これもかなりの異色曲。そしてもちろん最高の出来栄え。試聴の段階では東方っぽいメロディに聞こえたけど…フルで聞いてみると東方っぽさもあるけどやっぱりサタアラに近いかなぁ。この曲におけるHidaka Mikuさんの独壇場っぷりは1曲目と4曲目以上。tac-t!sさんの出番は控え目、対して歌メロは非常にキャッチーで、完全に同人音楽一般の基準における「女性ボーカルもの」楽曲として強くアピールできる内容になってます。
更には新要素として民族音楽要素まで貪欲に取り入れられていて、はっきり言ってLost my Proust「らしさ」は減退しているんですが、しかしこういう異色な路線(サタアラ寄りな歌中心のアプローチ)であってもこれだけ完成度の高い内容に持っていけるという事実を証明してみせたのは非常に大きなことだと思うんですよね。もはやHidaka Mikuさんのボーカルはこのサークルの主役となり得る実力を持っているのだと誰もが認めざるを得ないでしょう。
それにしてもこの曲の歌詞って不思議な響きだし…造語だったりするんですかね。1曲目と連動する荘厳なクワイアといい、今回はオリジナル同人音楽の主流にも上手く寄せてる気がする。
tac-t!sさんの出番は少なめだけどBメロのシンセに乗せた咆哮は実にカッコイイし、歌中心とはいえHATEの2ndに感じたような物足りなさとは違いますね。

2ndアルバム「A certain cenotaph on an illusion」と今作のどちらが良いかというと…やっぱり判断難しいんですが、2ndアルバムがLost my Proust「らしさ」を極めた作品だったとするならば、今作はこのサークルの持つ潜在的な多様性を極めた作品だとも言えるでしょうか。当然どちらも最高の作品なんですけどね。というか1stアルバムとシングルも合わせて全てが最高の作品なんですが。

次回作も今回みたいな明るいメロを多用ってことはないでしょうけど、でも更なる新たな可能性を切り開いていくこともあり得るかもしれないですね。
見事な復活を遂げたLost my Proust、今後もこのサークルから目が離せないですよ。

夏コミ行った方々お疲れ様でした(自分は行けなかったけど)

やっぱりすげえよLost my Proust新譜…。今回も本気でやべえっすよ。分かってはいたけど試聴の段階での予想をはるかに上回ってきました。まあLost my Proustについては予想を上回るのがデフォなところあるんですけどね。
というか、リリースした作品に1個もハズレがなくて全部最高の内容だと思える同人音楽サークルなんてLost my Proustしかいないっすよね…。

傑作であった前作「A certain cenotaph on an illusion」から更に大きな進化を遂げた超絶プログレッシブサウンド。テクニカルな演奏については確実に前作を越えてます。
でも総合的に前作を越えてるかというと…結論を出すにはまだ聞き込みが必要か。なんというか、2ndアルバムって当初のLost my Proustの志す音楽性をとことんまで極めた到達点と言える内容だったと思うんですけど、今回はまた新たな可能性を目指してるから単純には比較できないんですよね。やっぱり異色作であることに違いはないかと。

その新たな可能性っていうのが試聴の段階でも感じ取れた「明るい」メロディ、そして東方アレンジ的なメロディですね。まあ、東洋的なメロディラインを何でもかんでも東方っぽいと評するのは余りに短絡的だと思われそうですけども、でも同人音楽において東方って非常に大きな存在であるからやっぱり引き合いに出さざるを得ないと思うんですよ。
今回は意識的に東方っぽいメロディラインを多用することによって、自らが同人音楽(オタク文化に根ざした音楽)であることを今まで以上に強く表明してるように思えたりします。やはりこのサークルの独自性はオタク文化なしでは成り立たなかったものなのだと再確認させられますね。

あれだけ完成度の高かった前作に匹敵するような内容の新作を復活早々にしてぶつけてくるなんて…ほんと化け物じみたサークルだと思うんですよ…。誰よりもLost my Proust復活を待っていた者としてまさに感無量です…。
夏コミ行けなかったにも関わらず当日中に入手するという結構な無茶をやらかしたんですがそれだけの価値ありまくりです。
詳しい感想は後日書きますのでお待ちを。

あと…今回は最低限の新譜しか入手できてないのでご了承ください。まあ自分で行けなかったんで当然なんですけどね…。
プロフィール

同人音楽初心者

Author:同人音楽初心者

メタル系とプログレ要素のある同人音楽を中心に扱います。
ゴシック系やサンホラ系の比重は少なめです。

Information
http://lmp-3-accoai.tumblr.com/
同人メタル最強(主観)サークル待望の新作がついに出ます!!冬コミ参加のメタラー全員購入必須!!!

https://tomorro4.bandcamp.com/
春M3最大の注目サークルの放った名作1stアルバムが
なんとバンドキャンプで(実質)無料公開されてます!!
これは聞くしかない!!
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